半年に一度のペースメーカーチェックを受けるために名古屋へ出かけた。電車に乗るのは何カ月ぶりだろう。季節はすっかり夏になっていて、目にするものは全てキラキラしている。全員がマスクをしているから、目だけを見ると女性は、一様に目元のきれいな美人だ。
服装は夏らしくなっているから、素肌の手足がよく見える。色白の女性はそれだけで美しい。座っている私の目の前に、ヘソが見えた。ジーパンのズボンは長いのに、腰の部分が浅く、上着が短いのでヘソが丸見えだ。彼女は見えることを意識して立っているのだろう。
若々しい柔らかなお腹をチラチラ見ていたら、向こう隣りのオバちゃんがバックから財布を取り出し、みんなの見ている前で万札を数えだした。「あなたがお金持ちなのは分かるけど、それは危険な行為ですよ」と言いたかったけど、止めた。それよりも、せっかくの機会だからと観客を観察する。
靴下を履いている人はいないし、靴も指先まで見える。形のきれいな足の女性は腕も手の指もやっぱりきれいだ。肌が透き通るように白いのに、足が赤かったり、足首が太かったり、指のマニキュアがとても魅力的だったり、電車は楽しい。
ペースメーカーのチェックはすぐ終わったのに、医師は「そろそろ電池交換ですね」と言う。私よりも半年ほど前に、ペースメーカーを移植した中学からの友だちは、「まだまだ先」と診断されているのに、私が移植されたセント・ジュード・メディカル社のものは期限が短いようだ。ワクチン接種が終わる7月末の手術となった。楽しいことばかりでは無いのがこの世だ。