「経済に凝っている」と言う友だちから貸し与えられた、堤未果さんの『株式会社アメリカの日本解体計画』を読んだ。余りにも早く読めたので、私の理解が正しいのか分からないが、堤さんの分析に全く異論はない。
堤さんは「お金の流れと人事を見れば、真の権力構造が見えてくる」という。アメリカの大統領選挙では運動資金を多く集めた方が勝利してきた。トランプとヒラリーの対決では、ヒラリーに大資本は多額を投資した。高校時代からベトナム反戦運動に参加してきたヒラリーのイメージからは想像できなかったが、オバマもヒラリーもウォール街から献金を受けていた。
これに対してトランプは自前で選挙資金を用意し、「金権政治を終わらせる。私はウォール街の紐付きではない」とアピールした。けれど、ウォール街と対立した訳では無く、大統領に就任するとすぐに仲良くなり、「株式会社アメリカ」はますます巨大化していく。「今だけ、金だけ、自分だけというウォール街の価値観」は世界へ進出した。
金儲けを目的とする資本とメディアやSNSなどの情報発信は対立するかに思われたが、資本ははるかに巨大で巧妙だった。人は余りにも多い情報に判断することも出来ない。堤さんは「情報をたくさん入れるよりも、自分の直感、自分の五感、それが鈍らないように磨く」ことで、世界を変えることが出来ると結ぶ。
造られたものの中に、次の時代を造るものが生まれてくるのが歴史だ。資本が世界を支配するなら、それは資本の終わりになる。「経済に凝っている」と言った友だちはどう考えているのだろう。