まだ夜が明けない午前3時ごろ、消防車のけたたましい警報が聞こえてきた。雨が降っていたので、サイレンの音が異常に大きかった。カミさんはビックリしてベランダに出て行った。「消防車が2台来ている」とカミさんは言う。「救急車がいない」と不思議がる。
まあ、何事も無ければそれでいい。「ウン、ウン」と空返事をしながらまた眠ってしまった。蒸し暑い夜はエアコンを点けたいが、まだエアコンを稼働させるほど暑くはない。こんな日がまだしばらくは続くのだろう。外に出ることもなく、本を読んでいると睡魔が襲う。
三島由紀夫氏はキリスト教的道徳が嫌いのようだ。彼の『不道徳教育講座』は、キリスト教的道徳に対する嫌悪で満ちている。西洋人がキリスト教的道徳に縛られていたとしても、マルキ・ド・サドやD・H・ロレンスのような作家もいたのに。
三島氏は「道徳のない国」の章で、大学で講師をする傍ら、レストランを営む「しなびた学者」が「白粉気のない少女を4・5人住み込みで雇っていて、少女たちは「特別超過勤務手当をもらってある仕事を受け持っている」と書き、「すぐあなたはヘンな想像をする」と指摘する。
それは、川端康成氏の『眠れる美女』の世界だ。「道徳のない国」では、先生が眠るまで昔話や童謡などを聞かせるとある。西洋人にとって日本は、道徳に縛られない安住の地、そして、「日本は社会の掟はあるものに、道徳観に悩まされずに、いろいろワルイことができる」と講義する。
もちろんオチはあって、産土の神からコテンパンに叱られ、「ありがたい御供物じゃ」と赤いリンゴをもらう。キリスト教では人間の原罪となるリンゴだが、「明日は忘れてしまうようなリンゴでありました」と結ぶ。
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