強い風が吹いている。陽射しが眩しい。この強風で桜の花は散ってしまったかも知れない。私が通った小学校にも桜が何木もあった。小学校の隣りにある城跡の公園は桜の名所で、「桜まつり」が開かれていた。入学した1年の時、「桜まつり」で描いた絵で表彰され、担任の女性教師は「この子はピカソになるかも知れない」と言って、母を喜ばせた。
私はピカソを知らなかったし、高学年になってピカソの作品を見て、イタズラ描きとしか思わなかった。兄貴の部屋で、アメリカの雑誌に載っていたダリの絵を見て身震いした。現実を超えた世界を描くなら、ダリのような絵を描きたいと思ってきた。けれど、絵描きにはなれなかった。絵よりも文字の方が合っていた。
中学校に入学すると、小学校とは全く違っていた。テストの度に順位が廊下に張り出された。卒業した小学校から上位に入っている子は少なくて、いつも他の小学校の女の子がトップにいた。その子は中学校だけでなく高校もトップだった。同じクラスになったことが無かったので話す機会も無かった。
その子と生涯に一度だけ、全く偶然だったのか農道のような細い道で出逢ったことがある。何を話したのか覚えていないが、かなりの時間見つめ合って話し込んでいた。彼女は小さくて痩せていたが、校内マラソンではいつも1位だった。継母に育てられたことが、何でも1位を目指す子になったのだろうか。
目が大きくて可愛い顔立ちで、私の好きなタイプの子だった。大学4年の時、私は東京で働いていたのだから、お茶の水女子大に通っていた彼女を訪ねることも出来たはずなのに、全く私の頭には無かった。彼女より成績の悪い私など、相手にする訳が無いと思っていたからだろう。
結婚して多治見に住んでいると、ウワサで聞いたことがあるが、元気だろうか。今では互いに高齢のジジババだけど、もう少し若い時なら出かけて行って会うことも出来たはずだったのにと振り返る。そして、バカだなー、過去は決して取り返せないのにと思う。中学からの友だちのブログを見ていて懐かしい、昔を思い出してしまった。
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