先日、もう何年も前に掘った井戸の主から、「水が出ない」と連絡があった。見に行くとピストンの弁が千切れていた。何日も放ってあったのか、錆がこびりついている。手押しポンプを製造している東邦工業へ電話したら、在庫があると言うので、先輩とふたりで出かけた。
私はもう、すっかり往く道を忘れていたが、先輩はよく覚えていて、「次を右へ」とか「この道は真っ直ぐに行って」とか指示してくれた。自分が運転しないのに、左利きで左右を間違えるのに、地図は頭に入っているようだ。東邦工業に辿り着いて、ピストンを1基買う。
「せっかく手に入ったのだから、ピストンが巧く作動するか、やってみましょうか」と先輩に提案すると、「やりましょう」と言ってくれた。けれど、かなり疲れた様子なので、「どこかでお茶でも飲みますか」と尋ねると、「それはいいね」と答えてくれたので、コーヒー店に入った。
水が出ないという手押しポンプの錆を金属のタワシで擦り、キレイになったところでピストンを設置する。柄を何度か上下させると、見る間にキレイな水が上がって来た。これなら「直しました」と言える。「アイツら、メンテナンスも出来んのか」とは言われたくない。早速、井戸の主に連絡してみた。
もともと、地震に備えて、防災用に井戸を掘ろう、と始めたことだ。地震が起きたら水道は止まってしまうし、電気が止まれば電動のポンプも作動しない。昔のように、各家に井戸があれば、どこかで水を汲み上げることが出来る。公園や学校に井戸を備えようと呼び掛けたが、なかなか広まらなかった。
話は変わるが、兵庫県の斎藤知事は議会から満場一致で不信任案を突き付けられた。私が斎藤知事なら、不信任案を提案される前に辞職するが、そうせずに、「しっかり考えさせてもらう」と斎藤知事は言っていた。カミさんも子どももいるだろう。私はカミさんと子どものことが心配になる。