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2020.06.24 今の世は他罰的な時代だが。

古本屋の前を通る時は、店頭にある安売り台を、つい覗いてしまう。
先日、曽野綾子さんの本が売られていて、100円だった。
題は「自分の始末」,今までのこの作家の多くの著作の中から、短い文章が
抜粋されていた。



その中から、強く心を動かされた文章があったので、ご紹介したい。

<元々人間は他者を理解不能なのだ。これはもう天地開闢(かいびゃく)以来
まちがいのないことなのだが、どういうわけか人々はその気になりさえすれば、
分かり得ると信じ込んでいる。
誰それのせいでこうなったと言う言い方も受け入れる気がなかった。
そんなことを言いたて出したら、あらゆることが他人のせいになる。
今は世の中はあげて他罰的な時代だが、変化に耐えて行けるのが、人間と言う
ものであって、外的な刺激でいちいち変わるのだといいはるのだったら、
自己と言うものは無いに等しい。「円型水槽 下」>



私自身は、子供の頃から深く感謝するタイプで、しかも長く感謝を持ち続ける
性格だが、この世には、真逆のタイプも居ることを知った時は、衝撃だった。
第三者から見て、天与の幸運と思える程のあり得ない程の世界を与えられている
と思えることでも、感謝どころか、それを恨むケースがあるのには、深く驚か
される。
そう言う人は、全てが他人が悪い、自分は被害者である、そのお陰ででこうな
ったと論陣を張る。一過性なら仕方ないが、生涯にわたって恨み続ける。
もし、近くにこう言う人が居た場合の廻りの悲劇は計り知れない。真っ暗に
なる。人が信じられなくなるだろう。

確かに、今の世は上げて他罰的な時代だが「変化に耐えて生きて行けるのが
人間であり、そうでなければ自己と言うものが無いに等しい。」と言う著者の
この言葉は、とても深いと思い、強く同感した。


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