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薬と毒薬…

2007年11月02日 | たばこ弁護の諸説紹介
◎ 今(2005年2月)、マスコミを賑わしているのは、ライブドアとフジテレビのたたかいである。これに関して、企業買収や乗っ取りを抑止するための対策が、政府部内でも検討されているようだ。専門用語では、「ポイズンピル」とか「ホワイトナイト」が有名な手法である。なかでも、「ポイズンピル」は毒薬を意味する「新株予約権の発行」であるが、これを安易に発動できるようになれば、既存株主の過剰防衛になってしまう「両刃の剣」なのだ。

◎ さて、毒薬といえば「たばこ」が世界的な槍玉に上がっている。これに関して、2月19日のNHK「土曜インタビュー」で桂米朝さんが、「師匠に、うまい酒が飲ませたかった。焼酎ばかり飲んで死にましたけどね」と述べたことを思い出した。米朝さんの言葉には続きがあって、師匠の本当の死因は焼酎ではなく、「ヒロポン(Philopon=覚醒剤。塩酸メタンフェタミンの日本商標名。乱用すると幻覚などの中毒症状を起こす)ですね。薬屋さんで売られていたので、よく買いに行かされましたよ」と述べていた。

◎ 時代や社会環境、さらには使い方によって、あるモノが薬と毒薬のように、まったく正反対のポジションになるのだ。たばこもその典型であろう。貴重な薬品として、世界各国に瞬く間に広がり、軍隊の兵士には不可欠で、お似合いな常備品でもあった。特権階級に限られた贅沢品から、広く大衆化してきたが、現在の風潮ではまったく逆の批判を受けている。ここで大事なのは、現代の禁煙を唱える医者たちが述べていることも、歴史的な一つの物語に過ぎない、ということを忘れてはいけないのだろう。

◎ なお、NHKのホームページに掲載されている「土曜インタビュー」の要約版では、桂米朝さんの師匠の死因について、現在は健康に良いとされている「焼酎ばかり飲んでいたため」と理解されるような書き方をしている。桂米朝さんが、当時は薬局で合法的に販売(1本7円)されていた「ヒロポンのせいです」と、はっきりと述べているにも関わらず、「焼酎」であるがごとく記載している巧みなトリックを見逃してはいけない、と思ったのである。(2005 02/25)
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富士山依存症について…

2007年10月18日 | たばこ弁護の諸説紹介
 人はアルコール依存症、ニコチン依存症、読書中毒など、少々困った生活習慣を身につけてしまうものだ。ぼくの場合、アルコールに依存できるような酒飲みではないし、読書中毒も2年ほど前に卒業してしまった。でも、ニコチン依存症だけは、よほど体調が悪いとき以外、たばこを手放したことがない。ビール好きの人と同様、たばこをより美味しく吸うために、一時的(半日程度)にがまんしたり、スポーツで汗を流したりすることもある。

 ときに、ぼくは富士山依存症もあるのではないか、と考えるようになった。先週末から今週の頭にかけて、通勤途上で楽しみにしている白い富士山は、天候のせいで私たちの前に姿をあらわさなかった。そんな日は、実に物足りなくて、さびいしいのだ。一日の初めにあたって、やる気をそがれる気になる。春や夏、よほど空気が乾燥していないと富士山は見えないし、それがわかっていれば納得できるのだが、晩秋から3月ぐらいまでは毎日見たいのだ。というわけで、今朝は富士山を眺めてきたから、今日はとっても元気だぜ。(2004 02/05)

※ 本日は秋晴れでございますな。空気の冷たさが身に沁みるようになってくるに従い、富士山/~\の見える朝が楽しみになってくるのでございます。心底から、山頂に雪をいただく雄姿が、私に元気を与えてくれるのです。(2007/10/18)
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養老孟司さんの面白い対談を発見…

2007年10月16日 | たばこ弁護の諸説紹介
◎ 昨日(2003年12月2日)の朝日新聞・文化総合欄に、養老孟司さんが「新書界のスター・続々ヒットの理由は」という見出しで紹介されていました。12月1日現在、『バカの壁』は205万部も売れているそうです。ぼくも『バカの壁』を読み、たいへん面白く読みました。そのとき感想を書き込みしましたが、孟司を猛と誤記してしまいました。今回、正しく孟司と打ち込みましたが、中国の「もうし(孟子)」と同音であると気づき、養老孟司さんは「現代の孟子」と呼べるような、社会啓蒙家的な役割を果たすのではないかと思いました。

◎ そこで、養老ファンの皆さまに、ぜひご紹介したいことがございます。

「談」別冊/shikohin world tobbaco のWeb版で…
 ↓ (ここをクリック)
養老孟司さんの対談

ページが画面にあらわれましたら、
[対談]養老孟司+池田清彦「科学のパターナリズムとディペンド主義」
のリンクをクリックして下さい。

・ 嫌煙運動の裏に潜む闇
・ マニュアル化する若者と現代社会
・ 健康幻想という病理
・ 虫の世界が示唆するもの

というテーマで対談された記録の全文が無料で読めますよ。ちなみに、パターナリズムとは「父親的な温情主義」のことで、ディペンド主義とは「依存主義」の意味です。(2003 12/03)
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嫌煙権の不可解…

2007年10月14日 | たばこ弁護の諸説紹介
◎ ぼくが生きてきた50年という短い間に、とりまく環境は様変わりし、現在も猛スピードで政治・経済・社会全般にわたって変化している。50歳でそれを語るのは早過ぎると思うけれど、山田風太郎さんが70歳代に書いた『死言状』(角川文庫)を読みながら、戦争に関することは理解できなかったが、「狭くて山だらけの国土に、これほどハイウエイがひろがり、これほどゴルフ場が乱立する状態」や「現代のタバコ喫み退治」および「宅配便」等については共感できたのである。

◎ 山田さんは、宅配便については、「日本にはむかしから郵便局が網の目のようにはりめぐらされているのに、それと張り合う商売をやろうとは、まず何よりもその発想の大胆不敵さに脱帽する。しかも結果として、小包に関してはいま郵便をしのぐばかりのありさまとなったのは、あっぱれというほかはない」と賞賛している。たしかに宅配便は便利だし、お歳暮はもちろん、書籍・CD購入に至るまで、日常性格には欠かせないものに成長・定着した。

◎ また、「嫌煙権なんて、不敏にして私ははじめ冗談かと思っていたら、文字通り冗談ではない社会的大問題となってきた雲ゆきには、ただ唖然とするばかりで ある。これもモトはアメリカだが、そのくせアメリカは煙草の輸出にはシャカリキになっているのだから、勝手もいいところだ」と断言しているが、今年の健康増進法施行以来、その勢いは止まることをしらない雲行きである。というわけで、嫌煙権や禁煙の動きが少しでも和らいで欲しいと思うのだ。(2003 11/07)
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暗いニュースが残像になって・・・

2007年10月11日 | たばこ弁護の諸説紹介
◎ 昨日(2003年10月31日)、電車の中でふと「自分がもし、真っ暗な車のトランクに監禁されたら、ひどく狼狽してしまうだろう。恐怖の余りに・・・」と想像し、「現実になったら、ものすごく怖いことだなあ。平気でそんなニュースを聞いたり、読んだりしているけれど…」と思ったのである。この頃、自分の「高所恐怖症」「先端恐怖症」に気づき、「閉所恐怖症」「暗黒恐怖症」でもあることがわかったのである。

◎ これは、自分が50歳になったことにより、ますます弱気になってきたからだろう。感性が豊かになって、より研ぎ澄まされてきたというポジティブな観点には立てず、自分の臆病さを痛感させられたのだ。でも、それはそれで良いことなのだろうと考えた。普段は見ないようにしている死や恐怖などに、素直な反応を示すことは、これから生きて行く上で、とても必要なことなのだろう。というわけで、今朝から、山田風太郎さんの『人間臨終図鑑Ⅰ』をカバンに入れてきたのである。

◎ ぶあつい文庫本である『人間臨終図鑑』は、第Ⅲ巻まであるから、大勢の臨終の模様をインップットしておこうと思う。本書は20歳代で亡くなった人物からスタートしている。それにしても、ページをめくっていると、歴史に名を残すような人物は年が若くても、ずいぶんとしっかりした考えを持ち、生活力も旺盛であったことがわかる。すでに50歳になってしまった自分が、何と幼くみえることか。長生きをすればいいと言うものではないことを、改めて認識させられたのである。そういえば、山田風太郎さんは生涯にわたり、酒とたばこをこよなく愛した人だったし、やめるぐらいなら何のための人生か、と公言していた。これからも、山田風太郎さんの人生観や死生観について、ぼくは真摯に学んでいきたいと思うのだ。(2003 10/31)
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微笑ましい喫煙者と勇ましい喫煙者…

2007年10月09日 | たばこ弁護の諸説紹介
◎ 「ヘビースモーカーさん」のページ(URLは下記に掲載)は面白い。今回、BBSへの喫煙者からの書き込み要旨をご紹介したい。

http://members.goo.ne.jp/home/yukinpo_is_heavy_smoker/main

<売れ行きが伸びそうな銘柄>
 最近、KENTのウルトラメンソールやばい!ハマった!(2003 07/16)

<男の勝手な言い分>
 値上がりに応じてヴァージニアからラークに変えたので、私は「値下がり」しました。女の子なので、煙草を吸うだけでヤンキー扱いされて困惑します。「俺は吸うけど、お前は吸うな」と不条理な事を云われます。ま、吸いますけど…。(2003 07/10)

<税金の使い道>
 タバコの値上げ分はすべて税金です。小泉さんにはっきり聞きたいです。垂れ流しの税金使途不明金にしてほしくないわ。(2003 06/30)

<限られた喫煙場所>
 ショートホープ・ライトが好きでやめられません。自家用車内が唯一の喫煙所。レストランも新幹線も禁煙だらけ、高い税金を取っているのに。(2003 06/21)

<いい香りのするたばこ>
 最近、フルーツフレーバーのタバコとか、そんなの買いました。いい香りなんです。値段は280円なので、普段、エコーを愛煙している私には、たかーい買い物。でも、すごく好評でタバコ吸わない人まで、いーにおーい!なんて近寄ってきます。サイゼリアの自販機で売ってるんですけどね。(2003 06/21)

<ニコレット中毒>
 自分はライトスモーカーで一日5本くらいかな。しかも1ミリ。で、こないだ同僚に「ニコレット」をもらって、ほんのひとかけを噛んでみたら、それだけでくらくら・・・ニコチン中毒ですわ。(2003 05/18)

<たばこの吸える飛行機>
 「オールスモーキング航空の早期設立!」をインドシナ中心に活動しています。現在17か国の愛煙家同志が、すべての座席でタバコが吸えるエアラインの設立に結束しつつあります。このグループでは、イスラム教徒もイスラエル人も、共に仲良くやっています。ここに喫煙大国・日本のメンバーが集まれば…(2003 05/05)

◎ ヘビースモーカーさんのHP(BBS)から、喫煙者の現在を伺うことができ、たばこに関していろいろと述べてきた自分なので、楽しく閲覧させてもらっている。今回、ご紹介したのはほんの一部であり、禁煙している人や嫌煙家からの書き込みも多い。いずれにしても、ご覧のように「たばこ」をめぐる悲喜こもごもは興味が尽きず、悪者扱いをされているけれど、それだけ愛すべき商品であることには違いないのだろう。(2003 08/01)
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商標権の侵害だと思うのだけれど…

2007年10月07日 | たばこ弁護の諸説紹介
◎ 先日(2002年12月11日)の日経新聞夕刊によれば、欧州司法裁判所で12月10日、たばこに「マイルド」「ライト」などと表示することを禁じる判決が下されたそうだ。JTは同日、判決について「EU域内でマイルドセブンの商標を使用する権利を奪われる可能性がある」と失望を表明したらしいが、最終的に販売が禁じられる可能性が大きく、欧州連合(EU)域内で「マイルドセブン」を販売するJTは窮地に追い込まれるとしたら、同情を禁じえないのだ。

◎ そもそも、「マイルド」とか「ライト」という言葉は、「西洋の言葉」である。JTとしては、日本のメーカーらしく、「峰」のような漢字ブランド、さらには「わかば」などのひらがなブランドで、今さら勝負するわけにはいかないのだから、日本のたばこメーカーを狙い撃ちする暴挙だと思うのだ。

※ なお、台湾で一番親しまれているのは「長寿」という名のたばこであり、世界的な喫煙規制の強化に伴い、名称変更を検討したらしいが、ブランド価値という観点から断念したそうだ。それが当然の成り行きだろう。古来より、中国では「たばこは薬である」との認識が根強いのだから。(2007/10/07)
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カミさんの禁煙・2週間目に入る

2007年10月07日 | たばこ弁護の諸説紹介
◎ どうやら、うちのカミさんは禁煙に成功しそうである。気管支炎のつらさが相当にこたえたらしい。最近では、禁煙パイポも必要なくなってきたようであり、最もつらい1週間を乗り切ったから、そろそろ目の前で私が吸ってもいい許可が出るかも知れない。カミさんの場合、ヘビースモーカーではなかったのが幸いしているのだろうが、今や禁煙は一つのビジネスになっているほど、たばこをやめることは至難の業なのだ。

◎ ちなみに、2002年12月10日の日経新聞夕刊に、「たばこ戦争②」として禁煙に関する最新情報が掲載されていた。ついに、インターネット上での禁煙ビジネスが登場し、おおいに成長が見込まれているというのだ。記事によれば、東京女子医大病院の阿部真弓講師と医療ベンチャー企業のテイク・グット・ケアとの共同主催で、「禁煙Webクリニック」が2002年10月からスタートし、利用料金は1人月額500円で、団体加入では同300円。会社の制度として導入した沖電気工業(従業員22,000人、喫煙率42%)では、今年度末までに約200人の参加者を見込み、同社健保組合では「パソコンはみんなもっているし、安い費用で手軽にできる」と述べている。

◎ テイク社では、来年夏までに1万人の会員獲得をめざし、竹中社長は「禁煙外来が一般化し、禁煙ガムがブームになっており、これにインターネットの普及で禁煙環境が整ったので、ビジネス的にも面白い」と抱負を語っている。たばこメーカーにとって、来年に実施が予定されている値上げとともに、禁煙ブームが盛り上がってくれば、ますます経営環境が苦しくなってくることだろう。愛煙家としては、もうこれ以上は少数派になりたくないし、冷たい目で見られるのもイヤだから、反撃のノロシを上げたい、と思うのだ。(2002 12/16)

※ 残念ながら、「中央社会保険医療協議会(中医協)」で、「ニコチン依存」を病気と定義づける「禁煙治療の保険適用化」の議論がすすみ、2006年2月15日の中医協総会で「平成18年度医療報酬改定案」が了承され、厚生労働大臣に答申された。その後、3月6日、診療報酬の算定方法についてはニコチン依存症管理料を新設し、一定期間の禁煙指導に関する新たな評価を行うとともに、診療報酬改定結果検証部会による検証の対象とする旨の厚生省保険局長の通達が出され、2006年4月から禁煙治療が医療保険の適用となった。

※ さらに、同年5月24日の中医協では、禁煙治療のはり薬「ニコチンパッチ」の保険適用について、複数の委員から「本人が(禁煙前まで)払っていたたばこ代か、それ以下の金額のものを保険でみる必要があるのか。違和感がある」等の異論が出され、2年後の診療報酬改定までに効果を検証するという条件付で、6月1日から医師の禁煙診察・指導に伴って処方される場合に限り、保険適用されることになった。
 
※ なお、カミさんの禁煙騒動については、3か月ぐらいで終幕し、健康診断のたびに「私が禁煙できないのは、あなたがたばこを吸っているからである」と愚痴をこぼすのが、年中行事となっている。(2007/10/07)
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圧力団体が凶暴化するとき

2007年10月06日 | たばこ弁護の諸説紹介
◎ 今朝(2003年1月24日)の朝日新聞によれば、日本公衆衛生協会は、2月1日に開催予定であった「生活慣習病予防週間シンポジウム」を中止することにした。その大きな理由は、「90歳まで現役宣言!」のテーマで講演することにしていた作曲家三枝成彰さんが愛煙家であるため、「たばこ問題情報センター」(渡辺文学代表の禁煙団体)が「講師にふさわしくない」と同協会と後援する厚生労働省に交代を申し入れ、それが受け入れられたからだ。

◎ これに対して、三枝さんは「生き方の話をするつもりだったのに、たばこで降ろされるとは思わなかった。たばこが体に悪いことは確かだし、ヘビースモーカーなので怒る気はない。ただ、個人の好き嫌いを縛るのはよくない。ビートルズの写真からたばこが消されたとの報道があったが、声高に言えば通るというのはファッショに通じるようで怖い」と述べていた。

◎ 私は渡辺文学さんが、前回の衆院選で「禁煙団体のリーダーとして自由国民連合から出馬し、その結果は法定得票数にも遠く及ばず、見事に落選したことを知っている。テレビで演説する姿と表情は、とても清潔で安らぎのある「健康さ」など皆無だった。多分、彼の運動を支えているのは「自己顕示欲」が未達成のまま、「怨念」や「憎しみ」といった類の感情に転化した「悪しきイデオロギー」なのだ。

◎ 三枝さん事件は、たしかに「ファッショに通じる」恐れがあるし、閉そくした世相の中で、「ガス抜き」「うさばらし」「たばこは殺人だ」「ぜいたくは敵だ」というような世論の暴走を予見させる。私は、彼の数少ない今回の勝利が、これ以上「禁煙」グループ系圧力団体を凶暴化させないよう願うのみである。(2003 01/24)
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きれいになった「春のうららの隅田川」

2007年10月02日 | たばこ弁護の諸説紹介
◎ 昨日(2003 年3月11日)の午後、久しぶりに新潟J市から上京したTSくんは、今日、都内の専門学校を卒業する娘さんを伴い、自分が18歳から24歳まで過ごした錦糸町から浅草近辺を歩いたそうだ。彼は、隅田川を渡ったとき、「お父さんが若い頃、この橋は鼻をつまんで渡ったほどの悪臭だった。よくも、こんなにきれいになったものだ」と語ったという。

◎ 僕も小学校5年生のときに、初めて東京へ行く機会があり、空気の悪さと川の悪臭が強い印象として残った。林立する工場の煙突から煤煙が立ちのぼり、光化学スモッグが世間の注目を集めていた。1960~1970年代に比べ、僕たちをとりまく煙や臭いは著しく改善され、さらに国内製造業の空洞化と呼ばれるような、東南アジアや中国への生産移転がすすんだ。たしかに、煤煙や川の悪臭はすっかり姿を消したけれど、次なるターゲットにされたのが「たばこ」であるとは言えないだろうか。

◎ 日本における公害が改善されたにも関わらず、肺がん等が増加しているのは、ひとえに「たばこ」が原因であるというのは、直感的におかしいと思うのだ。あれだけの大気汚染の中で、僕たちは少年・青春時代を過ごし、強烈な煙や臭いにまぎれて、したたかに生きてきたのである。目が痛くなるほどの光化学スモッグ、鼻をつまむほどの悪臭が消えた一方で、花粉症が激増し、たばこに対する過剰な世論が横行するようになった。僕は、そんな「たばこ」がかわいそうだと思う。肺がん等の増加には、まったく違った背景と原因があると確信しているのだ。

◎ ちなみに、TSくんは1日2箱(40本)のハイライトを吸っていたが、5年前の正月にたばこが切れ、買いに行くのが面倒になってお酒ばかり飲んで過ごし、それを機会にやめてしまったそうだ。いかにも彼らしいやり方だが、僕は人それぞれの理由でたばこを吸ったり、やめたりすればいいと思っているのだ。(2003 03/12)
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