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もう僕は腰を上げて辞去しようかと思った。この辺でぷつりと切断されてしまうきまぐれな人間関係を橋の上から投げ棄てられておちて行く莨の吸いがらを見送るような気持ちでいた。すぎなのつなぎめのような。
【128〜129ページ】
「こちらにいらして」
僕は幾多の不義者たちがしたであろうような滑稽な格好で彼女の傍に移って行った。----。
そして僕は又外へ出た。僕は再び料理場に行って、榾火(ほたび)をもらって莨を一本吸いつけた。いつもは大してうまくない莨がひどく今朝は恰好の小道具に見える。くわえ莨をして僕は例の木環の上に腰をかけていたのだ。
[ken] 文体としては「句点が少ない」ですね。たばこのポイ捨てはいけませんが、「橋の上から投げ棄てられておて行く莨の吸いがらを見送るような」という気持ちは、とてもよく分かります。「すぎなのつなぎめ」のイメージもドンピシャリですね。それから、たばこは体調や心の状態をみる測定ツールでもありますね。(つづく)