佐藤正雄議員の2017年12月県議会の一般質問議事録です。
◯18番(佐藤正雄君) 日本共産党の佐藤正雄です。
原発再稼働
まず、最初に福島原発事故の教訓を踏みにじる相次ぐ再稼働問題について質問いたします。
私たち県議会も原発事故後に視察いたしました富岡町。これまで郡山市に町役場事務所を置いておりましたが、避難指示解除を受けて、ことし4月に富岡町に戻りました。しかし、郡山から富岡までの長時間通勤を続けている職員もおり、5人の役場職員が退職したそうであります。また、原発立地の双葉町では、ことしから職員の正規採用はない、任期つき職員しか採用しないとお聞きをいたしました。
10月には小浜市で原発問題住民運動全国連絡センターの交流会が開催され、福島の方々から苦悩を伺いました。いまだに原発事故は収束せず、7万人近い方々が自宅に戻れません。まさに、去るも地獄、残るも地獄の状況が続いていると言わざるを得ません。
福島原発事故の教訓を踏みにじり、忘れ去り、あたかも3.11がなかったかのように平然と再稼働へと進むなら、スリーマイル、チェルノブイリ、福島に続く大事故はこの福井、若狭で起こるかもしれません。西川知事の大飯原発再稼働容認に抗議し、撤回を求めます。
福島原発事故の際の教訓の一つは、狭いエリアでの複数基の原発稼働時に巨大災害などで複数原発が同時に損傷した場合は、対応に困難を生じる問題でした。しかし、原子力推進委員会に変質した規制委員会と利益最優先の関西電力は、それぞれが規制基準に適合すればよいとの判断で、高浜、大飯の双方の再稼働に進んでいます。
しかし、政府も福井県も同時事故を想定した防災計画の策定と訓練は行っておらず、防災面からも新たな安全神話がつくられようとしています。これでは、同時事故の際には若狭の住民を見捨てることになるではありませんか。別々に高浜、大飯で訓練が行われた11月26日には、お隣の石川県で国も参加しての大規模な住民参加の原子力防災訓練が行われました。8市町の約1,000人の住民初め、国や石川県の2,200人が参加した大規模な訓練でした。
御存じのように、北陸電力の原発は、再稼働の見込みは全く立っておりません。そこで大規模訓練を国も参加してやる。もちろん、使用済み核燃料がありますから訓練は必要です。しかし、高浜に続いて大飯を来年にも再稼働しようという若狭で、大飯原発の単独事故想定か、高浜との同時事故想定かはともかく、国も参加しての必要な訓練を行わないのは、福井県民を何と思っているのか。福井県に再稼働を要請しながら、こんなちぐはぐな政府の態度は許されないではありませんか。おおい町民の過半数が事故時の避難に不安を抱いているんですよ。
県は、国に早期の訓練を求めているなどと繰り返しますが、高浜、大飯での同時事故を想定した訓練を後回しにしている内閣府などに強く抗議し、直ちに近畿府県とも連携した同時事故時の防災計画の策定と訓練実施を求めるべきではありませんか。知事の決意をお尋ねをいたします。
あわせて、規制基準適合審査と、高浜、大飯原発再稼働準備に伴う土木工事を含む各種対策工事などで関西電力は数千億円を費用として使っているなどとマスコミで報道されております。しかし、地元に考慮した発注がなされたのでしょうか。そこでお尋ねをいたします。
高浜原発、大飯原発について、規制基準適合などのための工事総費用は、それぞれ幾らなのか。また、そのうち県内事業者への発注額はおおよそそれぞれ幾らぐらいであり、総事業費に占める割合はどの程度と推計しているのかお答え願います。
指導死問題
第二に、池田中学校での指導死事件について質問します。
池田中学校の生徒自殺に関する検討委員会の報告書は、全国的にすさまじい反響を呼びました。それが言葉尻の問題ではなく、事実認定として指導死であることを明らかにしたからです。お母さんが学校での集会に託された手記には、安全なはずの学校での指導により、子供を失った遺族の怒りの思いが書かれております。次のとおりです。
遺族は、叱責ではなく教員による陰険ないじめであったと理解しています。叱責だけではなく罵倒するような発言、人権を侵害するような発言も多々あったと聞いています。それを叱責と表現することに遺族としては納得がいかず、その教員による陰険ないじめでとうとい命を失ったのだと感じています。このようにあります。
そこでお尋ねをいたします。
この11月までの過去10年間で、県内小学校、中学校、高校の生徒の自殺はそれぞれ何人か、うち教員や生徒など、学校環境が原因とされる自殺はそれぞれ何件かお尋ねをいたします。
今、学校現場の教員や子供たちには地雷が埋め込まれていると言われているようです。それが爆発すると、教師や生徒の自死に至ります。地雷とは、自己否定感、見捨てられる不安、傷つきやすさ、焦りなどさまざまです。その地雷をいわば爆発しないように処理するのが担任の先生や周りの教師であったり養護教員、カウンセラー、専門の医師などであったりするわけです。
池田中学の今回のケースは、先生たちが生徒に地雷を仕掛けてしまった、いわば最悪のケースとなりました。なぜ、先生たちが本来は生徒の中の地雷を取り除かなければならない役割なのに、逆に仕掛けて追い込んでしまったのでしょうか。どうしても御遺族の怒りの目は個人責任に向きます。当然だと思います。校長や担任、副担任の先生方の責任は、明確に問われなければなりません。
なぜ、複数の教師が過ちを是正できなかったのか、池田中学校だけの問題なのか、県教育委員会に全く責任はないと考えているのか、教育長の見解をお尋ねをいたします。
私は、この間、県教育委員会がさまざまなサポートを行ってきたことは当然評価いたします。しかし、昨日の答弁では、知事も教育長も県の教育行政の責任については具体的に触れられませんでした。答弁の際は、一般論ではなく、校長への昇格の決定や教員採用と研修に第一義的に責任があるのは県の教育委員会であること、また、6月議会でも指摘しましたが、教員数の少ない学校であるがゆえに、研修の受講に不利な面があることなどを踏まえて御答弁を願います。
さて、丹南地域の再編計画について、利害関係者となる現場の保護者、教員が置き去りで決められているとお聞きをいたしました。丹南地域の保護者や関係学校の教職員への説明と意見聴取の実態がないのは、非常に問題ではありませんか。また、丹南地区は、福井市の隣であり、福井市内の中学生の進学先でもあり、すぐれて福井市の問題でもあると考えます。高校生の地域間通学は、交通費の負担も生じますが、今後の北陸本線第三セクター鉄道などの経営を考えても、地域間を鉄道や電車で通学する生徒の進学先を縮小させていくことは、今後の地域公共交通にも少なからず影響を与えると考えます。
そこでお尋ねをいたします。丹南地域の保護者や関係学校の教職員への説明と意見聴取の状況、並びに現在の丹南エリアの高校に福井市など丹南エリア外から通学している生徒数と割合、うちJR、電車を利用して通学している割合はどの程度かお答え願います。
国民健康保険県単位化と子育て支援
次に、国民健康保険について質問します。
来年4月から導入される国保広域化は、市町村国保本来の住民密着型の機能を損なう大きな危険があります。それは今回目指すのか、福井のように数年後に目指すのかの違いはありますが、保険料算定の統一であります。その中で現在行われている各市町独自の一般会計からの繰り入れの解消などが求められます。つまり、本質は大阪などで行っている事態が、来年に起こるのか、数年後に起こるのかの違いだけだと言わなくてはなりません。保険料が統一される大阪では、年間所得300万円の40代の御夫婦と未成年の子供2人の標準的な4人世帯で、年間の保険料は大阪市で年間約7万9,000円プラス、高槻市で年間14万1,000円プラスとの試算です。各自治体独自の減免制度も廃止されます。
市役所、町役場は、住民の生活を考えることができなくなり、県が決めたように一般会計からの繰り入れをなくし、課税すればいいだけになってしまいます。県の下請けで自治体独自の計画は何も考えず、機械的課税と税金取り立てだけを行う市役所、町役場におとしめていいのでしょうか。行き着く先は、地方自治ではなく痴呆自死の自治体になりかねないのではないでしょうか。
そこでお尋ねをいたします。大阪のように統一保険料や自治体独自の取り組みの廃止を進めれば、福井県内でも保険税負担の上昇に直結し、社会保障制度の機能がゆがめられ、県民生活を圧迫する懸念があるのではありませんか、県の見解をお尋ねをいたします。
ところで、私はこれまで国保税が子育て世帯により過酷な仕組みになっていることの是正を再三求め、今回、県単位国保に広域化されるのであれば、この機会に福井県庁がイニシアチブを発揮すべきと求めてまいりました。担税力のない子供の多い世帯ほど増税になるという子育て支援、少子化対策に逆行する制度を改める気があるのかないのか、はっきりさせてください。
今回発表された仮算定結果で試算すれば、福井市でいえば医療分で1人2万8,912円、後期高齢者分で1人8,487円が小学生、中学生にも課税されます。3人子の家庭なら、子供の分だけで11万2,197円にもなります。18年間なら約200万円の子育て世帯への子供への負担です。同様に、敦賀市では1人なら4万円、3人子なら12万円という負担になるわけです。
そもそも、所得がない子供への課税が問題です。さらに、小学生にまで75歳以上の後期高齢者医療分を負担させるのは筋違いです。また、子育て支援で医療費は無料化しながら、子供への保険税課税は継続するのも矛盾があります。もちろん、これは福井県だけの責任ではなく、根本は自民党政治の責任であり、このような子育て世代をいじめる政治を長年続け、子育てしづらくしてきた問題の解決が必要であります。
県は、これまで国に要望するなどと答えてきました。しかし、国保県単位化の中で県や市町が協力して抜本的に子育て中の世帯の負担軽減は可能になったわけです。来年4月から子育て世帯で子供の数が多いほど増税にする、このような仕組みの改善を福井県が率先して見直しを行う、このことを強く求めます。県が財政でイニシアチブを発揮できるようになる瞬間だからこそ、少子化対策と逆行する負担のあり方を是正すべきではありませんか、知事の決意をお尋ねをいたします。
廃棄物行政について
最後に、県の廃棄物行政について質問します。
今、県の廃棄物行政を見ておりまして、かつての敦賀民間最終処分場事件、いわゆるキンキクリーンセンター事件の反省を忘れたのかと思わざるを得ません。福井市清水地区に計画の民間最終処分場では、住民の不安の声が広がり続け、2,000名を超える反対署名が県に提出されましたが、県はみずからは地域住民に説明をいたしておりません。福井市光陽中学校そばの通学路沿いの住宅地に、福井市内で初めて感染性医療廃棄物の積みかえ保管施設をつくることについても、地域住民、PTA関係者に不安が広がり、500名を超える署名が県に提出されましたが、その直前に県は許可をいたしました。どちらも住民の懸念に背を向けるという県の姿勢は、敦賀キンキクリーンの事件と同様であります。
私は、これらの経緯を見て、福井県は本当にあの敦賀事件の反省をして、教訓にしているのかなと思います。また、廃棄物行政に関する事務は、福井市の中核市移行に伴い、再来年から福井市に移ります。県が突然駆け込み的に許可する緊急性はありません。県が許可して事業者が問題を起こせば、その責任追及の矛先は許可した県ではなく、事業を移管された福井市に向かうことになるわけです。
敦賀キンキクリーンセンター事件当時も、知事は御存じのように、敦賀市では市民の間で不安が広がり、県へも再三の要請が行われておりました。しかし、県は住民の不安には何ら応えないまま、許可した以上の廃棄物の違法持ち込みが隠せなくなり、明らかになった途端に事業者に処分場を維持するためにと称して違法営業継続を認めるという、とんでもない失態を犯したではありませんか。福井県庁が違法営業を認めたという県政史上に残る汚点は、その直後、私ども日本共産党によってただされました。その途端に事業者であるキンキクリーンセンターは、経営を投げ出して、処分場の維持管理を放棄するという暴挙に出ました。
知事、あなたは当時、副知事でした。この一部始終を御存じであり、責任があります。理事者の中で当時も今も責任がある立場にあるのは、知事お一人です。当時、敦賀市民の懸念や不安の声を県庁がもっと早くからよく聞き、警察などとも協力し、早目に対処することが可能だったはずであります。
そこで知事にお尋ねをいたします。敦賀民間最終処分場事件で敦賀市民、県民の不安の声に耳を貸さず、県行政が重大な誤りを犯した点についての教訓をなぜ生かさないのですか。そして、今回、住民の懸念にもかかわらず、県が地域住民への説明責任を果たさないまま民間最終処分場許可に進むことに問題を感じないのか、知事の見解をお尋ねをいたします。
あわせて、敦賀事件で代執行などにより投入された公費の総額は、現在までに幾らになっているのかお答えください。
さて、先日、県の廃棄物処理施設等設置・適正管理検討会が開催されました。清水地域の住民の皆さんとともに私も傍聴いたしました。検討会の委員長の荒井先生は、福井豪雨のように時間雨量が70ミリから80ミリの豪雨が5時間も6時間も続くとなると、防災調整池があふれることも考えられる。残土は隣接地に盛り土して保管するが、63万立米。相当大規模な盛り土の構造物になるので、防災と環境について慎重な計画をお願いしたいなどと懸念材料を指摘されました。また、地域住民からは、県外から搬入される汚染土について心配されるとの意見が出されました。事業者は、法律にのっとり対応するとし、放射能測定装置で計測するなどと回答しておりました。
そこでお尋ねをいたします。福井県は、今回の処分場計画について、最近の短時間雨量が増大している災害への様相変化──この議会でも議員の皆さんが取り上げられておりましたが、こういう様相変化や全国で相次ぐ盛り土災害を確実に防止するために、どのような対策を事業者に求めているのか。また、敦賀の最終処分場が許可された時点と今回の最終処分場の場合と、処分場で処分可能な放射性物質についての国の基準がどのように変わっているのか、御答弁を願います。
以上、私の一般質問を終わります。
◯議長(松田泰典君) 知事西川君。
〔知事西川一誠君登壇〕
◯知事(西川一誠君) 佐藤議員の一般質問にお答えをいたします。
まず、原子力発電所の再稼働についてであります。
高浜、大飯での同時事故を想定した訓練を後にしている内閣府などに強く抗議をし、近畿府県とともに直ちに同時事故時の防災計画策定と訓練実施を求めるべきではないかとの御質問です。
福井県では、昨年8月に高浜と大飯地域で原子力防災訓練を実施しており、国、また関係府県と連携し、約5,500名の住民が参加した実践的な訓練を実施しております。
大飯地域については、本年10月27日に国が広域避難計画を取りまとめており、11月25日には中川原子力防災担当大臣が来県をされ、その際、早期の訓練実施を求めているところであります。
高浜と大飯原子力発電所が同時に被災をする場合の広域避難でありますが、中川大臣は、10月27日の記者会見で、「今後、関係府県とも調整をし、検討を進めていかなければならない」と述べており、検討項目、今後の検討スケジュールについて国の考え方を確認してまいりたいと思います。
住民の安全・安心の観点からも、防災対策は常に継続して実施することが重要であり、さまざまな訓練を継続し、積み重ねながら防災力の向上に努めてまいりたいと考えます。
その他については、関係部長から答弁します。
◯議長(松田泰典君) 安全環境部長清水君。
〔安全環境部長清水英男君登壇〕
◯安全環境部長(清水英男君) 私からは、原子力関係の1問、それから福井市の処分場関係について2問お答えを申し上げます。
高浜原発、大飯原発について、規制基準適合のための工事の総費用はそれぞれ幾らぐらいなのかと。県内への発注額はそれぞれ幾らぐらいかというお尋ねでございます。
新規制基準適合のための工事費用につきましては、原子炉設置変更許可申請というものが出ております。その中に金額が記載してございますが、高浜1号機から4号機、これを合わせまして3,190億円、大飯の3・4号機が1,220億円というような記載になっております。また、事業者は工事の発注先にかかわる情報につきましては、秘密保持の観点から、公表はしていないという状況でございます。
次に、福井市での廃棄物最終処分場の計画についてでございます。
住民の懸念に対して民間最終処分場を許可することに問題はないかと、敦賀市民間最終処分場における公費の総額は現在まで幾らになっているのかという御質問でございます。
福井市で計画されております廃棄物最終処分場につきましては、県の指導により、事業者は生活改善の保全上、考慮すべき関係地域である白滝町、笹谷町、滝波町から設置の同意を既に得ているところでございます。また、関係地域外の大森町など7地域で説明会を実施してきているところでございます。
本年9月1日でございますが、事業者から処分場の設置許可申請がされ、同月12日から申請書を縦覧し、地域住民からの意見募集も行いました。10月26日には福井市から意見書が提出されたところでございます。その意見書の中身をちょっと御紹介いたしますと、申請書内容の確実な実行、環境法令の遵守、水質検査結果等の情報公開の積極的な実施等を求めるというようなことが福井市から意見書が出されております。
こうした手順を経た上で、11月16日に水質、地盤等の専門家からなる検討会を開催し、廃棄物処理法の許可基準の適合性を審査し、計画は周辺地域の生活環境保全に適正な配慮がなされているという意見が取りまとめられたところでございます。
当該計画につきましては、平成27年11月から行政審査──これは法の審査に先立ちまして県独自にやっているものでございますが、行政指導に基づく審査を行い、福井市に対しましてはこれまで計4回意見書の提出を求めるなど、慎重に手続を進めてきているところでございます。
今後、廃棄物処理法に基づき適切な判断をしてまいりたいと考えているところでございます。
また、敦賀市民間最終処分場に関し、産廃特措法に基づく代執行に要した費用は、平成28年度末までに約106億円となっております。なお、国の補助金、交付税措置が約4割されております。
続きまして、最終処分場の福井市での計画に関して、盛り土被害を確実に防止するために、どのような対策を求めているのか、また放射性物質について基準はどのように変わっているのかというお尋ねでございます。
まず、盛り土災害を防止する対策といたしましては、処分場を造成する際に生じる残土の置き場、これを廃棄物処分場とは別の谷にまず設けております。その上で残土置き場の盛り土が流出しないよう、土砂を固定するための擁壁、暗渠排水の設置、盛り土の十分な転圧──かたく押し固めるということでございます──の実施、表土の流出を防止するための雨水排水路の設置、植栽による盛り土の早期緑化など、県の林地開発行為の許可技術基準に基づき事業者を指導しているところでございます。
それから、放射性廃棄物についての基準でございます。放射性廃棄物の処分を規定している原子炉等規制法の基準は、緩和はされておりません。原子力発電所の解体により発生する廃棄物につきましては、放射性セシウムが1キロ当たり100ベクレルを超えるものは、現在も廃棄物処理法に基づく最終処分場に処分されることはございません。
◯議長(松田泰典君) 健康福祉部長池田君。
〔健康福祉部長池田禎孝君登壇〕
◯健康福祉部長(池田禎孝君) 私からは、県民の暮らし、子育て応援の県政について2点お答えいたします。
国保広域化について、大阪のように統一保険料、自治体独自の取り組みの廃止を進めれば、福井県でも保険税負担の上昇に直結し、県民生活を圧迫する懸念があるのではないかという御質問でございます。
国民保険の保険料につきましては、これまで市町、それから県国民健康保険運営協議会において協議を重ねております。本県におきましては、市町間の医療水準、これが現状で1.3倍の差がございます。今回の各市町の納付金の算定に当たりましては、住民の健康づくりでありますとか疾病予防などのインセンティブが働くよう、この医療費の差を反映することとしております。
本県としては、医療費に見合った保険料負担としまして、保険料水準の統一については当面行わないこととしております。また、現在各市町が独自に行っております一般会計からの繰り入れ等につきましても、一度に解消することは保険料の急激な上昇につながります。こうしたことから、住民生活に影響が生じないよう、市町の実情に応じて段階的に赤字削減するとともに、収納対策をあわせて進めていただくこととしております。また、今回国のほうから1,700億円の公費拡充が行われておりますが、国に対して今後もこの国保の財政基盤を強化し、安定的な運営が図られるよう、全国知事会等を通じて公費拡充の継続実施を要望してまいります。
その上で、将来的な保険料水準の統一につきましては、各市町が医療費適正化、あるいは赤字削減を進めた上で、3年後の県国民健康保険運営方針の見直しの際に、先ほど申し上げました県国民健康保険運営協議会におきまして、その進捗状況を確認するとともに、他県の状況を参考にしながら市町と十分協議し、慎重に判断してまいりたいと考えております。
2点目でございますが、来年4月から子育て世帯で子供の数が多いほど増税となるような仕組みの改善を福井県が率先して改善を行い、少子化対策と逆行する負担のあり方を是正すべきではないかという御質問でございます。
この国民健康保険の保険料でございますが、均等割、世帯平等割、所得割、資産割の4区分がございます。このうち均等割でございますが、医療の提供を受けるという受益に応じて、一人一人が等しく負担すべきものとして、地方税法に基づきまして全ての被保険者、これは子供も含まれますが、賦課されるものでございます。このうち、均等割と平等割でございますが、所得が低い世帯に対しまして、子供を含む被保険者数に応じまして保険料を軽減する措置が設けられております。実質的に子育て世帯の負担軽減が図られておりまして、平成28年度で申し上げますと、国保の加入世帯、本県約10万3,000世帯ございますが、そのうち5万4,000世帯、約53%が軽減措置が図られているという実態がございます。
また、子育て支援を充実する観点から、国に対しまして全国知事会を通じ、子供の均等割軽減措置を初め、幼児教育、保育の無償化や大学等進学者への給付型奨学金の拡充など、子育て世帯の経済的な負担軽減対策を幅広く要望しております。
また、本県といたしましても、これまで中学3年生までの子ども医療費の無料化など、子育てにかかる経済的支援、それから仕事と子育てを両立できる職場環境づくりなど、全国トップクラスとなる子育て支援策を充実しております。また、今後も3人っ子世帯でありますとかひとり親家庭への支援など、さらなる支援の充実を図ってまいりたいと考えております。
◯議長(松田泰典君) 教育委員会教育長東村君。
〔教育委員会教育長東村健治君登壇〕
◯教育委員会教育長(東村健治君) 教育行政につきまして3点お答えいたします。
まず最初に、議員御指摘がございました池田町に関連しました指導死という言葉でございますが、これは第三者委員会の報告書には用いられておりませんので、念のため申し上げます。
過去10年間で県内小中高の生徒の自殺は、それぞれ何人か、うち教員や生徒など学校環境が原因とされるのは何人かとのお尋ねでございます。
本県の児童生徒の自殺につきましては、公立の小中学校におきましては、今回の事案を除き平成20年からの10年間では発生しておりません。高等学校におきましては、自殺の事案は起きておりますが、学校環境が原因とされるものではございません。御遺族からも、お子様の自殺の公表を望まれていないために、人数については差し控えさせていただきます。
続きまして、なぜ複数の教師が過ちを是正できなかったのか、池田中学だけの問題なのか、県教育委員会に全く責任はないと考えているのかとのお尋ねでございます。
池田町の第三者委員会の報告書には、自死の原因は教員の生徒理解や個に応じた指導、校内での報告や相談が十分でなかったこと、管理職による指導監督が徹底されていなかったこととされておりますが、校長を含めた学校全体で対策がとれなかったということが課題であると考えております。
県といたしましては、事案の発生時より直ちに学校にスクールカウンセラーを派遣したり、学校の様子も見た上で、本来の学校運営や授業ができるよう、学校に追加で教員を配置し、町の教育委員会に教職員を派遣するなど、池田町に対しまして援助等を行ってきております。また、10月には小、中、高、特別支援学校の校長や市町の教育委員会の指導主事などを集めまして研修を実施し、再発防止に努めているところでございます。
今後、二度と子供たちのたっとい命が失われることがないよう、校長を初め教員への研修を充実させるとともに、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置を拡充し、各学校における教育相談体制をより一層整えるなど、県全体の未然防止に努めてまいります。
最後に、高校再編計画につきまして、丹南地域の保護者や関係学校の教職員への説明と意見聴取の状況、現在の丹南エリアの高校に福井市など丹南エリア外から通学している生徒数と割合、うちJR、電車を利用して通学している割合についてのお尋ねでございます。
丹南地区の高校再編につきましては、地区の高校教育懇談会を3回開催いたしました。保護者を代表するPTA会長、地区内の7校の高校の校長に加えまして、地元産業界の代表、教育に関する有識者、市町の教育長、同窓会関係、受験する側の中学校校長の方々からの意見をもとに、計画案の概要を取りまとめております。また、関係学校の教職員には、校長から計画案の説明を行っておりまして、さらに先月末には県高等学校PTA連合会役員との懇談の場におきまして、再編の状況について説明をしております。
なお、現在の丹南地区の高校に福井市など丹南地区外から通学している1年生の生徒数は80人でございます。丹南地区7校の1年生の生徒における割合は、6.5%となっております。その9割の72人がJR、電車を利用して通学しているところでございます。
◯議長(松田泰典君) 佐藤君。
◯18番(佐藤正雄君) 教育長に再質問しますが、私、6月の議会のときにも第三者の調査委員会が立ち上がったと、それはそれで大事なんだけども、やっぱり県としてもきちんと検証しなきゃいけないということを、たしか予算特別委員会の場で言ったはずなんですね。
ですから、教育長が再三にわたって指導死という言葉は報告書にないとか、それから報告書では県の責任に触れられていないとか、そういう答弁はおかしいんです。だから、報告書というのは、あそこをいわば取り出して、そこだけ見て調査したわけですよ。県、あなた──東村教育長の責任、知事の責任というのは、県の教育全体の中でこの事件をどう位置づけるかと、どう分析するかということが必要なわけですよ。
ですから、調査委員会の報告書に県の責任に触れられていないからといって、県の責任がないというような論立てはおかしいので、やはりこれは県の教育委員会としても本当に問題がなかったのかと、少人数の学校でああいう事件がなぜ起こったのか、あるいはなぜ校長や複数の教員がそれを防止できなかったのかというのは、やっぱり県の教育委員会の責任として掘り下げてもらわないと、全部第三者委員会の報告書ではこうですよということだけを議会で答弁されても、これは納得ができないし、だからそういう懸念があるから6月議会のときに、ある意味ではそうやってくぎを刺していたんですよね。その辺はきちんと認識として、報告書内にはおさまる問題ではないんだと、やはり県の教育委員会としてはその報告書をもちろん尊重するけれども、もっときちんと検証するという姿勢が必要ではないかということは1点お尋ねします。
それから、安全環境部長、一つはこの議会でも多くの議員から最近の豪雨、洪水、いろいろな問題が質問されましたね。今ちょうど石川県でも、たまたまですが最終処分場の計画を県が認可するいという段階になっているんですね──認可したのかな──なっているんですよ。石川県では、そういう豪雨災害とかがふえているというのに備えて、洪水対策のいわゆる調整池、これを1.5倍の大きさに拡大させるということまでやっぱりやっているわけですね。
福井県もやっぱり、そういう防災面でもっと積極的にやるつもりはないのかどうかということを1点お尋ねしたいのと、それとさっきの放射能レベルは原発から出てくるだけじゃなくて、福島原発事故などで全国に飛び散ったでしょう。全国に飛び散って、原発の外にたくさんあるじゃないですか。それについてどうなのかということをお尋ねしたんです。
◯議長(松田泰典君) 教育委員会教育長東村君。
◯教育委員会教育長(東村健治君) 議員御指摘のとおり、第三者委員会の報告書だけではということでございますので、我々としても池田町の検討結果、この件に関する検討結果を十分聞いてから判断したいと思っておりますし、今回の事案における県の責任は、学校を本来の学校運営が行えるようにするための教員の派遣であるとか、それからカウンセラーの派遣、町教委への教職員派遣による応援、それから再発防止のための各種カウンセラーなどの研修、これらは我々の責任において行わなければならないことだと認識しております。
◯議長(松田泰典君) 安全環境部長清水君。
◯安全環境部長(清水英男君) 民間の最終処分場でございますが、石川県には民間の最終処分場は複数ございます。その中でいろいろな御議論がされているのかとも思います。
それから、防災については、今ほどお話ししましたように、県の基準に基づきしっかり検討しているところでございます。
さらにもう一件でございます。いわゆる燃え殻とかばいじんのお話かと思いますが、これにつきましては現在、他県で処理している例がございますが、あくまでも全部域内で処分されているものでございます。