2021年9月29日 福井県議会予算決算特別委員会での佐藤正雄委員の質疑です。
沖縄戦戦没者遺骨をめぐる問題
◯佐藤委員 日本共産党の佐藤正雄である。
今日は資料を配らせていただいた。1)は一般質問の続きのような話もあるが厚生労働省の資料である。2)は県の健康福祉部から頂いた資料である。3)4)は私の地元に光陽生協クリニックという病院があるが、そこの平野治和医師から頂いた講演の資料である。
辻一憲議員が19日の夜、負傷されて亡くなられたが、20日にこの平野治和医師と面会をして、先ほど紹介もあったが、原子力防災について意見交換するという予定だったとお聞きした。本当に勉強熱心な議員を失ったということは残念でならない。改めて御冥福をお祈りしたいと思う。
それで質問であるが、10月1日から厚生労働省が戦没者遺骨を御遺族の元に帰すということで、遺留品などの手がかりの情報がない戦没者の遺骨の身元特定のためのDNA鑑定の対象地域拡大を踏まえた申請受付が始まる。さきの戦争における福井県の国外、沖縄とか国内での兵士の戦死者数は何人で、うち遺骨が御遺族の元に返還された方が一体何人なのか。それを踏まえて、今回の厚生労働省が取り組む、遺骨を御遺族の元に返すためのDNA鑑定事業に福井県としてどのような規模と体制で取り組むのか、知事の決意をお尋ねする。
◯知 事 さきの大戦でお亡くなりになった戦死者の数は、国外においては2万3,325人、それから沖縄において1,184人と把握をしている。また全国では戦没者の数は約310万人と言われていて、このうち千鳥ケ淵の戦没者墓苑のところに身元不明で残されている遺骨、これが37万114柱であると伺っている。そのうちDNA鑑定によって御遺族の元に返ったものが1,606柱、そのうちの県内分が8柱である。
指摘いただいたように、今回国がDNA鑑定の対象の国・地域を大幅に広げたということは、DNA鑑定の結果、遺族の確認ができるという可能性が非常に高まるので、いいことだと、歓迎すべきことと考えている。
これから県としても、県遺族連合会、それから市や町と連携をしてできるだけ多くの遺族の方に申請を行っていただいて、一人でも多くの遺骨をそれぞれの御遺族にお返しすることができればと考えている。
◯佐藤委員 今、知事から答弁もあったが、沖縄戦でも福井県民1,184人ということである。北陸三県では福井県が一番多いわけである。その戦没者の遺骨を含む土地を、いわゆる土木工事、公共事業に使おうとしている問題がある。これをやられたら遺骨がふるさとの福井県に永久に戻ることはできないということになってしまうわけである。あの戦争の犠牲者は民間人であれ兵士であれ、みんな生きたかったわけである。生きて故郷に帰りたかった方々である。しかし生きて帰ることはかなわなかったと、私の叔父もそうであるがかなわなかったと。せめて遺骨だけでも、DNA鑑定などあらゆる手段を通じて故郷へ戻してあげたいということに立てば、せめてその遺骨を含んだ土地を、もうDNA鑑定ができなくなるという状態にしてはいけないということを知事は考えられないか。
◯知 事 これについては、一般質問でも答弁させていただいているけれども、国の防衛に関わることであるので、基地の移設に伴う埋立てにどういう形で土砂等が使われるかについては、国が考えて進めていくことだと、福井県としてコメントさせていただく立場にないと認識をしている。
◯佐藤委員 非常に残念な答弁である。やはり多くの福井県民の遺骨が、まだあそこに眠っている状況があるわけであるから、それを福井県知事として福井県に戻す、福井県の遺族の元に戻すという立場でぜひ政府に対してもいろんなチャンネルで、別に政府の政策に反対しろとは、僕は言っているが知事に対しては言わないわけであるので、ぜひそこは判断をお願いしたいと思う。
原子力行政
原子力行政であるが、知事は原発新増設・リプレースなどを推進し、エネルギーに占める原子力発電の割合の明確化・目標達成を目指すように国に繰り返しいろんな会議の場などで要請をされている。原子力発電は、今60年間運転ということで福井県で初めて始まっている。さらに政府内では80年間運転というのも議論されてきている。仮に新増設などを行うとすれば、2030年とか2040年代に新しい原子力発電所ができるということになり、2090年代2100年代と、要するに新世紀にまたがって原発が稼働することが想定されるわけであるが、福井県がそういう時期まで原発に固執をするというのは知事の理想なのか。
◯知 事 エネルギーの問題については、これはもう国の安全保障であるとか、それから国民の生活の安定であるとか、また産業の振興、こういったことに深く関わる国として重要な課題だと思うし、また地球温暖化対策にも非常に重要な、とても重要な課題だと認識をしている。そういう意味では、福井県が原子力発電に固執をしているということではなくて、まずは国が長期的に日本国の電力をどういうふうに賄っていくのか、そういうことを示す中で原子力発電の在り方を明らかにする必要があるということを申し上げているところである。また立地地域としても、当然のことながら安全を第一にやっていかなければいけないわけであるので、そういった原子力に関わる技術の継承とか開発、それから人材の育成をどうしていくのか、そういったことを踏まえて、今後原子力発電というものの大きな方向性をどうしていくのかといったことを、国に対して常に考え方を明らかにするように求めている。
◯佐藤委員 地球温暖化対策ということでは気候危機ということで、これはIPCCの6次報告書でも2030年まで9年しかないと、対策が急がれるということが出た。これは当然だと思う。今の政府は、原発もそれに位置付けているという問題があると思うが、石炭火力発電もやめない、原発もやめないというのが今の政府の考え方であるが、やっぱり石炭火力発電所はやめると。原発については、運転中は二酸化炭素を出さないとかいろいろあるけれども、やはり福島の事故のような大変な事故を起こす危険性も一方ではあるし、使用済核燃料の問題もあるわけである。それで県の政策では使用済核燃料は県外の搬出が基本だと。長期間、大量の使用済核燃料を今後生み出すことになる、だからずっと、2080年、2090年、2100年と生み出すことになる。それは結局、さらに数百年、数千年単位で管理していかなくてはならない。今の福井県の考え方にのっとれば、こういうものを県外に結局押しつけるということになるわけであるけれども、そういうことに対して杉本知事は道義的な責任というか、心の痛みというのは全く感じられないのか。
◯知 事 原子力発電については、大きくいえば核燃料サイクルの中で、福井県はその中の発電の部分を担うということで、今実際に原子力発電が稼働しているということだと考えている。そういう中で、結果として福井県の中で発電を行って、そこから出た使用済燃料をどういうところで再処理をして、その後さらにそれを利用していく、こういったことを考えるのは一義的にも国の責任である。そういうことで、我々は常にこれまでもそういったことを国に対して求め続けてきているわけであって、新しく政権が誕生すると思うが、そういった政権に対しても、しっかりと核燃料サイクルの考え方を明らかにしながら、我々の発電所で出た使用済燃料、中間貯蔵どうするのか、その行き場所を早く明確にする、こういったことを求めていきたいと考えている。
◯佐藤委員 日本の昔からのことわざで言えば、後は野となれ山となれということになりかねないわけである。だからこれは、やはり方向転換を強く政府に求めていくし、知事にも求めていきたいと思っている。
◯佐藤委員 関西電力の高浜3、4号機でのプルサーマル、今フランスから船が出港して、プルサーマル燃料を積んで高浜原発に向かっているわけであるが、この関西電力原発由来の分離プルトニウムについて、今のまま高浜原発でMOX燃料として使っていくとすると、なくなるまであと何年かかる計算になるのか。
◯安全環境部長 関西電力が今年の2月に公表している資料によると、関西電力は令和2年度末現在で国内外に約12.6トンのプルトニウムを保有している。また高浜3、4号機におけるプルトニウムの年間の利用目安量を約1.1トンとしている。単純な割り算ということになると約12年ということになるけれども、プラントの運転状況であるとか、燃料の使用体数というものに関わるので、消費年数というのは一概に申し上げられないと考えている。
◯佐藤委員 「もんじゅ」が廃止になって、核燃料サイクル自体は破綻というのは決定的になったわけである。そういう下で、より危険なプルトニウム利用を続けるということ自体が非常に問題だと思う。プルトニウムは、前一般質問で取り上げたが、普通のウラン燃料よりも冷えるのに時間がかかる。仮に乾式とかキャスクに入れるにしても、その使用済の容器がきちんとつくられて開発されていない。いろんな問題があるプルサーマルをどんどん増やして、プルサーマルの使用済燃料をどんどん増やしていくというのはやはり問題ではないか。
◯安全環境部長 これはプルサーマルも含めてであるが、核燃料サイクルの一環であるので、その安全性の問題、今後の道行も含めて国がしっかりと示す必要があると考えている。
◯佐藤委員 全部国任せということでは──福井県の立場としては、原子力の安全とかそういうのは全て国の責任だと、事業者の責任だということを言いたいのだろうが、やはり私ども福井県民としては、全部国任せで大丈夫なのかということにもなるわけである。だからぜひ、この危険なプルトニウム利用というのを見直していただきたいというように思う。
10月末に、県の原子力防災訓練が計画されている。今回は、まだコロナの下ということで住民の参加はそんなに大規模にはならないという話であるが、もし仮に原子力災害が起こった場合に、県内のバス事業者に要請する最大のバスの台数は何事業者で何台になるのか。それは、バス事業者の所有台数に占める割合はどれだけになるのか。また、そのうち現在車検切れとなっているバスがあれば、それは何台あるのかお尋ねする。
◯危機対策監 原子力災害時の住民避難に必要なバスについては福井県バス協会を通じて調達をすることとしている。このバスの必要な台数については広域避難計画の中で定めていて、最も必要台数が多いものは美浜発電所発災時で278台である。この台数についてはバス協会加盟の44事業者が所有する約900台の3割に当たる数字になっている。また車検切れの状況であるが、こちらもバス協会のほうに確認させていただいたところ、コロナ禍による需要の落ち込み、こういった影響で現在車検切れとなっている台数があって、台数については約900台のうち数台程度と聞いている。こうしたことから、車検切れがあったとしても必要な台数は確保できると考えている。
◯佐藤委員 バス事業者の方から、コロナの下でお客さんがいない、そういうことで、いざというときの防災計画でバスの動員がかかっているけれどもなかなか車検もままならないという話も聞いたので質問させてもらった。そういう点では支援制度というか、先ほど除雪の話もあったが、除雪なんかは除雪機械に対して県が車検費用とかいわゆる固定費を、雪が降る年も降らない年もあるけれども機械を持っていないといけないということで、応援したりしているわけであるから、バス事業者に対しても、コロナということもあるし、防災という面もあるので、そういう制度も臨時的にでも考えていただいたらいいのではないかなと思っている。また検討もお願いしたいと思う。コロナの下で、そういうことは要望しておきたいと思う。
省エネ・再生可能エネルギー導入
それから再生可能エネルギーの導入についてお尋ねをしたい。様々議論されているが、自治体独自の省エネの取組の推進というのが非常に大事だと思う。この点で、自治体独自の省エネ推進で、特に24時間フルに使う場所、例えば県立病院とかである。そういう施設での推進というのはとりわけ大事だと思うが、福井県立病院で建設当初と現在を比べると具体的にどのような省エネ推進が行われて、それは年換算で幾らぐらいの節減となっているのかお尋ねをする。
◯健康福祉部長 県立病院であるが、蛍光灯のLED化とか、新築の後、照明器具の人感センサーの設置とか、それから空調機のほうも回転数の最適制御化ということを進めて、建設当初と令和2年度での電気代を比べると、年換算で約460万円の節減ができている。ただこれは電気代全体で申し上げると2%程度である。患者の命を守り体調を維持するということを考えると、24時間、やはり空調は回す必要がある。医療機器も稼働する必要があるので、大幅な削減というのは簡単ではないが、まだ照明のLED化が進んでいない部分も残っているし、またエネルギー効率の高い機器へ更新するということもこれから進めていくことで、できる限り省エネに努めていきたいと思っている。
◯佐藤委員 そういう努力を、今たまたま県立病院だけ名指しでやって申し訳なかった面もあるが、全体として進めていただきたいと思う。
それから住宅である。住宅では断熱していない無断熱の場合と比べて、断熱住宅は40%程度エネルギーの節減になるというのが、国土交通省の研究で出されているようである。しかし新築住宅でも断熱対策をしているのは8割程度と言われているし、新築ではない、もう築何十年もたっている住宅では、もちろんされていないということだと思う。これを引き上げる県独自の補助制度の創設をぜひ求めたいと思うし、現行、福井県は耐震診断・耐震改修助成制度をつくられていると思うが、その耐震診断・耐震改修助成とは少し中身は違うのだけれども、省エネ対策というのも一部そういう住宅支援制度の中に加えていただいて、省エネ診断もセットにして、断熱対策に助成するということなどを提案したいと思うが、県の考えをお尋ねする。
◯土木部長 住宅における省エネルギー化を進めていく上で既存の住宅を含めた断熱性能を向上させていくことは非常に重要であると考えている。現在国において、断熱性能を高めるための施策として、例えば既存住宅における断熱材の挿入や複層ガラス建具、ペアガラスである、そういったガラスへの交換といった改修に対する補助制度の拡充について検討しているところである。
県としても、国の施策や他県の状況を踏まえ、断熱対策の在り方について検討していきたいと考えている。
◯佐藤委員 国が検討して、それが来年度予算のメニューで出てくるのかどうかよく知らないが、国が出せばそれに上乗せするとかいろいろやってもらえばいいし、国がやらなくても県独自で──耐震診断改修助成は県がやっていても、そんなに毎年がばっと出ているわけではないと思う。だから少し上乗せして、そういうことも応援するよということでやっていただいて、奨励してもらうということも大事かなと思うので、検討をよろしくお願いする。
コロナ対策について
◯佐藤委員 最後、福祉行政で何点かお尋ねをする。
コロナワクチンを2回接種した後も先日越前市の介護福祉施設でクラスターが発生した。県としての今後の対応策をお尋ねするとともに、以前ちょっと紹介もさせていただいたが、抗体の減少など、実態の分析と防御反応がどうなっているか、こういう調査も必要ではないかということでお尋ねをしたいと思う。
お手元に配った資料の3、4の4番が、これはある方の1回目ワクチンを接種したけれども抗体は少し増えたと。2回目接種するとばんと、ブースター効果というのか、それで物すごく抗体が増えて、日がたつごとに抗体の数がどんどん減ってくると、こういう表になっている。だから国も3回目接種が必要だという話になっているのだろう。高齢者施設の職員とか入所者というのは、割と早めに接種されている関係もあって、そういう影響もあるのかどうかということもあるので、こういう資料もつけさせていただいたが、その辺県としてはどのように分析されているのかお尋ねする。
◯健康福祉部長 まず今回のクラスター発生に関する県としての取組である。まず陽性者は9月21日の夕方に確認されたわけであるが、直ちに県のクラスター対策班を現地に派遣した。また発表は22日、翌日にさせていただいているわけであるが、その時点で福祉施設職員によるチームも派遣したし、それから他の介護施設での応援職員の派遣ということも県でコーディネートして、現地で支援を全力で各職員が行っているという状況である。
今回の施設のまず一番の要因というのは、やはりワクチン2回ということももちろんあるが、入所者の症状が非常に軽微であったということで、検査に結びつくまでの時間が経過してしまったということがある。そういうこともあって、ワクチンが2回接種されていても、感染が広まることはあり得るということで、集団感染が明らかになってから、直ちに各施設に対して通知を行って、そもそものワクチン接種が進んでいても、健康観察それから手指の消毒やマスク着用、個人防護服の適切な使用などの基本的な対策・取組が変わることなく行われるように確認を行っている。
また国のクラスター対策班、これは発表の日、もうその日の夕方に来ていただいたが、入っていただいて、感染経路の詳しい調査も一緒にさせていただいた。今資料でも提示いただいた、特に高齢者では、若い方に比べて抗体の減少が早いという研究結果も出ていて、現在国もサンプルを集めてデータを整理する段階にある。また私どももそうだが、各県でいわゆるブレークスルー感染のクラスターというのが次々と起こり始めている。これはワクチン接種が進んだことを受けてということだろうと思うが、国もクラスター班中心に分析を進めているので、そのフィードバックを頂いて、感染対策に今後役立てることも含めて、利用させていただきたいと考えている。
◯佐藤委員 今、答弁されたとおりだと思う。2回接種しても感染する。しかも今言われたように、軽微でなかなか検査に結びつかないという場合もやはりあるということである。だから、ワクチン頼みの一本足打法では第6の波を抑えることはできないということは、いよいよはっきりしてきたと思う。そういう点では前から言っているように、PCR検査──これは、先日武生の事業所で、プール方式で大規模検査を何週間かやられたということを聞いているが、介護施設とか医療施設とか学校・保育園とか、そういうところでは検査も定期的にやって、今、部長言われたように、軽微で自覚症状もないし、広がってから気がつくということにならないように、検査をワクチンとセットで取り入れることが必要だと思うが、どうか。
◯健康福祉部長 おっしゃるように、今回の事例で、福井県でもそうだし他県も含めて、2回接種した施設の中でも、接種した人たちの間で感染が広がるということは分かったということで、我々の県の施設の関係者含めて、気持ちを新たにするところではある。
ただ今回の施設もそうであるが、軽微な症状があったということは既に把握していた。この軽微な症状というのは、日々一緒に過ごしている施設の中での把握──健康観察を続けている中で、軽微な症状であったけれども、2回接種しているのでコロナウイルス感染症ではないであろうという思い込みが少しあったというところもあったので、今回の事例も踏まえて、まずは各施設で健康観察をしっかりと続けていく中で、症状があったら直ちに検査する。これは今までのやり方であるが、国のクラスター対策班とも相談はしているが、このやり方を変える必要まではないと伺っているので、これまでも各施設で健康観察を行っておられると思うが、引き続きより厳格に行うことが大切であろうと思う。
◯佐藤委員 部長おっしゃるように、みんなが自覚的にそうなれば、部長のような人ばかりであればいいだろうが、全ての病院・医療従事者・学校の教職員・保育園の保育士含めて、なかなかみんな部長と同じ水準でコロナと向き合っているわけではないので、そこはやはり行政のほうでカバーしていかないといけない。これはまた何が問題かというと、ワクチンを打っていない人も一定数残るわけだから、そういう人にうつったときに、その人が重症化してしまうという問題にもなるわけである。やはりそこは行政がカバーすることがどうしても必要だと思うので、再度要求だけさせていただく。
それから同じような関連であるが、学校でのワクチン接種について、繰り返し学校現場への調査など半ば強制ムードづくりが行われていると、現場からは懸念の声も上がっている。学校への生徒の調査だけでも、8月25日、9月7日、9月16日、9月17日、各種いろいろな文書を出されているようであるが、生徒がワクチンを打たない気持ち、保護者の気持ちいろいろあると思う。そういうことも踏まえれば、きちんと尊重されているのかどうか。繰り返し現場へ調査をかけるという半ば強制するようなことは見直すべきではないかという点をお尋ねする。
◯教育長 生徒や保護者の気持ちまで調査していないので把握はしていないが、接種は強制でないことを常に周知した上で、正しい情報を理解し判断していただけるように、今まで情報提供を行ってきている。特に夏休み中の若年層の接種率が低かったことから、接種希望数や予約の実態を把握するために、9月までに、調査自体は2回ほどと聞いているが、行っている。氏名など個人情報は入力不要とするなど、個人が特定されないように十分配慮して行ってきている。なお10月以降については、今のところ調査は予定していない。
◯佐藤委員 10月以降調査を予定していないというのであれば、強制するようなことがなくなるということで、それはそれで結構だと思う。現場からは、そういう調査が来ると、全県の割合とその学校の割合とかが全部資料で、点数表みたいなものだが、出されるようである。例えば学力テストの点数のようなもので、全県平均とおたくの学校とか出されると、点数の低い校長はびくっとするというのと同じで、全県平均では例えば接種率が6割だと、ところがおたくの学校は2割だとかいうような形で出されると、結局強制していないといってもこれは無言というか、実際に示した圧力になるということがあると思うので、よろしくお願いしたいと思う。
教員についても同じような状況で、教員の調査も2週間おきに7回ということである。妊娠されている方、アレルギーの方、教員の中にもいろいろいらっしゃるわけで、個人の事情、あるいは個人が接種を受けるつもりだがいつ受けるかということも含めて、やはりきちんと尊重すべきではないかと。だから、受けたのか、まだなのか、いつ受けるんだということで、督促をするような雰囲気になってくるのが問題ではないか。あと昼休みを使ってワクチンのビデオを見なさいと依頼しているということもある。学校の授業は授業でちゃんとやって、昼休みの時間にワクチン接種のビデオを上映しなさいということで、そういうことまでやると、結局教員の休憩時間もなくなってくるし、結果的に半ば強制ということになるのではないかという意見があるが、いかがか。
◯学校教育監 先ほど申し上げたように、調査については強制などにならないようには、学校にもお願いをしてやっているつもりである。10月からはやめるということであるし、今のビデオ等については、給食の時間等に黙食をしているので、そういった時間を利用して見ていただくようなお願いはさせていただいた。昼休み中ということで依頼しているつもりはない。
◯佐藤委員 給食の時間が休み時間なのか昼休みの時間なのか、その辺、定義がどうなっているかであるが、いずれにしてもそういう時間まで使ってワクチン接種を半ば強要するようなビデオ上映というのは、私はワクチンを推進すればいいという立場ではあるが、どうなのかということは一言言わせていただきたいと思っている。
公立公的病院統廃合計画
それから資料もお配りしているが、資料の2である。やはりこの間、国全体の行政改革という下で、資料を頂いて、福井県内でもこんなに病院のベッドが減っているのかということで驚いたが、やはり全県満遍なく減っているわけである。これまでも、議会でも各議員いろんな会派の方が取り上げられているが、今、公的公立病院の統廃合計画ということで、県内でも4か所名指しされている。国の作業はコロナでストップしているということも聞いているが、コロナが収まれば引き続きこれはやるんだという厚生労働省の姿勢は変わっていないそうである。福井県として、名指しされた県内4病院の統廃合計画についてはきっぱりノーと、福井県としては受け入れることはできないという意見を国に対して出したのかどうかまず確認をする。併せて、この間の県内の病院のベッド数、これは削減の資料を頂いたが、この影響についてお尋ねする。
◯健康福祉部長 県内で再検証の対象となったのは、あわら病院、三国病院、織田病院、若狭高浜病院の4病院であるが、いずれも急性期だけでなく回復期・慢性期など、医療を幅広く地域住民の皆さんに提供しているし、地域住民の方にとっては必要不可欠な医療機関である。また公立公的病院、この4つの病院を含めて、コロナ患者の受入れとかワクチンの接種で中心的な役割を果たしていただいているので、私どもとしては再編・統合の対象と考えてはいない。回答期限は無期限で伸びているのでいずれの県もそうだと思うが、どちらも回答していないというのが現状であろうと思っている。
それから、県内の病床数の状況であるが、資料で提示いただいたように、1995年の1万5,182床が、25年間で3,800床減少している。ただ厚生労働省の患者調査というのがあって、時点が少しずれるが、2017年の1日当たり入院患者数の推計が9,500人ということであるので、この病床数で医療体制が直ちに影響を受けるということではもちろんない。実際には各医療機関が入院患者数や医療ニーズの変化に応じて病床を削減したり、介護医療院への転換などを進めた結果であると考えている。
介護施設利用負担増大問題
◯佐藤委員 最後の質問になるが、特別養護老人ホームなどの介護保険施設に入所利用する低所得者の食費・居住費を補助する、通称補足給付と言うらしいが、この制度が8月から改悪されて、収入によって違うが、月2万円増えたとか5万円増えたとか7万円増えたとか、負担が増えているということで大変びっくりされる方が出ている。コロナで苦しんでいる中で本当に大変なことだと思う。
県内施設の入所者、ショートステイ利用者のそれぞれの総数と、今回の負担増の対象となったそれぞれの人数、及び県の対応をお尋ねする。
◯健康福祉部長 この補足給付というのは、介護保険制度の中で、原則論としてまず食費と居住費は利用者の自己負担ということがあるわけであるが、低所得の世帯を対象に負担の上限額を定めて、超過する分を市町が補足給付として助成を行うという制度である。今まで預貯金、例えば借金を除いた預貯金が夫婦だと2,000万円以上ある家庭が除外だったが、これが今年の8月から1,500万円とか、区分があるので少し変わるが、一番低い方で1,500万円の預貯金がある方は対象から除くという制度に変わった。現在県内で約570人が、これはショートステイ利用者の中であるが、負担増になる見込みである。この制度の変更と合わせて、社会福祉法人が低所得利用者の自己負担額を施設自身が減免した場合に支援する制度がある。現在県内でもこれを利用をしているところは7割から8割あるけれども、利用についてさらに呼びかけていきたいと思っている。
~以 上~
沖縄戦戦没者遺骨をめぐる問題
◯佐藤委員 日本共産党の佐藤正雄である。
今日は資料を配らせていただいた。1)は一般質問の続きのような話もあるが厚生労働省の資料である。2)は県の健康福祉部から頂いた資料である。3)4)は私の地元に光陽生協クリニックという病院があるが、そこの平野治和医師から頂いた講演の資料である。
辻一憲議員が19日の夜、負傷されて亡くなられたが、20日にこの平野治和医師と面会をして、先ほど紹介もあったが、原子力防災について意見交換するという予定だったとお聞きした。本当に勉強熱心な議員を失ったということは残念でならない。改めて御冥福をお祈りしたいと思う。
それで質問であるが、10月1日から厚生労働省が戦没者遺骨を御遺族の元に帰すということで、遺留品などの手がかりの情報がない戦没者の遺骨の身元特定のためのDNA鑑定の対象地域拡大を踏まえた申請受付が始まる。さきの戦争における福井県の国外、沖縄とか国内での兵士の戦死者数は何人で、うち遺骨が御遺族の元に返還された方が一体何人なのか。それを踏まえて、今回の厚生労働省が取り組む、遺骨を御遺族の元に返すためのDNA鑑定事業に福井県としてどのような規模と体制で取り組むのか、知事の決意をお尋ねする。
◯知 事 さきの大戦でお亡くなりになった戦死者の数は、国外においては2万3,325人、それから沖縄において1,184人と把握をしている。また全国では戦没者の数は約310万人と言われていて、このうち千鳥ケ淵の戦没者墓苑のところに身元不明で残されている遺骨、これが37万114柱であると伺っている。そのうちDNA鑑定によって御遺族の元に返ったものが1,606柱、そのうちの県内分が8柱である。
指摘いただいたように、今回国がDNA鑑定の対象の国・地域を大幅に広げたということは、DNA鑑定の結果、遺族の確認ができるという可能性が非常に高まるので、いいことだと、歓迎すべきことと考えている。
これから県としても、県遺族連合会、それから市や町と連携をしてできるだけ多くの遺族の方に申請を行っていただいて、一人でも多くの遺骨をそれぞれの御遺族にお返しすることができればと考えている。
◯佐藤委員 今、知事から答弁もあったが、沖縄戦でも福井県民1,184人ということである。北陸三県では福井県が一番多いわけである。その戦没者の遺骨を含む土地を、いわゆる土木工事、公共事業に使おうとしている問題がある。これをやられたら遺骨がふるさとの福井県に永久に戻ることはできないということになってしまうわけである。あの戦争の犠牲者は民間人であれ兵士であれ、みんな生きたかったわけである。生きて故郷に帰りたかった方々である。しかし生きて帰ることはかなわなかったと、私の叔父もそうであるがかなわなかったと。せめて遺骨だけでも、DNA鑑定などあらゆる手段を通じて故郷へ戻してあげたいということに立てば、せめてその遺骨を含んだ土地を、もうDNA鑑定ができなくなるという状態にしてはいけないということを知事は考えられないか。
◯知 事 これについては、一般質問でも答弁させていただいているけれども、国の防衛に関わることであるので、基地の移設に伴う埋立てにどういう形で土砂等が使われるかについては、国が考えて進めていくことだと、福井県としてコメントさせていただく立場にないと認識をしている。
◯佐藤委員 非常に残念な答弁である。やはり多くの福井県民の遺骨が、まだあそこに眠っている状況があるわけであるから、それを福井県知事として福井県に戻す、福井県の遺族の元に戻すという立場でぜひ政府に対してもいろんなチャンネルで、別に政府の政策に反対しろとは、僕は言っているが知事に対しては言わないわけであるので、ぜひそこは判断をお願いしたいと思う。
原子力行政
原子力行政であるが、知事は原発新増設・リプレースなどを推進し、エネルギーに占める原子力発電の割合の明確化・目標達成を目指すように国に繰り返しいろんな会議の場などで要請をされている。原子力発電は、今60年間運転ということで福井県で初めて始まっている。さらに政府内では80年間運転というのも議論されてきている。仮に新増設などを行うとすれば、2030年とか2040年代に新しい原子力発電所ができるということになり、2090年代2100年代と、要するに新世紀にまたがって原発が稼働することが想定されるわけであるが、福井県がそういう時期まで原発に固執をするというのは知事の理想なのか。
◯知 事 エネルギーの問題については、これはもう国の安全保障であるとか、それから国民の生活の安定であるとか、また産業の振興、こういったことに深く関わる国として重要な課題だと思うし、また地球温暖化対策にも非常に重要な、とても重要な課題だと認識をしている。そういう意味では、福井県が原子力発電に固執をしているということではなくて、まずは国が長期的に日本国の電力をどういうふうに賄っていくのか、そういうことを示す中で原子力発電の在り方を明らかにする必要があるということを申し上げているところである。また立地地域としても、当然のことながら安全を第一にやっていかなければいけないわけであるので、そういった原子力に関わる技術の継承とか開発、それから人材の育成をどうしていくのか、そういったことを踏まえて、今後原子力発電というものの大きな方向性をどうしていくのかといったことを、国に対して常に考え方を明らかにするように求めている。
◯佐藤委員 地球温暖化対策ということでは気候危機ということで、これはIPCCの6次報告書でも2030年まで9年しかないと、対策が急がれるということが出た。これは当然だと思う。今の政府は、原発もそれに位置付けているという問題があると思うが、石炭火力発電もやめない、原発もやめないというのが今の政府の考え方であるが、やっぱり石炭火力発電所はやめると。原発については、運転中は二酸化炭素を出さないとかいろいろあるけれども、やはり福島の事故のような大変な事故を起こす危険性も一方ではあるし、使用済核燃料の問題もあるわけである。それで県の政策では使用済核燃料は県外の搬出が基本だと。長期間、大量の使用済核燃料を今後生み出すことになる、だからずっと、2080年、2090年、2100年と生み出すことになる。それは結局、さらに数百年、数千年単位で管理していかなくてはならない。今の福井県の考え方にのっとれば、こういうものを県外に結局押しつけるということになるわけであるけれども、そういうことに対して杉本知事は道義的な責任というか、心の痛みというのは全く感じられないのか。
◯知 事 原子力発電については、大きくいえば核燃料サイクルの中で、福井県はその中の発電の部分を担うということで、今実際に原子力発電が稼働しているということだと考えている。そういう中で、結果として福井県の中で発電を行って、そこから出た使用済燃料をどういうところで再処理をして、その後さらにそれを利用していく、こういったことを考えるのは一義的にも国の責任である。そういうことで、我々は常にこれまでもそういったことを国に対して求め続けてきているわけであって、新しく政権が誕生すると思うが、そういった政権に対しても、しっかりと核燃料サイクルの考え方を明らかにしながら、我々の発電所で出た使用済燃料、中間貯蔵どうするのか、その行き場所を早く明確にする、こういったことを求めていきたいと考えている。
◯佐藤委員 日本の昔からのことわざで言えば、後は野となれ山となれということになりかねないわけである。だからこれは、やはり方向転換を強く政府に求めていくし、知事にも求めていきたいと思っている。
◯佐藤委員 関西電力の高浜3、4号機でのプルサーマル、今フランスから船が出港して、プルサーマル燃料を積んで高浜原発に向かっているわけであるが、この関西電力原発由来の分離プルトニウムについて、今のまま高浜原発でMOX燃料として使っていくとすると、なくなるまであと何年かかる計算になるのか。
◯安全環境部長 関西電力が今年の2月に公表している資料によると、関西電力は令和2年度末現在で国内外に約12.6トンのプルトニウムを保有している。また高浜3、4号機におけるプルトニウムの年間の利用目安量を約1.1トンとしている。単純な割り算ということになると約12年ということになるけれども、プラントの運転状況であるとか、燃料の使用体数というものに関わるので、消費年数というのは一概に申し上げられないと考えている。
◯佐藤委員 「もんじゅ」が廃止になって、核燃料サイクル自体は破綻というのは決定的になったわけである。そういう下で、より危険なプルトニウム利用を続けるということ自体が非常に問題だと思う。プルトニウムは、前一般質問で取り上げたが、普通のウラン燃料よりも冷えるのに時間がかかる。仮に乾式とかキャスクに入れるにしても、その使用済の容器がきちんとつくられて開発されていない。いろんな問題があるプルサーマルをどんどん増やして、プルサーマルの使用済燃料をどんどん増やしていくというのはやはり問題ではないか。
◯安全環境部長 これはプルサーマルも含めてであるが、核燃料サイクルの一環であるので、その安全性の問題、今後の道行も含めて国がしっかりと示す必要があると考えている。
◯佐藤委員 全部国任せということでは──福井県の立場としては、原子力の安全とかそういうのは全て国の責任だと、事業者の責任だということを言いたいのだろうが、やはり私ども福井県民としては、全部国任せで大丈夫なのかということにもなるわけである。だからぜひ、この危険なプルトニウム利用というのを見直していただきたいというように思う。
10月末に、県の原子力防災訓練が計画されている。今回は、まだコロナの下ということで住民の参加はそんなに大規模にはならないという話であるが、もし仮に原子力災害が起こった場合に、県内のバス事業者に要請する最大のバスの台数は何事業者で何台になるのか。それは、バス事業者の所有台数に占める割合はどれだけになるのか。また、そのうち現在車検切れとなっているバスがあれば、それは何台あるのかお尋ねする。
◯危機対策監 原子力災害時の住民避難に必要なバスについては福井県バス協会を通じて調達をすることとしている。このバスの必要な台数については広域避難計画の中で定めていて、最も必要台数が多いものは美浜発電所発災時で278台である。この台数についてはバス協会加盟の44事業者が所有する約900台の3割に当たる数字になっている。また車検切れの状況であるが、こちらもバス協会のほうに確認させていただいたところ、コロナ禍による需要の落ち込み、こういった影響で現在車検切れとなっている台数があって、台数については約900台のうち数台程度と聞いている。こうしたことから、車検切れがあったとしても必要な台数は確保できると考えている。
◯佐藤委員 バス事業者の方から、コロナの下でお客さんがいない、そういうことで、いざというときの防災計画でバスの動員がかかっているけれどもなかなか車検もままならないという話も聞いたので質問させてもらった。そういう点では支援制度というか、先ほど除雪の話もあったが、除雪なんかは除雪機械に対して県が車検費用とかいわゆる固定費を、雪が降る年も降らない年もあるけれども機械を持っていないといけないということで、応援したりしているわけであるから、バス事業者に対しても、コロナということもあるし、防災という面もあるので、そういう制度も臨時的にでも考えていただいたらいいのではないかなと思っている。また検討もお願いしたいと思う。コロナの下で、そういうことは要望しておきたいと思う。
省エネ・再生可能エネルギー導入
それから再生可能エネルギーの導入についてお尋ねをしたい。様々議論されているが、自治体独自の省エネの取組の推進というのが非常に大事だと思う。この点で、自治体独自の省エネ推進で、特に24時間フルに使う場所、例えば県立病院とかである。そういう施設での推進というのはとりわけ大事だと思うが、福井県立病院で建設当初と現在を比べると具体的にどのような省エネ推進が行われて、それは年換算で幾らぐらいの節減となっているのかお尋ねをする。
◯健康福祉部長 県立病院であるが、蛍光灯のLED化とか、新築の後、照明器具の人感センサーの設置とか、それから空調機のほうも回転数の最適制御化ということを進めて、建設当初と令和2年度での電気代を比べると、年換算で約460万円の節減ができている。ただこれは電気代全体で申し上げると2%程度である。患者の命を守り体調を維持するということを考えると、24時間、やはり空調は回す必要がある。医療機器も稼働する必要があるので、大幅な削減というのは簡単ではないが、まだ照明のLED化が進んでいない部分も残っているし、またエネルギー効率の高い機器へ更新するということもこれから進めていくことで、できる限り省エネに努めていきたいと思っている。
◯佐藤委員 そういう努力を、今たまたま県立病院だけ名指しでやって申し訳なかった面もあるが、全体として進めていただきたいと思う。
それから住宅である。住宅では断熱していない無断熱の場合と比べて、断熱住宅は40%程度エネルギーの節減になるというのが、国土交通省の研究で出されているようである。しかし新築住宅でも断熱対策をしているのは8割程度と言われているし、新築ではない、もう築何十年もたっている住宅では、もちろんされていないということだと思う。これを引き上げる県独自の補助制度の創設をぜひ求めたいと思うし、現行、福井県は耐震診断・耐震改修助成制度をつくられていると思うが、その耐震診断・耐震改修助成とは少し中身は違うのだけれども、省エネ対策というのも一部そういう住宅支援制度の中に加えていただいて、省エネ診断もセットにして、断熱対策に助成するということなどを提案したいと思うが、県の考えをお尋ねする。
◯土木部長 住宅における省エネルギー化を進めていく上で既存の住宅を含めた断熱性能を向上させていくことは非常に重要であると考えている。現在国において、断熱性能を高めるための施策として、例えば既存住宅における断熱材の挿入や複層ガラス建具、ペアガラスである、そういったガラスへの交換といった改修に対する補助制度の拡充について検討しているところである。
県としても、国の施策や他県の状況を踏まえ、断熱対策の在り方について検討していきたいと考えている。
◯佐藤委員 国が検討して、それが来年度予算のメニューで出てくるのかどうかよく知らないが、国が出せばそれに上乗せするとかいろいろやってもらえばいいし、国がやらなくても県独自で──耐震診断改修助成は県がやっていても、そんなに毎年がばっと出ているわけではないと思う。だから少し上乗せして、そういうことも応援するよということでやっていただいて、奨励してもらうということも大事かなと思うので、検討をよろしくお願いする。
コロナ対策について
◯佐藤委員 最後、福祉行政で何点かお尋ねをする。
コロナワクチンを2回接種した後も先日越前市の介護福祉施設でクラスターが発生した。県としての今後の対応策をお尋ねするとともに、以前ちょっと紹介もさせていただいたが、抗体の減少など、実態の分析と防御反応がどうなっているか、こういう調査も必要ではないかということでお尋ねをしたいと思う。
お手元に配った資料の3、4の4番が、これはある方の1回目ワクチンを接種したけれども抗体は少し増えたと。2回目接種するとばんと、ブースター効果というのか、それで物すごく抗体が増えて、日がたつごとに抗体の数がどんどん減ってくると、こういう表になっている。だから国も3回目接種が必要だという話になっているのだろう。高齢者施設の職員とか入所者というのは、割と早めに接種されている関係もあって、そういう影響もあるのかどうかということもあるので、こういう資料もつけさせていただいたが、その辺県としてはどのように分析されているのかお尋ねする。
◯健康福祉部長 まず今回のクラスター発生に関する県としての取組である。まず陽性者は9月21日の夕方に確認されたわけであるが、直ちに県のクラスター対策班を現地に派遣した。また発表は22日、翌日にさせていただいているわけであるが、その時点で福祉施設職員によるチームも派遣したし、それから他の介護施設での応援職員の派遣ということも県でコーディネートして、現地で支援を全力で各職員が行っているという状況である。
今回の施設のまず一番の要因というのは、やはりワクチン2回ということももちろんあるが、入所者の症状が非常に軽微であったということで、検査に結びつくまでの時間が経過してしまったということがある。そういうこともあって、ワクチンが2回接種されていても、感染が広まることはあり得るということで、集団感染が明らかになってから、直ちに各施設に対して通知を行って、そもそものワクチン接種が進んでいても、健康観察それから手指の消毒やマスク着用、個人防護服の適切な使用などの基本的な対策・取組が変わることなく行われるように確認を行っている。
また国のクラスター対策班、これは発表の日、もうその日の夕方に来ていただいたが、入っていただいて、感染経路の詳しい調査も一緒にさせていただいた。今資料でも提示いただいた、特に高齢者では、若い方に比べて抗体の減少が早いという研究結果も出ていて、現在国もサンプルを集めてデータを整理する段階にある。また私どももそうだが、各県でいわゆるブレークスルー感染のクラスターというのが次々と起こり始めている。これはワクチン接種が進んだことを受けてということだろうと思うが、国もクラスター班中心に分析を進めているので、そのフィードバックを頂いて、感染対策に今後役立てることも含めて、利用させていただきたいと考えている。
◯佐藤委員 今、答弁されたとおりだと思う。2回接種しても感染する。しかも今言われたように、軽微でなかなか検査に結びつかないという場合もやはりあるということである。だから、ワクチン頼みの一本足打法では第6の波を抑えることはできないということは、いよいよはっきりしてきたと思う。そういう点では前から言っているように、PCR検査──これは、先日武生の事業所で、プール方式で大規模検査を何週間かやられたということを聞いているが、介護施設とか医療施設とか学校・保育園とか、そういうところでは検査も定期的にやって、今、部長言われたように、軽微で自覚症状もないし、広がってから気がつくということにならないように、検査をワクチンとセットで取り入れることが必要だと思うが、どうか。
◯健康福祉部長 おっしゃるように、今回の事例で、福井県でもそうだし他県も含めて、2回接種した施設の中でも、接種した人たちの間で感染が広がるということは分かったということで、我々の県の施設の関係者含めて、気持ちを新たにするところではある。
ただ今回の施設もそうであるが、軽微な症状があったということは既に把握していた。この軽微な症状というのは、日々一緒に過ごしている施設の中での把握──健康観察を続けている中で、軽微な症状であったけれども、2回接種しているのでコロナウイルス感染症ではないであろうという思い込みが少しあったというところもあったので、今回の事例も踏まえて、まずは各施設で健康観察をしっかりと続けていく中で、症状があったら直ちに検査する。これは今までのやり方であるが、国のクラスター対策班とも相談はしているが、このやり方を変える必要まではないと伺っているので、これまでも各施設で健康観察を行っておられると思うが、引き続きより厳格に行うことが大切であろうと思う。
◯佐藤委員 部長おっしゃるように、みんなが自覚的にそうなれば、部長のような人ばかりであればいいだろうが、全ての病院・医療従事者・学校の教職員・保育園の保育士含めて、なかなかみんな部長と同じ水準でコロナと向き合っているわけではないので、そこはやはり行政のほうでカバーしていかないといけない。これはまた何が問題かというと、ワクチンを打っていない人も一定数残るわけだから、そういう人にうつったときに、その人が重症化してしまうという問題にもなるわけである。やはりそこは行政がカバーすることがどうしても必要だと思うので、再度要求だけさせていただく。
それから同じような関連であるが、学校でのワクチン接種について、繰り返し学校現場への調査など半ば強制ムードづくりが行われていると、現場からは懸念の声も上がっている。学校への生徒の調査だけでも、8月25日、9月7日、9月16日、9月17日、各種いろいろな文書を出されているようであるが、生徒がワクチンを打たない気持ち、保護者の気持ちいろいろあると思う。そういうことも踏まえれば、きちんと尊重されているのかどうか。繰り返し現場へ調査をかけるという半ば強制するようなことは見直すべきではないかという点をお尋ねする。
◯教育長 生徒や保護者の気持ちまで調査していないので把握はしていないが、接種は強制でないことを常に周知した上で、正しい情報を理解し判断していただけるように、今まで情報提供を行ってきている。特に夏休み中の若年層の接種率が低かったことから、接種希望数や予約の実態を把握するために、9月までに、調査自体は2回ほどと聞いているが、行っている。氏名など個人情報は入力不要とするなど、個人が特定されないように十分配慮して行ってきている。なお10月以降については、今のところ調査は予定していない。
◯佐藤委員 10月以降調査を予定していないというのであれば、強制するようなことがなくなるということで、それはそれで結構だと思う。現場からは、そういう調査が来ると、全県の割合とその学校の割合とかが全部資料で、点数表みたいなものだが、出されるようである。例えば学力テストの点数のようなもので、全県平均とおたくの学校とか出されると、点数の低い校長はびくっとするというのと同じで、全県平均では例えば接種率が6割だと、ところがおたくの学校は2割だとかいうような形で出されると、結局強制していないといってもこれは無言というか、実際に示した圧力になるということがあると思うので、よろしくお願いしたいと思う。
教員についても同じような状況で、教員の調査も2週間おきに7回ということである。妊娠されている方、アレルギーの方、教員の中にもいろいろいらっしゃるわけで、個人の事情、あるいは個人が接種を受けるつもりだがいつ受けるかということも含めて、やはりきちんと尊重すべきではないかと。だから、受けたのか、まだなのか、いつ受けるんだということで、督促をするような雰囲気になってくるのが問題ではないか。あと昼休みを使ってワクチンのビデオを見なさいと依頼しているということもある。学校の授業は授業でちゃんとやって、昼休みの時間にワクチン接種のビデオを上映しなさいということで、そういうことまでやると、結局教員の休憩時間もなくなってくるし、結果的に半ば強制ということになるのではないかという意見があるが、いかがか。
◯学校教育監 先ほど申し上げたように、調査については強制などにならないようには、学校にもお願いをしてやっているつもりである。10月からはやめるということであるし、今のビデオ等については、給食の時間等に黙食をしているので、そういった時間を利用して見ていただくようなお願いはさせていただいた。昼休み中ということで依頼しているつもりはない。
◯佐藤委員 給食の時間が休み時間なのか昼休みの時間なのか、その辺、定義がどうなっているかであるが、いずれにしてもそういう時間まで使ってワクチン接種を半ば強要するようなビデオ上映というのは、私はワクチンを推進すればいいという立場ではあるが、どうなのかということは一言言わせていただきたいと思っている。
公立公的病院統廃合計画
それから資料もお配りしているが、資料の2である。やはりこの間、国全体の行政改革という下で、資料を頂いて、福井県内でもこんなに病院のベッドが減っているのかということで驚いたが、やはり全県満遍なく減っているわけである。これまでも、議会でも各議員いろんな会派の方が取り上げられているが、今、公的公立病院の統廃合計画ということで、県内でも4か所名指しされている。国の作業はコロナでストップしているということも聞いているが、コロナが収まれば引き続きこれはやるんだという厚生労働省の姿勢は変わっていないそうである。福井県として、名指しされた県内4病院の統廃合計画についてはきっぱりノーと、福井県としては受け入れることはできないという意見を国に対して出したのかどうかまず確認をする。併せて、この間の県内の病院のベッド数、これは削減の資料を頂いたが、この影響についてお尋ねする。
◯健康福祉部長 県内で再検証の対象となったのは、あわら病院、三国病院、織田病院、若狭高浜病院の4病院であるが、いずれも急性期だけでなく回復期・慢性期など、医療を幅広く地域住民の皆さんに提供しているし、地域住民の方にとっては必要不可欠な医療機関である。また公立公的病院、この4つの病院を含めて、コロナ患者の受入れとかワクチンの接種で中心的な役割を果たしていただいているので、私どもとしては再編・統合の対象と考えてはいない。回答期限は無期限で伸びているのでいずれの県もそうだと思うが、どちらも回答していないというのが現状であろうと思っている。
それから、県内の病床数の状況であるが、資料で提示いただいたように、1995年の1万5,182床が、25年間で3,800床減少している。ただ厚生労働省の患者調査というのがあって、時点が少しずれるが、2017年の1日当たり入院患者数の推計が9,500人ということであるので、この病床数で医療体制が直ちに影響を受けるということではもちろんない。実際には各医療機関が入院患者数や医療ニーズの変化に応じて病床を削減したり、介護医療院への転換などを進めた結果であると考えている。
介護施設利用負担増大問題
◯佐藤委員 最後の質問になるが、特別養護老人ホームなどの介護保険施設に入所利用する低所得者の食費・居住費を補助する、通称補足給付と言うらしいが、この制度が8月から改悪されて、収入によって違うが、月2万円増えたとか5万円増えたとか7万円増えたとか、負担が増えているということで大変びっくりされる方が出ている。コロナで苦しんでいる中で本当に大変なことだと思う。
県内施設の入所者、ショートステイ利用者のそれぞれの総数と、今回の負担増の対象となったそれぞれの人数、及び県の対応をお尋ねする。
◯健康福祉部長 この補足給付というのは、介護保険制度の中で、原則論としてまず食費と居住費は利用者の自己負担ということがあるわけであるが、低所得の世帯を対象に負担の上限額を定めて、超過する分を市町が補足給付として助成を行うという制度である。今まで預貯金、例えば借金を除いた預貯金が夫婦だと2,000万円以上ある家庭が除外だったが、これが今年の8月から1,500万円とか、区分があるので少し変わるが、一番低い方で1,500万円の預貯金がある方は対象から除くという制度に変わった。現在県内で約570人が、これはショートステイ利用者の中であるが、負担増になる見込みである。この制度の変更と合わせて、社会福祉法人が低所得利用者の自己負担額を施設自身が減免した場合に支援する制度がある。現在県内でもこれを利用をしているところは7割から8割あるけれども、利用についてさらに呼びかけていきたいと思っている。
~以 上~