2021年9月15日、佐藤正雄議員の一般質問です。
◯28番(佐藤正雄君) 日本共産党の佐藤正雄です。
コロナ臨時病床・後遺症について
安倍、菅政権によるコロナ対策の失敗、オリンピック・パラリンピックを開催したことが影響しての感染の爆発的拡大の中、国民の激しい怒りに菅総理は総理の座から降りることを余儀なくされました。実際、オリンピック開幕の7月23日に全国4,200人程度の新規陽性者はパラリンピック開幕の8月24日には2万1,500人を超え、重症者は400人から5倍以上の2,200人となりました。感染爆発、医療崩壊で10万人以上が入院もできないまま自宅療養という名の自宅放置状態におかれている異常な状態が続いております。悲惨な死亡事件も相次いでいます。今の政治では国民の命を守ることができないとの世論と運動がほうはいとして起こっております。日本共産党は、市民の皆さんや立憲民主党などほかの野党の皆さんとも協力して、コロナ対策最優先、医療や介護の切捨てを中止し、ぶれずに命を守る政治への政権交代を目指すものです。
さて、福井県は100床の臨時の医療施設設置などで全国的に注目を集めています。しかし、幸いにして、まだ活用する事態には至っておりません。県としても全県的視野でのコロナ病床と療養施設の拡大を行い、極力使わなくてもいいように頑張っておられると思います。それは、この臨時の医療施設が本格的な稼働となれば医師や看護師の配置が必要となり、そのことは現在行われている通常の医療に強い影響を与えることになるからでしょう。
そこで、お尋ねいたします。この100床が、例えば半分の50床稼働したとき、また100床全部が稼働したと想定した際には、どのくらいの人数の医師と看護師の配置が必要となるのか、また、それは県内幾つの医療機関と内々に協力要請などを進めているのかお尋ねいたします。
また、この間、県としてもコロナ患者の後遺症について明らかにされておりますけれども、最近増えている10代から30代の若い患者と、従来の60代以上の中高年の患者とでは、その後遺症に違いは出ているのか、また、県内での後遺症医療の現状と課題をお尋ねいたします。
生理の貧困問題
第二に、生理の貧困についてです。
先日、新日本婦人の会の皆さんが県教育委員会に対して、学校の女子トイレ個室への生理用品の配置を求めました。県教委は、配置するかどうかは学校の判断であり、保健室に取りにきてもらい相談できることが重要だとの趣旨の回答でした。
御承知のように、この課題は生理の貧困問題として社会問題となり、急速に対応する自治体や学校が増えております。県内でも福井市や鯖江市は、学校のトイレに配置するとしております。県は生活学習館で配布するとしております。
NHKの報道では、経済的な理由で生理用品の入手に苦労した経験のある学生が5人に1人と、3月の若者グループの調査を伝えております。東京港区の調査では生理用品がなくて困ったことがある生徒が17%と、保健室などで把握している状況よりも多くなっております。山口市の調査では「トイレに置いてほしい」が87%、「保健室で構わない」は僅か1%です。
東京都では9月から全ての都立高校でトイレに設置を始めました。5月から先行して実施している新宿高校の校長は、「生理用品って必要なときに必要なだけ使うものでしょう。私だって大便したときにトイレットペーパーがなければすごく困ってしまう。それと同じだなと思ったんです」と語っておられます。実際、新宿高校では3か月半で410以上のナプキンが使用されましたが、去年の保健室での利用は10個程度だったそうです。校長は、「生徒たちはコロナ禍でただでさえストレスの多い生活を送っているので、せめて衛生面での心配をせずに、安心して学校生活を送ってほしいです」と述べておられます。長々とNHKの報道を引用いたしましたが、このような現実は県内でも同様です。
そこで、昨年度の県立高校保健室での利用状況と課題をお尋ねするとともに、県としても、高校生活を衛生面の心配をせずに送っていただくために、県立学校のトイレにトイレットペーパーと同様に生理用品配置を行うべきではありませんか、答弁を求めます。
県職員のストレス、病気など
第三に、県職員の置かれている状況についてです。
コロナ禍で県職員の過重労働、ストレスも大きいものと思います。西川前知事が、「福井県は全国で一番職員を減らした県だ」云々と豪語されていただけに、ほかの県の職員よりも余計に福井県の職員には負荷がかかっているのではないかと懸念されます。
そこで質問いたします。昨年1月以降直近までで、県職員の病休者の人数、切迫流産された人数をお尋ねするとともに、コロナ禍以前と比較しての分析と、今後の対応策についてもお答え願います。
新幹線開業と特急廃止
さて、福井県は、特急存続に代わる新快速乗入れなどに関する検討結果を発表いたしました。根本問題は自民党議員からも指摘がありましたように、フリーゲージトレイン断念の不利益を一手に福井県民とサンダーバード・しらさぎ号利用者が負うことになるのであり、国やJR西日本の、高速交通を寸断しても構わないという無責任な態度に怒りを覚えます。県民要求である特急存続ができなくなることは、公共交通の歴史の汚点となるでしょう。また、私が提案した、現行特急車両をそのまま活用して第三セクター区間は快速運行にすれば、166億円の初期投資なしで現在の利便性を一部でも継続できるわけです。年間数億円程度のマイナス分は、さきの事情から本来国費で負担すべき性格のものであります。フリーゲージトレインには国費数百億円を投じる予定だったのであり、これは収支マイナス分の50年分以上をカバーできる計算です。
なぜ、もっとしたたかに国などと交渉しなかったのか、明らかに願います。
原子力行政・・・未来永劫原発なのか
次に、原子力行政について質問いたします。
県は、10月末に原子力防災訓練を美浜原発事故想定で行うことを発表いたしました。そこで、お尋ねします。美浜町民はじめ県民の間に大きな不安が広がった40年超の老朽原発再稼働のときに、住民参加の防災訓練を行わず、なぜ運転停止後の10月末なのかということです。報道されておりますが、住民団体が美浜町全戸にアンケートを配布し、回答された7割以上の町民が老朽原発再稼働に不安との回答でした。
県は、この町民の不安の声をどう認識し、どう応えていくのか、また、再稼働と住民参加の防災訓練の順序がなぜ逆となったのか、住民の安全よりも国や関西電力の意向に忖度した結果ではありませんか、明確な答弁を求めます。
さて、県内でも廃止の原発が相次いでおりまして、原発廃炉時代となっております。同様に原発廃止時代に入っているアメリカでは、廃止原発の地域の防災計画を見直しして、防災対策の範囲を原発敷地内、つまりオンサイトだけにするなどの動きがあります。例えば2014年末に閉鎖されたバーモント州の原発では、2016年に約16キロ範囲の原子力防災計画地域が撤廃されました。そうなると防災予算は削減され、防災訓練もなくなるわけです。
日本政府も2019年に、廃炉の各プロセスにおけるリスクに応じた安全規制を検討することも必要との見解を資源エネルギー庁が出しています。まさに、後は野となれ山となれの世界になりかねません。仮に原子力発電所が廃止措置に進むとしても、大量の使用済核燃料が保管されております。歴代の県知事が求めるように、それらが全て県外に持ち出され、県内に使用済核燃料も含めて全ての核物質がなくなった状態なら、そういう議論も成り立つでしょう。しかし、それは核燃料サイクル政策の破綻もあり、なかなか非現実的な話です。
そこで、知事にお尋ねをいたします。アメリカで起こっているような、原発廃止とともに防災範囲と体制を縮小していくことについて知事の見解をお尋ねするとともに、アメリカのように原子力防災が縮小されない保証を政府に求めるべきではありませんか、お尋ねをいたします。
米価下落問題
次に、米価の下落問題、消費税インボイス増税問題について質問します。
収穫の秋なのに収穫を喜べないのは生産者米価の値下がりです。JA福井県が決めた生産者に支払う2021年産米の内金は、主力のコシヒカリの一等米1俵は、前年比2,700円減の1万500円、ハナエチゼンは前年比3,200円減の9,000円です。そして、いちほまれは3,300円減の1万2,000円です。北陸農政局の試算でも、米1俵の生産費は1万5,000円。生産費をはるかに下回る米価暴落が起こっています。
この緊急事態に農民団体は、過剰在庫を政府が買い取り、市場から隔離すること、生活困窮者や学生、子ども食堂などへの供給、法的義務もないミニマムアクセス米の輸入中止、転作補助金の大幅拡充などを政府に求めています。政府はこうした抜本対策に背を向けて、農家に史上最大規模となる生産量の5%相当の36万トンもの転作、減反を求めています。それでも来年6月末の在庫が210万トンにもなり、政府が考える180万トンを大きく上回る見通しとなっております。これを放置すれば、多くの農民の離農を広げて、農家、農業経営体の営農破壊と農村衰退と荒廃がさらに加速される重大な危機であります。
過剰在庫の市場からの隔離を政府に強く要求するとともに、県独自でも生活困窮者、学生や子ども食堂への支援米として購入し、各地のJA、社協や子ども食堂、大学などと協力して配布すべきではありませんか、お尋ねをいたします。
また、農家にすれば、手取りが大幅に減少する中で必要経費負担が変わらないという状況を改善するために、例えばカントリーエレベーターの料金などについて県の助成制度をつくり、現場での農家の支払いを軽減する、こういう手だてを講じるべきではありませんか、お尋ねをいたします。
さらに追い打ちをかけるのが、令和5年からの消費税の適格請求書等保存方式、いわゆるインボイス制度であります。登録が来月10月から始まります。これまでの消費税非課税事業者も納税事業者になることが半ば強制されていきます。特に、課税事業者に転換しない農家から直接仕入れているお米屋さんなどが、消費税の税額控除ができずに打撃を受けることになることが想定されます。これは、農協への出荷の場合にはいわゆる農協特例なるものが適用されます。
そこで、お尋ねをいたします。県内の農家、生産組織でいわゆる農協特例に当たらない農家、生産組織のおおよその数と生産量についてお尋ねするとともに、県としての対策をお聞きいたします。
消費税インボイス問題
また、この消費税インボイスには、日本商工会議所や日本税理士連合会などから反対、あるいは延期の要望が上がっております。建設業の一人親方、個人タクシーの運転手、シルバー人材センターで働いている皆さんなど、いわゆる個人事業主にとっても消費税を払わなければならなくなり、1か月分の収入が消費税で消えることにもなりかねないもので、事実上の新たな大増税です。廃業の懸念も出てまいります。
このように、零細の個人事業主への消費税インボイスは生殺与奪の権利を握りかねません。日本共産党はこの間、消費税増税に反対し、来る総選挙でも5%への減税を訴えて政権交代を目指しますが、菅政権は持続化給付金も1回きり、さらに事実上の消費税増税では、まさに小さい事業者は死ねと言わんばかりではありませんか。
コロナ禍で、いろんな業種の皆さんが県などの支援も受けながら必死で生き抜こうとしているときに、非情なインボイス導入の中止を政府に求めるべきではありませんか、県の県内個人事業者への影響の認識と見解をお尋ねいたします。
沖縄戦戦没者遺骨ふくむ土砂を埋め立てに使うな
最後に、戦没者の遺骨の扱いをめぐる重大な問題について質問いたします。
福井新聞の9月4日付の「こだま」欄に、越前市の83歳の湯本多美子さんという方の投書が掲載されておりました。「沖縄戦死者眠る土、軍用地使用に憤り」との見出しがつけられていました。
一部を紹介します。「私の父の除籍簿には、「昭和20年6月21日時刻不詳、沖縄本島島尻郡米須ニ於テ戦死」と記されていますが、日付もその場所もあの戦火の中、定かではありません。今回の埋立てに使われるという土砂の中に、もしかして父の骨や血が染み込んでいるかもしれません。いや父でなくとも、あの戦争で犠牲になった日本人であろうがアメリカ人であろうが、それは許されることでは決してありません。きちんと弔うこともできず、その土を工事の材料に使うという。2度の犠牲を強いる権利が存在するのでしょうか。私は今、この憤りを抑えることができません」。こういう投書の内容でありました。
安倍、菅政治の下で、沖縄でのアメリカ軍基地建設のために戦争に殉じられた人々の遺骨が混じった土砂を使うというのは、これ以上ない戦死者への冒涜ではありませんか。戦死者を2度殺すのか、このような政治は国民から見放されて当然であります。
知事として、この父親を沖縄戦で亡くされた方の慟哭をどう受け止められたのか、そして、沖縄の地に散った福井県民など、多数の国民の骨と血を含む土砂を軍事基地建設に使うべきではないと、知事として政府に働きかけを行うべきではありませんか。戦死者と御遺族の名誉を守る杉本知事の明確な答弁を求め、質問を終わります。
◯副議長(宮本 俊君) 知事杉本君。
〔知事杉本達治君登壇〕
◯知事(杉本達治君) 佐藤正雄議員の一般質問にお答えを申し上げます。
まず、原子力発電所廃止に伴う防災範囲の縮小と保証についてお答え申し上げます。
廃炉をしたときの防災範囲につきましては、アメリカにおきましては、御指摘のとおり、廃炉の決定後に使用済燃料プールに使用済燃料を移す段階で、原子力規制委員会に申請をいたしまして、防災範囲を撤廃している、そういう例があるということは承知いたしているところでございます。
我が国におきましては、IAEAの基準に基づきまして国の原子力災害対策指針が定められておりまして、使用済燃料がプールに移って十分な期間冷却された場合に、防災範囲を原子力施設からおおむね半径5キロメートル以内、今のPAZと同じ範囲とするということにされているところでございます。その上で、福井県の場合、全ての使用済燃料が施設の外に搬出される、県外に出ていくということが想定されるわけですが、そういった搬出、または乾式のキャスクに貯蔵された場合に防災範囲を設けないこととされているところでございます。こうしたことから、アメリカの例のように、使用済燃料がプールに残っている間に防災範囲が撤廃されるということは、日本の場合はないということでございます。
続きまして、沖縄戦戦没者の遺骨などを含む土砂を基地の建設の埋立てに使用することについての御質問にお答えを申し上げます。
私が福井県で副知事になっていたときも、この遺族の皆様方と共に、湯本さんのお父さんが眠られていると思われます沖縄県糸満市の摩文仁の丘、ここに沖縄福井之塔がございますが、毎年10月17日になりますと慰霊祭に伺わせていただいて、参列をさせていただいて、祈りをささげてまいったというところでございます。知事になりましても、昨年はコロナ禍で中止になりましたので参りませんでしたが、令和元年のときには遺族会の皆さんと共に参らせていただいたというところでございます。
投書の内容は、私も拝読させていただきましたけれども、お父様を亡くされた、その思い、切実な思いがつづられているというように考えているところでございます。
一方で、基地の移設計画に基づいて土砂を埋めていくことにつきましては、我が国の防衛、それから安全に基づくものでございまして、福井県として見解を申し述べる立場にはないと考えているところでございます。
そのほかの答弁につきましては、担当より申し上げさせていただきます。
◯副議長(宮本 俊君) 総務部長近松君。
〔総務部長近松茂弘君登壇〕
◯総務部長(近松茂弘君) 私からは1点、県職員の病休者数と切迫流産者の数、コロナ禍以前と比較した分析と今後の対策についてお答え申し上げます。
コロナ禍におけます職員の状況につきまして、令和2年1月から令和3年8月までに病気休暇を取得した職員数につきましては395人でございまして、そのうち切迫流産につきましては15人でございます。コロナ禍前後で比較をさせていただいた場合、令和2年度の病気休暇の取得数につきましては202人でございまして、前年度──令和元年度の231人から29人減少してございます。切迫流産につきましては、令和2年度が11人、前年度の令和元年度が10人でございまして、1人の増加というふうになってございます。
病気休暇の取得者につきましては減少してございますけれども、新型コロナウイルス対策に伴います業務量の増加でございますとか勤務環境の変化といったところ、また、職場におけますコミュニケーションの減少といったところなど、職場環境に関する課題というのは増加しているというふうに考えてございます。こうしたコロナ禍でも職員が安心して職務に従事できるよう、所属長からの声かけでございますとか業務分担の柔軟な見直しを行いますとともに、ストレスチェックの実施でございますとかメンタルケアの専門員による相談対応、また、産業医の個別面談などを通じまして、職員に過度な負荷がかからないよう今後も一層努めてまいりたいと考えております。
◯副議長(宮本 俊君) 地域戦略部長前田君。
〔地域戦略部長前田洋一君登壇〕
◯地域戦略部長(前田洋一君) 私からは1点、特急存続に係る国との交渉についてお答えいたします。
国のフリーゲージトレインの導入断念を受けまして、県といたしましては議会と共に、国、県選出国会議員に対しまして、特急存続について繰り返し要望をしてきたところでございます。しかしながら、国におきましては、フリーゲージトレインは整備方式の一案であって導入を約束したものではない、さらに、敦賀駅での乗換え発生に伴って敦賀駅の構造を上下乗換え方式に変更した、その際に約240億円の投資といいますか整備費で対応しているというような対応でございまして、必要な対応としては既に対応済みであるというスタンスでございます。こうした国のスタンスから、特急存続や新快速の乗入れに係る並行在来線の赤字費用を国に求めていくということについても、非常に難しいものと考えてございます。
こうした中で、県民益を最大にするための実現可能な方策といたしまして、県といたしましては、敦賀駅における乗継ぎ利便性の確保や、並行在来線の快速運行の具体化を図っていきたいというふうに考えてございます。並行在来線は恒常的な収支不足が続くということでございますので、この点につきましても、法制化も含めて財政支援を求めてまいりたいと考えてございます。
◯副議長(宮本 俊君) 安全環境部長野路君。
〔安全環境部長野路博之君登壇〕
◯安全環境部長(野路博之君) 私からは1点、美浜町におけます住民アンケートに対する認識と原子力防災訓練の時期に関する御質問にお答えいたします。
40年超運転の安全性は専門的な内容でもございまして、県民の中には不安を持たれる方もいらっしゃるということは承知してございます。県ではこれまで、県の原子力環境安全管理協議会をはじめといたしまして、様々な機会を通じて国や事業者からの説明を求めてきているところでございます。今後、国はエネルギー基本計画の説明会を全国各地で開催するとしてございまして、県といたしましては、こうした機会に、原子力の安全対策等も含めて分かりやすく丁寧に説明していくよう国や事業者に求めてまいりたいと考えてございます。
また、原子力防災訓練でございますが、令和元年度に美浜発電所を対象といたしまして県独自で訓練を実施しております。今回は、今年1月に策定された美浜地域の広域避難計画に基づく訓練を計画しているところでございます。これまで夏に訓練を実施していることが多かったわけですけれども、今年度については、新型コロナウイルスの感染状況も当然考慮いたしますし、また、市や町ではワクチン接種について大変な労力をかけていらっしゃったということもございます。こうした事情も考慮して、市や町など関係機関と協議した結果、10月末に実施するとしたところでございます。
◯副議長(宮本 俊君) 健康福祉部長窪田君。
〔健康福祉部長窪田裕行君登壇〕
◯健康福祉部長(窪田裕行君) 私からは2点、お答えいたします。
まず、臨時の医療施設の稼働に必要な人員及び医療機関への協力要請の状況についてお尋ねをいただきました。
まず、この臨時の医療施設では、主に軽症者の方を受け入れます。健康観察を行いますとともに、体調が悪化したときには投薬などの初期治療をここで行います。仮に重症化の兆候が見られるような場合には入院医療機関のほうに搬送すると、そういう役割を果たします。
この稼働に必要な人員といたしましては、半分の50床を稼働させた場合には医師1人、看護師4人から5人を、夜間は少なめになりますけれども交代制で確保するということになります。これが100床稼働時には医師1人、看護師7人から8人ということを想定しています。ただし、患者様の状態によりまして必要な人数というのは変わってくると思いますので、受入れ状況に応じて配置をしたいというふうに考えています。
この人員の確保につきましては、現在コロナ患者を受け入れていただいております医療機関が23ありますけれども、こちらと医師会、看護協会と協議を進めておりまして、これらの医療機関、それから医師会等の協力によりまして、もう既に医療従事者を派遣いただく準備は整っているという状況でございます。
それから、新型コロナウイルス患者の方の後遺症についてのお尋ねをいただきました。
新型コロナウイルス感染症に感染した後は、例えば倦怠感とか息切れ等の症状が長引くことがあるというふうに言われております。これらはいわゆる後遺症と呼ばれているわけでございますが、明確な定義はまだ国際的にもなされておりません。また、その原因や治療の方法につきましても、現在、確立されたものは報告されていない、さらに、国においても全国規模の調査、研究というのは行われていないという状況でございます。
一方、県では個別に調査を進めております。退院後、4週間前後に身体面、それから心理面の不調について、お電話等でございますが伺っているということでございまして、直近で言いますと第4波──第4期の調査では、不調があるとお答えになった方は、対象になりました194人中37人でございました。割合にしますと19%ということでございます。年齢別の内訳のこともお尋ねいただきましたが、30歳未満ということになりますと、この時期から少し多めになっていますが91人中17人、一方、60歳以上の方は49人中4人ということになります。
この不調の内容ですけれども、30歳未満の方は、10日間ほど感染症の期間があるんですが、後期に現れてくる味覚、嗅覚障害がずっと続くという方が多くて、こういう方が17人中11人いらっしゃいます。それから、60歳以上の方は体力の低下とか息切れ、せきなどというふうになっています。なお、県内では、後遺症を専門とする医療機関はございませんけれども、不調のある方の多くはかかりつけ医を受診されていると。それで、現在その後、継続的に治療しているような方はいらっしゃらないというふうに伺っております。
後遺症につきましては、まだまだ不明な点が多いわけでございまして、専門機関を有します国に対して、調査、研究及び治療法の確立を、これまでも求めておりますけれども、さらに求めていきたいというふうに思っております。
◯副議長(宮本 俊君) 産業労働部長吉川君。
〔産業労働部長吉川幸文君登壇〕
◯産業労働部長(吉川幸文君) 私からは1点、消費税インボイス導入による県内事業者への影響の認識と見解についてお答えをいたします。
令和5年10月からの消費税インボイス──インボイスというのは請求書のことですけれども、この制度の導入に伴いまして、これまで納税義務が免除されてきた事業者、これは年間課税売上高が1,000万円以下の方々でございますけれども、これは推計で県内約2万者いらっしゃいます、これらの方々に消費税の申告、納税義務が生じますことから、経営に少なからず影響が出るものと予想しております。
消費税の免税制度につきましては、これは消費税が国内で初めて導入されたときに、納税事務の負担軽減のために導入されたものでございまして、本来公平に課されるべき税の趣旨からしますと、今回の制度の導入はやむを得ないものというふうに考えてございます。
また、売上げのみで消費税額の計算が可能な簡易課税制度の利用が可能でございまして、これは比較的事務負担が増えることのない形で申告できる制度でございますので、そういった簡易な制度など、事業者の多くの方が制度をよく知らないという声もございます。こうした声に応えるためにも、県としましては、商工会や商工会議所を通じまして勉強会、講習会を働きかけまして、まずは制度の周知、理解を図ってまいりたいというふうに考えております。
◯副議長(宮本 俊君) 農林水産部長池田君。
〔農林水産部長池田禎孝君登壇〕
◯農林水産部長(池田禎孝君) 私からは3点、お答えいたします。
まず、米の過剰在庫の市場からの隔離、それから、県独自の支援米配布についての御質問でございます。
県では、これまで国に対しまして、コロナ禍等の影響による民間在庫量の米の増加分につきましては、備蓄米でありますとか海外援助米としての活用、あるいはさらなる消費拡大の喚起など、主食用米の価格安定に向けた万全な対策を講ずるよう、県及び全国知事会を通じて強く要望しているところでございます。また、主食用米からの作付転換を進めるため、麦、大豆、ソバ等を栽培した場合に、主食用米と同等以上の所得を確保できるよう、水田活用直接支払交付金といった制度がございます、こちらの単価の維持、予算の確保も国に要望しているところでございます。
県の令和2年産米につきましては、代表質問等でお答えしたように、現在、ほぼ全量が販売契約済みとなってございます。支援米の配布につきましては、政府備蓄米を無償交付する国の制度がございまして、こちらのほうは、まだ申込みを受け付けてございます。子ども食堂等の食事提供団体、それから子ども宅食を行う社協など、食材提供団体に対して継続して周知してまいります。
続きまして、農家の支払いを軽減する手だてについてお答えいたします。
米価の下落に伴う農業収入の減少に対しまして、国では収入保険でありますとか、米・畑作物の収入減少の影響を緩和する交付金──ナラシ対策という制度がございますが、そうした影響を緩和する制度が設けられているところでございます。これらの制度を活用することによりまして、農家は基準収入を下回った額の最大9割の補填を受けることができまして、こちらが稲作農家のセーフティネットというふうになってございます。
県では、この収入保険の加入をさらに推進するため、今回の9月補正予算におきまして、全国で最も手厚い保険料の補助制度を設けることとしてございます。ナラシ対策と併せ、収入保険の加入を推進することにより、生産者の経営安定を図ってまいります。
次に、農協特例に当たらない農家等への県の対応についてでございます。
この農協特例というのは、生産者が農協に委託して行う場合、先ほど産業労働部長から答弁がありました、インボイスの交付が免除されるというふうな制度でございます。本県では主食用米として約12万トンの収穫量がございますが、このうちJA取扱いが約6万トン、半分ございまして、これについては農協特例が適用されるというふうに考えてございます。残り6万トンのうち、農家の自家消費が約2万トンと見込まれておりまして、残りの4万トンのうち、農協特例に該当せず消費税インボイス制度の導入の影響を受ける農家数及び生産量については、詳細な条件といいますか基準があるため不明となってございます。
今後の対策でございますが、現在、JAグループにおきまして、全国段階で消費税のインボイス対策検討会を設置しまして、対応を検討中でございます。こちらを受けまして、福井県のJAグループにおきましても今後対応を検討することとしておりまして、県としましてもJAグループと協力しながら制度の周知など、準備を進めてまいります。
◯副議長(宮本 俊君) 教育委員会教育長豊北君。
〔教育委員会教育長豊北欽一君登壇〕
◯教育委員会教育長(豊北欽一君) 私からは、県立学校における生理用品についてのお尋ねにお答えいたします。
県立高校における生理用品の利用状況としては、昨年度1年間で約600個、1校当たり二十数個となっております。
本県では、高校に限らず、入学時に家族構成や生活状況を確認し、必要に応じて担任と養護教諭が生活面のフォローを行っており、児童生徒には悩みや困ったことがあれば相談するよう小学校から一貫して指導しているほか、自分から相談できない子どもがいることも想定し、声かけとか面談等も行っております。県教委としては、今後も悩みのある生徒に対しては個別相談を原則とし、生理用品を置く場所については学校判断に任せる考えであります。
◯副議長(宮本 俊君) 佐藤君。
◯28番(佐藤正雄君) 時間もあまりありませんが、知事に再質問いたします。
原子力防災については、2019年に資源エネルギー庁が見直すという方針を出しているわけで、それについてはどうなのかと。現況はそうだという知事の説明は分かりました。しかし、資源エネルギー庁の新たな方針が示されてきていて、議論されるということについてはどうなのかと。
2点目は、沖縄の問題は、これは基地の是非を問うているわけではないんです。戦没者の骨とか血が混じった土砂を使うことに対してどうなのかという知事の見解を問うているんです。この2点、お願いします。
◯副議長(宮本 俊君) 知事杉本君。答弁は簡潔にお願いいたします。
〔知事杉本達治君登壇〕
◯知事(杉本達治君) 戦没者の関係につきましては、基地移設の問題は国家の防衛、安全に関することでございますので、福井県として見解を述べる立場にはないと考えております。
◯副議長(宮本 俊君) 安全環境部長野路君。
〔安全環境部長野路博之君登壇〕
◯安全環境部長(野路博之君) 防災範囲のことにつきましては、基本的に原子力規制委員会の所管でございますので、そこで科学的な根拠に基づいてしっかりと議論される必要があるというふうに考えてございます。
◯28番(佐藤正雄君) ちょっと納得がいきませんが、時間ですので終わります。
◯28番(佐藤正雄君) 日本共産党の佐藤正雄です。
コロナ臨時病床・後遺症について
安倍、菅政権によるコロナ対策の失敗、オリンピック・パラリンピックを開催したことが影響しての感染の爆発的拡大の中、国民の激しい怒りに菅総理は総理の座から降りることを余儀なくされました。実際、オリンピック開幕の7月23日に全国4,200人程度の新規陽性者はパラリンピック開幕の8月24日には2万1,500人を超え、重症者は400人から5倍以上の2,200人となりました。感染爆発、医療崩壊で10万人以上が入院もできないまま自宅療養という名の自宅放置状態におかれている異常な状態が続いております。悲惨な死亡事件も相次いでいます。今の政治では国民の命を守ることができないとの世論と運動がほうはいとして起こっております。日本共産党は、市民の皆さんや立憲民主党などほかの野党の皆さんとも協力して、コロナ対策最優先、医療や介護の切捨てを中止し、ぶれずに命を守る政治への政権交代を目指すものです。
さて、福井県は100床の臨時の医療施設設置などで全国的に注目を集めています。しかし、幸いにして、まだ活用する事態には至っておりません。県としても全県的視野でのコロナ病床と療養施設の拡大を行い、極力使わなくてもいいように頑張っておられると思います。それは、この臨時の医療施設が本格的な稼働となれば医師や看護師の配置が必要となり、そのことは現在行われている通常の医療に強い影響を与えることになるからでしょう。
そこで、お尋ねいたします。この100床が、例えば半分の50床稼働したとき、また100床全部が稼働したと想定した際には、どのくらいの人数の医師と看護師の配置が必要となるのか、また、それは県内幾つの医療機関と内々に協力要請などを進めているのかお尋ねいたします。
また、この間、県としてもコロナ患者の後遺症について明らかにされておりますけれども、最近増えている10代から30代の若い患者と、従来の60代以上の中高年の患者とでは、その後遺症に違いは出ているのか、また、県内での後遺症医療の現状と課題をお尋ねいたします。
生理の貧困問題
第二に、生理の貧困についてです。
先日、新日本婦人の会の皆さんが県教育委員会に対して、学校の女子トイレ個室への生理用品の配置を求めました。県教委は、配置するかどうかは学校の判断であり、保健室に取りにきてもらい相談できることが重要だとの趣旨の回答でした。
御承知のように、この課題は生理の貧困問題として社会問題となり、急速に対応する自治体や学校が増えております。県内でも福井市や鯖江市は、学校のトイレに配置するとしております。県は生活学習館で配布するとしております。
NHKの報道では、経済的な理由で生理用品の入手に苦労した経験のある学生が5人に1人と、3月の若者グループの調査を伝えております。東京港区の調査では生理用品がなくて困ったことがある生徒が17%と、保健室などで把握している状況よりも多くなっております。山口市の調査では「トイレに置いてほしい」が87%、「保健室で構わない」は僅か1%です。
東京都では9月から全ての都立高校でトイレに設置を始めました。5月から先行して実施している新宿高校の校長は、「生理用品って必要なときに必要なだけ使うものでしょう。私だって大便したときにトイレットペーパーがなければすごく困ってしまう。それと同じだなと思ったんです」と語っておられます。実際、新宿高校では3か月半で410以上のナプキンが使用されましたが、去年の保健室での利用は10個程度だったそうです。校長は、「生徒たちはコロナ禍でただでさえストレスの多い生活を送っているので、せめて衛生面での心配をせずに、安心して学校生活を送ってほしいです」と述べておられます。長々とNHKの報道を引用いたしましたが、このような現実は県内でも同様です。
そこで、昨年度の県立高校保健室での利用状況と課題をお尋ねするとともに、県としても、高校生活を衛生面の心配をせずに送っていただくために、県立学校のトイレにトイレットペーパーと同様に生理用品配置を行うべきではありませんか、答弁を求めます。
県職員のストレス、病気など
第三に、県職員の置かれている状況についてです。
コロナ禍で県職員の過重労働、ストレスも大きいものと思います。西川前知事が、「福井県は全国で一番職員を減らした県だ」云々と豪語されていただけに、ほかの県の職員よりも余計に福井県の職員には負荷がかかっているのではないかと懸念されます。
そこで質問いたします。昨年1月以降直近までで、県職員の病休者の人数、切迫流産された人数をお尋ねするとともに、コロナ禍以前と比較しての分析と、今後の対応策についてもお答え願います。
新幹線開業と特急廃止
さて、福井県は、特急存続に代わる新快速乗入れなどに関する検討結果を発表いたしました。根本問題は自民党議員からも指摘がありましたように、フリーゲージトレイン断念の不利益を一手に福井県民とサンダーバード・しらさぎ号利用者が負うことになるのであり、国やJR西日本の、高速交通を寸断しても構わないという無責任な態度に怒りを覚えます。県民要求である特急存続ができなくなることは、公共交通の歴史の汚点となるでしょう。また、私が提案した、現行特急車両をそのまま活用して第三セクター区間は快速運行にすれば、166億円の初期投資なしで現在の利便性を一部でも継続できるわけです。年間数億円程度のマイナス分は、さきの事情から本来国費で負担すべき性格のものであります。フリーゲージトレインには国費数百億円を投じる予定だったのであり、これは収支マイナス分の50年分以上をカバーできる計算です。
なぜ、もっとしたたかに国などと交渉しなかったのか、明らかに願います。
原子力行政・・・未来永劫原発なのか
次に、原子力行政について質問いたします。
県は、10月末に原子力防災訓練を美浜原発事故想定で行うことを発表いたしました。そこで、お尋ねします。美浜町民はじめ県民の間に大きな不安が広がった40年超の老朽原発再稼働のときに、住民参加の防災訓練を行わず、なぜ運転停止後の10月末なのかということです。報道されておりますが、住民団体が美浜町全戸にアンケートを配布し、回答された7割以上の町民が老朽原発再稼働に不安との回答でした。
県は、この町民の不安の声をどう認識し、どう応えていくのか、また、再稼働と住民参加の防災訓練の順序がなぜ逆となったのか、住民の安全よりも国や関西電力の意向に忖度した結果ではありませんか、明確な答弁を求めます。
さて、県内でも廃止の原発が相次いでおりまして、原発廃炉時代となっております。同様に原発廃止時代に入っているアメリカでは、廃止原発の地域の防災計画を見直しして、防災対策の範囲を原発敷地内、つまりオンサイトだけにするなどの動きがあります。例えば2014年末に閉鎖されたバーモント州の原発では、2016年に約16キロ範囲の原子力防災計画地域が撤廃されました。そうなると防災予算は削減され、防災訓練もなくなるわけです。
日本政府も2019年に、廃炉の各プロセスにおけるリスクに応じた安全規制を検討することも必要との見解を資源エネルギー庁が出しています。まさに、後は野となれ山となれの世界になりかねません。仮に原子力発電所が廃止措置に進むとしても、大量の使用済核燃料が保管されております。歴代の県知事が求めるように、それらが全て県外に持ち出され、県内に使用済核燃料も含めて全ての核物質がなくなった状態なら、そういう議論も成り立つでしょう。しかし、それは核燃料サイクル政策の破綻もあり、なかなか非現実的な話です。
そこで、知事にお尋ねをいたします。アメリカで起こっているような、原発廃止とともに防災範囲と体制を縮小していくことについて知事の見解をお尋ねするとともに、アメリカのように原子力防災が縮小されない保証を政府に求めるべきではありませんか、お尋ねをいたします。
米価下落問題
次に、米価の下落問題、消費税インボイス増税問題について質問します。
収穫の秋なのに収穫を喜べないのは生産者米価の値下がりです。JA福井県が決めた生産者に支払う2021年産米の内金は、主力のコシヒカリの一等米1俵は、前年比2,700円減の1万500円、ハナエチゼンは前年比3,200円減の9,000円です。そして、いちほまれは3,300円減の1万2,000円です。北陸農政局の試算でも、米1俵の生産費は1万5,000円。生産費をはるかに下回る米価暴落が起こっています。
この緊急事態に農民団体は、過剰在庫を政府が買い取り、市場から隔離すること、生活困窮者や学生、子ども食堂などへの供給、法的義務もないミニマムアクセス米の輸入中止、転作補助金の大幅拡充などを政府に求めています。政府はこうした抜本対策に背を向けて、農家に史上最大規模となる生産量の5%相当の36万トンもの転作、減反を求めています。それでも来年6月末の在庫が210万トンにもなり、政府が考える180万トンを大きく上回る見通しとなっております。これを放置すれば、多くの農民の離農を広げて、農家、農業経営体の営農破壊と農村衰退と荒廃がさらに加速される重大な危機であります。
過剰在庫の市場からの隔離を政府に強く要求するとともに、県独自でも生活困窮者、学生や子ども食堂への支援米として購入し、各地のJA、社協や子ども食堂、大学などと協力して配布すべきではありませんか、お尋ねをいたします。
また、農家にすれば、手取りが大幅に減少する中で必要経費負担が変わらないという状況を改善するために、例えばカントリーエレベーターの料金などについて県の助成制度をつくり、現場での農家の支払いを軽減する、こういう手だてを講じるべきではありませんか、お尋ねをいたします。
さらに追い打ちをかけるのが、令和5年からの消費税の適格請求書等保存方式、いわゆるインボイス制度であります。登録が来月10月から始まります。これまでの消費税非課税事業者も納税事業者になることが半ば強制されていきます。特に、課税事業者に転換しない農家から直接仕入れているお米屋さんなどが、消費税の税額控除ができずに打撃を受けることになることが想定されます。これは、農協への出荷の場合にはいわゆる農協特例なるものが適用されます。
そこで、お尋ねをいたします。県内の農家、生産組織でいわゆる農協特例に当たらない農家、生産組織のおおよその数と生産量についてお尋ねするとともに、県としての対策をお聞きいたします。
消費税インボイス問題
また、この消費税インボイスには、日本商工会議所や日本税理士連合会などから反対、あるいは延期の要望が上がっております。建設業の一人親方、個人タクシーの運転手、シルバー人材センターで働いている皆さんなど、いわゆる個人事業主にとっても消費税を払わなければならなくなり、1か月分の収入が消費税で消えることにもなりかねないもので、事実上の新たな大増税です。廃業の懸念も出てまいります。
このように、零細の個人事業主への消費税インボイスは生殺与奪の権利を握りかねません。日本共産党はこの間、消費税増税に反対し、来る総選挙でも5%への減税を訴えて政権交代を目指しますが、菅政権は持続化給付金も1回きり、さらに事実上の消費税増税では、まさに小さい事業者は死ねと言わんばかりではありませんか。
コロナ禍で、いろんな業種の皆さんが県などの支援も受けながら必死で生き抜こうとしているときに、非情なインボイス導入の中止を政府に求めるべきではありませんか、県の県内個人事業者への影響の認識と見解をお尋ねいたします。
沖縄戦戦没者遺骨ふくむ土砂を埋め立てに使うな
最後に、戦没者の遺骨の扱いをめぐる重大な問題について質問いたします。
福井新聞の9月4日付の「こだま」欄に、越前市の83歳の湯本多美子さんという方の投書が掲載されておりました。「沖縄戦死者眠る土、軍用地使用に憤り」との見出しがつけられていました。
一部を紹介します。「私の父の除籍簿には、「昭和20年6月21日時刻不詳、沖縄本島島尻郡米須ニ於テ戦死」と記されていますが、日付もその場所もあの戦火の中、定かではありません。今回の埋立てに使われるという土砂の中に、もしかして父の骨や血が染み込んでいるかもしれません。いや父でなくとも、あの戦争で犠牲になった日本人であろうがアメリカ人であろうが、それは許されることでは決してありません。きちんと弔うこともできず、その土を工事の材料に使うという。2度の犠牲を強いる権利が存在するのでしょうか。私は今、この憤りを抑えることができません」。こういう投書の内容でありました。
安倍、菅政治の下で、沖縄でのアメリカ軍基地建設のために戦争に殉じられた人々の遺骨が混じった土砂を使うというのは、これ以上ない戦死者への冒涜ではありませんか。戦死者を2度殺すのか、このような政治は国民から見放されて当然であります。
知事として、この父親を沖縄戦で亡くされた方の慟哭をどう受け止められたのか、そして、沖縄の地に散った福井県民など、多数の国民の骨と血を含む土砂を軍事基地建設に使うべきではないと、知事として政府に働きかけを行うべきではありませんか。戦死者と御遺族の名誉を守る杉本知事の明確な答弁を求め、質問を終わります。
◯副議長(宮本 俊君) 知事杉本君。
〔知事杉本達治君登壇〕
◯知事(杉本達治君) 佐藤正雄議員の一般質問にお答えを申し上げます。
まず、原子力発電所廃止に伴う防災範囲の縮小と保証についてお答え申し上げます。
廃炉をしたときの防災範囲につきましては、アメリカにおきましては、御指摘のとおり、廃炉の決定後に使用済燃料プールに使用済燃料を移す段階で、原子力規制委員会に申請をいたしまして、防災範囲を撤廃している、そういう例があるということは承知いたしているところでございます。
我が国におきましては、IAEAの基準に基づきまして国の原子力災害対策指針が定められておりまして、使用済燃料がプールに移って十分な期間冷却された場合に、防災範囲を原子力施設からおおむね半径5キロメートル以内、今のPAZと同じ範囲とするということにされているところでございます。その上で、福井県の場合、全ての使用済燃料が施設の外に搬出される、県外に出ていくということが想定されるわけですが、そういった搬出、または乾式のキャスクに貯蔵された場合に防災範囲を設けないこととされているところでございます。こうしたことから、アメリカの例のように、使用済燃料がプールに残っている間に防災範囲が撤廃されるということは、日本の場合はないということでございます。
続きまして、沖縄戦戦没者の遺骨などを含む土砂を基地の建設の埋立てに使用することについての御質問にお答えを申し上げます。
私が福井県で副知事になっていたときも、この遺族の皆様方と共に、湯本さんのお父さんが眠られていると思われます沖縄県糸満市の摩文仁の丘、ここに沖縄福井之塔がございますが、毎年10月17日になりますと慰霊祭に伺わせていただいて、参列をさせていただいて、祈りをささげてまいったというところでございます。知事になりましても、昨年はコロナ禍で中止になりましたので参りませんでしたが、令和元年のときには遺族会の皆さんと共に参らせていただいたというところでございます。
投書の内容は、私も拝読させていただきましたけれども、お父様を亡くされた、その思い、切実な思いがつづられているというように考えているところでございます。
一方で、基地の移設計画に基づいて土砂を埋めていくことにつきましては、我が国の防衛、それから安全に基づくものでございまして、福井県として見解を申し述べる立場にはないと考えているところでございます。
そのほかの答弁につきましては、担当より申し上げさせていただきます。
◯副議長(宮本 俊君) 総務部長近松君。
〔総務部長近松茂弘君登壇〕
◯総務部長(近松茂弘君) 私からは1点、県職員の病休者数と切迫流産者の数、コロナ禍以前と比較した分析と今後の対策についてお答え申し上げます。
コロナ禍におけます職員の状況につきまして、令和2年1月から令和3年8月までに病気休暇を取得した職員数につきましては395人でございまして、そのうち切迫流産につきましては15人でございます。コロナ禍前後で比較をさせていただいた場合、令和2年度の病気休暇の取得数につきましては202人でございまして、前年度──令和元年度の231人から29人減少してございます。切迫流産につきましては、令和2年度が11人、前年度の令和元年度が10人でございまして、1人の増加というふうになってございます。
病気休暇の取得者につきましては減少してございますけれども、新型コロナウイルス対策に伴います業務量の増加でございますとか勤務環境の変化といったところ、また、職場におけますコミュニケーションの減少といったところなど、職場環境に関する課題というのは増加しているというふうに考えてございます。こうしたコロナ禍でも職員が安心して職務に従事できるよう、所属長からの声かけでございますとか業務分担の柔軟な見直しを行いますとともに、ストレスチェックの実施でございますとかメンタルケアの専門員による相談対応、また、産業医の個別面談などを通じまして、職員に過度な負荷がかからないよう今後も一層努めてまいりたいと考えております。
◯副議長(宮本 俊君) 地域戦略部長前田君。
〔地域戦略部長前田洋一君登壇〕
◯地域戦略部長(前田洋一君) 私からは1点、特急存続に係る国との交渉についてお答えいたします。
国のフリーゲージトレインの導入断念を受けまして、県といたしましては議会と共に、国、県選出国会議員に対しまして、特急存続について繰り返し要望をしてきたところでございます。しかしながら、国におきましては、フリーゲージトレインは整備方式の一案であって導入を約束したものではない、さらに、敦賀駅での乗換え発生に伴って敦賀駅の構造を上下乗換え方式に変更した、その際に約240億円の投資といいますか整備費で対応しているというような対応でございまして、必要な対応としては既に対応済みであるというスタンスでございます。こうした国のスタンスから、特急存続や新快速の乗入れに係る並行在来線の赤字費用を国に求めていくということについても、非常に難しいものと考えてございます。
こうした中で、県民益を最大にするための実現可能な方策といたしまして、県といたしましては、敦賀駅における乗継ぎ利便性の確保や、並行在来線の快速運行の具体化を図っていきたいというふうに考えてございます。並行在来線は恒常的な収支不足が続くということでございますので、この点につきましても、法制化も含めて財政支援を求めてまいりたいと考えてございます。
◯副議長(宮本 俊君) 安全環境部長野路君。
〔安全環境部長野路博之君登壇〕
◯安全環境部長(野路博之君) 私からは1点、美浜町におけます住民アンケートに対する認識と原子力防災訓練の時期に関する御質問にお答えいたします。
40年超運転の安全性は専門的な内容でもございまして、県民の中には不安を持たれる方もいらっしゃるということは承知してございます。県ではこれまで、県の原子力環境安全管理協議会をはじめといたしまして、様々な機会を通じて国や事業者からの説明を求めてきているところでございます。今後、国はエネルギー基本計画の説明会を全国各地で開催するとしてございまして、県といたしましては、こうした機会に、原子力の安全対策等も含めて分かりやすく丁寧に説明していくよう国や事業者に求めてまいりたいと考えてございます。
また、原子力防災訓練でございますが、令和元年度に美浜発電所を対象といたしまして県独自で訓練を実施しております。今回は、今年1月に策定された美浜地域の広域避難計画に基づく訓練を計画しているところでございます。これまで夏に訓練を実施していることが多かったわけですけれども、今年度については、新型コロナウイルスの感染状況も当然考慮いたしますし、また、市や町ではワクチン接種について大変な労力をかけていらっしゃったということもございます。こうした事情も考慮して、市や町など関係機関と協議した結果、10月末に実施するとしたところでございます。
◯副議長(宮本 俊君) 健康福祉部長窪田君。
〔健康福祉部長窪田裕行君登壇〕
◯健康福祉部長(窪田裕行君) 私からは2点、お答えいたします。
まず、臨時の医療施設の稼働に必要な人員及び医療機関への協力要請の状況についてお尋ねをいただきました。
まず、この臨時の医療施設では、主に軽症者の方を受け入れます。健康観察を行いますとともに、体調が悪化したときには投薬などの初期治療をここで行います。仮に重症化の兆候が見られるような場合には入院医療機関のほうに搬送すると、そういう役割を果たします。
この稼働に必要な人員といたしましては、半分の50床を稼働させた場合には医師1人、看護師4人から5人を、夜間は少なめになりますけれども交代制で確保するということになります。これが100床稼働時には医師1人、看護師7人から8人ということを想定しています。ただし、患者様の状態によりまして必要な人数というのは変わってくると思いますので、受入れ状況に応じて配置をしたいというふうに考えています。
この人員の確保につきましては、現在コロナ患者を受け入れていただいております医療機関が23ありますけれども、こちらと医師会、看護協会と協議を進めておりまして、これらの医療機関、それから医師会等の協力によりまして、もう既に医療従事者を派遣いただく準備は整っているという状況でございます。
それから、新型コロナウイルス患者の方の後遺症についてのお尋ねをいただきました。
新型コロナウイルス感染症に感染した後は、例えば倦怠感とか息切れ等の症状が長引くことがあるというふうに言われております。これらはいわゆる後遺症と呼ばれているわけでございますが、明確な定義はまだ国際的にもなされておりません。また、その原因や治療の方法につきましても、現在、確立されたものは報告されていない、さらに、国においても全国規模の調査、研究というのは行われていないという状況でございます。
一方、県では個別に調査を進めております。退院後、4週間前後に身体面、それから心理面の不調について、お電話等でございますが伺っているということでございまして、直近で言いますと第4波──第4期の調査では、不調があるとお答えになった方は、対象になりました194人中37人でございました。割合にしますと19%ということでございます。年齢別の内訳のこともお尋ねいただきましたが、30歳未満ということになりますと、この時期から少し多めになっていますが91人中17人、一方、60歳以上の方は49人中4人ということになります。
この不調の内容ですけれども、30歳未満の方は、10日間ほど感染症の期間があるんですが、後期に現れてくる味覚、嗅覚障害がずっと続くという方が多くて、こういう方が17人中11人いらっしゃいます。それから、60歳以上の方は体力の低下とか息切れ、せきなどというふうになっています。なお、県内では、後遺症を専門とする医療機関はございませんけれども、不調のある方の多くはかかりつけ医を受診されていると。それで、現在その後、継続的に治療しているような方はいらっしゃらないというふうに伺っております。
後遺症につきましては、まだまだ不明な点が多いわけでございまして、専門機関を有します国に対して、調査、研究及び治療法の確立を、これまでも求めておりますけれども、さらに求めていきたいというふうに思っております。
◯副議長(宮本 俊君) 産業労働部長吉川君。
〔産業労働部長吉川幸文君登壇〕
◯産業労働部長(吉川幸文君) 私からは1点、消費税インボイス導入による県内事業者への影響の認識と見解についてお答えをいたします。
令和5年10月からの消費税インボイス──インボイスというのは請求書のことですけれども、この制度の導入に伴いまして、これまで納税義務が免除されてきた事業者、これは年間課税売上高が1,000万円以下の方々でございますけれども、これは推計で県内約2万者いらっしゃいます、これらの方々に消費税の申告、納税義務が生じますことから、経営に少なからず影響が出るものと予想しております。
消費税の免税制度につきましては、これは消費税が国内で初めて導入されたときに、納税事務の負担軽減のために導入されたものでございまして、本来公平に課されるべき税の趣旨からしますと、今回の制度の導入はやむを得ないものというふうに考えてございます。
また、売上げのみで消費税額の計算が可能な簡易課税制度の利用が可能でございまして、これは比較的事務負担が増えることのない形で申告できる制度でございますので、そういった簡易な制度など、事業者の多くの方が制度をよく知らないという声もございます。こうした声に応えるためにも、県としましては、商工会や商工会議所を通じまして勉強会、講習会を働きかけまして、まずは制度の周知、理解を図ってまいりたいというふうに考えております。
◯副議長(宮本 俊君) 農林水産部長池田君。
〔農林水産部長池田禎孝君登壇〕
◯農林水産部長(池田禎孝君) 私からは3点、お答えいたします。
まず、米の過剰在庫の市場からの隔離、それから、県独自の支援米配布についての御質問でございます。
県では、これまで国に対しまして、コロナ禍等の影響による民間在庫量の米の増加分につきましては、備蓄米でありますとか海外援助米としての活用、あるいはさらなる消費拡大の喚起など、主食用米の価格安定に向けた万全な対策を講ずるよう、県及び全国知事会を通じて強く要望しているところでございます。また、主食用米からの作付転換を進めるため、麦、大豆、ソバ等を栽培した場合に、主食用米と同等以上の所得を確保できるよう、水田活用直接支払交付金といった制度がございます、こちらの単価の維持、予算の確保も国に要望しているところでございます。
県の令和2年産米につきましては、代表質問等でお答えしたように、現在、ほぼ全量が販売契約済みとなってございます。支援米の配布につきましては、政府備蓄米を無償交付する国の制度がございまして、こちらのほうは、まだ申込みを受け付けてございます。子ども食堂等の食事提供団体、それから子ども宅食を行う社協など、食材提供団体に対して継続して周知してまいります。
続きまして、農家の支払いを軽減する手だてについてお答えいたします。
米価の下落に伴う農業収入の減少に対しまして、国では収入保険でありますとか、米・畑作物の収入減少の影響を緩和する交付金──ナラシ対策という制度がございますが、そうした影響を緩和する制度が設けられているところでございます。これらの制度を活用することによりまして、農家は基準収入を下回った額の最大9割の補填を受けることができまして、こちらが稲作農家のセーフティネットというふうになってございます。
県では、この収入保険の加入をさらに推進するため、今回の9月補正予算におきまして、全国で最も手厚い保険料の補助制度を設けることとしてございます。ナラシ対策と併せ、収入保険の加入を推進することにより、生産者の経営安定を図ってまいります。
次に、農協特例に当たらない農家等への県の対応についてでございます。
この農協特例というのは、生産者が農協に委託して行う場合、先ほど産業労働部長から答弁がありました、インボイスの交付が免除されるというふうな制度でございます。本県では主食用米として約12万トンの収穫量がございますが、このうちJA取扱いが約6万トン、半分ございまして、これについては農協特例が適用されるというふうに考えてございます。残り6万トンのうち、農家の自家消費が約2万トンと見込まれておりまして、残りの4万トンのうち、農協特例に該当せず消費税インボイス制度の導入の影響を受ける農家数及び生産量については、詳細な条件といいますか基準があるため不明となってございます。
今後の対策でございますが、現在、JAグループにおきまして、全国段階で消費税のインボイス対策検討会を設置しまして、対応を検討中でございます。こちらを受けまして、福井県のJAグループにおきましても今後対応を検討することとしておりまして、県としましてもJAグループと協力しながら制度の周知など、準備を進めてまいります。
◯副議長(宮本 俊君) 教育委員会教育長豊北君。
〔教育委員会教育長豊北欽一君登壇〕
◯教育委員会教育長(豊北欽一君) 私からは、県立学校における生理用品についてのお尋ねにお答えいたします。
県立高校における生理用品の利用状況としては、昨年度1年間で約600個、1校当たり二十数個となっております。
本県では、高校に限らず、入学時に家族構成や生活状況を確認し、必要に応じて担任と養護教諭が生活面のフォローを行っており、児童生徒には悩みや困ったことがあれば相談するよう小学校から一貫して指導しているほか、自分から相談できない子どもがいることも想定し、声かけとか面談等も行っております。県教委としては、今後も悩みのある生徒に対しては個別相談を原則とし、生理用品を置く場所については学校判断に任せる考えであります。
◯副議長(宮本 俊君) 佐藤君。
◯28番(佐藤正雄君) 時間もあまりありませんが、知事に再質問いたします。
原子力防災については、2019年に資源エネルギー庁が見直すという方針を出しているわけで、それについてはどうなのかと。現況はそうだという知事の説明は分かりました。しかし、資源エネルギー庁の新たな方針が示されてきていて、議論されるということについてはどうなのかと。
2点目は、沖縄の問題は、これは基地の是非を問うているわけではないんです。戦没者の骨とか血が混じった土砂を使うことに対してどうなのかという知事の見解を問うているんです。この2点、お願いします。
◯副議長(宮本 俊君) 知事杉本君。答弁は簡潔にお願いいたします。
〔知事杉本達治君登壇〕
◯知事(杉本達治君) 戦没者の関係につきましては、基地移設の問題は国家の防衛、安全に関することでございますので、福井県として見解を述べる立場にはないと考えております。
◯副議長(宮本 俊君) 安全環境部長野路君。
〔安全環境部長野路博之君登壇〕
◯安全環境部長(野路博之君) 防災範囲のことにつきましては、基本的に原子力規制委員会の所管でございますので、そこで科学的な根拠に基づいてしっかりと議論される必要があるというふうに考えてございます。
◯28番(佐藤正雄君) ちょっと納得がいきませんが、時間ですので終わります。