「M-1グランプリ2017」は、とろサーモンが、結成14年目の参加資格最終年で見事優勝、第13代チャンピオンに輝く。
いつものように決勝出場全組をネタ順に評価したい。
■ゆにばーす
ここ数年、お笑い系の番組によく出ていて、次世代のホープ的扱いをされていた。個人的には、ボケのはらがそれほど面白いと思っていなかった。今回は生放送でくじ引きで出場順を決めるというルールのもと、トップバッターという過酷な条件だったが、会場の温かい空気にも助けられ、なかなか見事な漫才を披露した。しゃべり・ネタともに確実に腕を上げている。
■カミナリ
去年の因縁の上沼恵美子が今年も審査員。彼らは果たしてスタイルを変えるのか、興味があった。本番は、むしろ逆にドツく回数を増やす方へネタを持っていった。それに対して、上沼恵美子は90点という高得点を付けた。「あなたたちは、ドツキなしでも笑いが取れる。今回はネタを評価」と抜群のコメント、かつやんわりと公開指導。ここのくだりで、上沼恵美子のバランス感覚に感心した。TV界で40年以上君臨できるわけだ。
■とろサーモン
もともと実力はあり、関西では地位を確立しているコンビ。ただ私は、久保田のすかしたようなふてくされたような態度(もちろん漫才の中におけるキャラ)が、全国区のネタ番組で受け入れられるかという疑問は常に持っていた。今回は、そこを乗り越えて、会場にも審査員にもウケていた。決勝は和牛と票を分けたが、昨年から追加された審査員(渡辺・小朝)はとろサーモンに入れていた。それを反映してとろサーモン4対和牛3。前回の審査員のままならば和牛が優勝だっただけに、この辺りも運があったのだろう。
■スーパーマラドーナ
先日の飲み会で、部下からM-1について聞かれ、私は「敗者復活でスーパーマラドーナが出て来てそのまま優勝する!」と大胆予想をぶっていた。敗者復活で出てきたまでは私の予想どおり。順番も良い感じのところで、このまま行くのではと思ったが、ネタは、イマイチ。田中がほたえているだけの感じがした。もっと武智を使わないと。ボケとツッコミのバランスを欠いた漫才だった。
■かまいたち
キングオブコント王者になった同じ年にM-1チャンピオンにもなるという史上初の快挙を成し遂げるか、非常に注目かつ応援をしていた。もともと本職は漫才師なので、その可能性は十分にあると思われた。今回のネタは小うるさいぼやき漫才風で、一定水準の面白さはあったが、かまいたちなら他にもっと良いネタがあったはずだ。小朝師匠の「勝ち切るネタではなかった」にアグリー。
■マヂカルラブリー
アメトーークの「パクリたい-1グランプリ」に出ていて、コミカルな動きのあるネタを披露していたのを覚えていた。今回決勝に出場するのを知って、「本番の漫才はどんな感じなのだろう」と思ってたら、やはり野田クリスタルがひたすら動いてボケるというスタイルだった。幼稚で一番全く笑えなかったし、審査員の点数も低かった。M-1でたまにある「不思議枠」である。結果的には、上沼恵美子の酷評が番組の一つのハイライトになって良かったんじゃないか。
■さや香
決勝進出組の中では一番無名の存在。結成4年目だとか。事前にYouTubeをチェックしたら何本かネタがアップされていた。デビュー仕立ての頃は、下手で到底見れたもんじゃない。こんなんで大丈夫かと思っていたら、堂々のステージだった。「歌のお兄さん」のネタはYouTubeにもあったが、さらに洗練されていた。温かい、ある意味ハードルの低い観客にも乗せられて、本人たちは満足いく漫才ができたのではないか。
■ミキ
吉本の若手一押しコンビ。昨年も準決勝進出していて、敗者復活戦を観ていたが、かなり面白かった。今年は全国区の番組にもコンビでもピンでもよく出演していて、今回も優勝候補の一角だった。スピーディかつ兄弟ならではの息の合ったやりとり。ネタは今風の話題の中に、古いベタなノリを入れたりと変幻自在である。ファイナルに残ったのも順当。ただ少し力が入り過ぎてガチャガチャしていた。いずれ優勝するだろう。
■和牛
ファーストラウンドのネタは、前半あまり笑いが起きないので、大丈夫かな?と思っていたら、後半の結婚式本番にすべて伏線が張られていて、怒涛の大ウケ。非常に計算された構成だった。最終決戦も、同じような感じで、前半の振りが後半に効いていた。川西演じる旅館の女将が妙にリアルで、しゃべくりだけでなく、演技レベルの高さも示した。私自身は和牛の優勝を確信していたし、翌日会社のメンバーでしゃべっていても和牛の評価が一番高かった。今後も洗練された漫才を期待したい。
■ジャルジャル
これぞジャルジャルワールド。よくぞ、こんな新しいタイプのネタを決勝に持ってきたな。相当練習を積まないとこの漫才はできない。ただ複雑すぎて、「このやりとり、ルールどおりできてんの?」とそっちが気になり過ぎて、大笑いにはなりにくかった。審査員も礼二や大吉まで含めてベテラン芸人には、突き抜けて高い点数を付ける勇気はなかっただろう。そこに95点という今回の自己最高得点を付けた松本人志はやはり、正しく筋が通っている。福徳の点数を観た後のショックの表情が今回のネタにかけてきた思いを感じられた。
以上、50歳の大台に乗ってもこんなことを真面目に書いている自分がつくづく情けなく、かつ、わりと好きだったりする。
いつものように決勝出場全組をネタ順に評価したい。
■ゆにばーす
ここ数年、お笑い系の番組によく出ていて、次世代のホープ的扱いをされていた。個人的には、ボケのはらがそれほど面白いと思っていなかった。今回は生放送でくじ引きで出場順を決めるというルールのもと、トップバッターという過酷な条件だったが、会場の温かい空気にも助けられ、なかなか見事な漫才を披露した。しゃべり・ネタともに確実に腕を上げている。
■カミナリ
去年の因縁の上沼恵美子が今年も審査員。彼らは果たしてスタイルを変えるのか、興味があった。本番は、むしろ逆にドツく回数を増やす方へネタを持っていった。それに対して、上沼恵美子は90点という高得点を付けた。「あなたたちは、ドツキなしでも笑いが取れる。今回はネタを評価」と抜群のコメント、かつやんわりと公開指導。ここのくだりで、上沼恵美子のバランス感覚に感心した。TV界で40年以上君臨できるわけだ。
■とろサーモン
もともと実力はあり、関西では地位を確立しているコンビ。ただ私は、久保田のすかしたようなふてくされたような態度(もちろん漫才の中におけるキャラ)が、全国区のネタ番組で受け入れられるかという疑問は常に持っていた。今回は、そこを乗り越えて、会場にも審査員にもウケていた。決勝は和牛と票を分けたが、昨年から追加された審査員(渡辺・小朝)はとろサーモンに入れていた。それを反映してとろサーモン4対和牛3。前回の審査員のままならば和牛が優勝だっただけに、この辺りも運があったのだろう。
■スーパーマラドーナ
先日の飲み会で、部下からM-1について聞かれ、私は「敗者復活でスーパーマラドーナが出て来てそのまま優勝する!」と大胆予想をぶっていた。敗者復活で出てきたまでは私の予想どおり。順番も良い感じのところで、このまま行くのではと思ったが、ネタは、イマイチ。田中がほたえているだけの感じがした。もっと武智を使わないと。ボケとツッコミのバランスを欠いた漫才だった。
■かまいたち
キングオブコント王者になった同じ年にM-1チャンピオンにもなるという史上初の快挙を成し遂げるか、非常に注目かつ応援をしていた。もともと本職は漫才師なので、その可能性は十分にあると思われた。今回のネタは小うるさいぼやき漫才風で、一定水準の面白さはあったが、かまいたちなら他にもっと良いネタがあったはずだ。小朝師匠の「勝ち切るネタではなかった」にアグリー。
■マヂカルラブリー
アメトーークの「パクリたい-1グランプリ」に出ていて、コミカルな動きのあるネタを披露していたのを覚えていた。今回決勝に出場するのを知って、「本番の漫才はどんな感じなのだろう」と思ってたら、やはり野田クリスタルがひたすら動いてボケるというスタイルだった。幼稚で一番全く笑えなかったし、審査員の点数も低かった。M-1でたまにある「不思議枠」である。結果的には、上沼恵美子の酷評が番組の一つのハイライトになって良かったんじゃないか。
■さや香
決勝進出組の中では一番無名の存在。結成4年目だとか。事前にYouTubeをチェックしたら何本かネタがアップされていた。デビュー仕立ての頃は、下手で到底見れたもんじゃない。こんなんで大丈夫かと思っていたら、堂々のステージだった。「歌のお兄さん」のネタはYouTubeにもあったが、さらに洗練されていた。温かい、ある意味ハードルの低い観客にも乗せられて、本人たちは満足いく漫才ができたのではないか。
■ミキ
吉本の若手一押しコンビ。昨年も準決勝進出していて、敗者復活戦を観ていたが、かなり面白かった。今年は全国区の番組にもコンビでもピンでもよく出演していて、今回も優勝候補の一角だった。スピーディかつ兄弟ならではの息の合ったやりとり。ネタは今風の話題の中に、古いベタなノリを入れたりと変幻自在である。ファイナルに残ったのも順当。ただ少し力が入り過ぎてガチャガチャしていた。いずれ優勝するだろう。
■和牛
ファーストラウンドのネタは、前半あまり笑いが起きないので、大丈夫かな?と思っていたら、後半の結婚式本番にすべて伏線が張られていて、怒涛の大ウケ。非常に計算された構成だった。最終決戦も、同じような感じで、前半の振りが後半に効いていた。川西演じる旅館の女将が妙にリアルで、しゃべくりだけでなく、演技レベルの高さも示した。私自身は和牛の優勝を確信していたし、翌日会社のメンバーでしゃべっていても和牛の評価が一番高かった。今後も洗練された漫才を期待したい。
■ジャルジャル
これぞジャルジャルワールド。よくぞ、こんな新しいタイプのネタを決勝に持ってきたな。相当練習を積まないとこの漫才はできない。ただ複雑すぎて、「このやりとり、ルールどおりできてんの?」とそっちが気になり過ぎて、大笑いにはなりにくかった。審査員も礼二や大吉まで含めてベテラン芸人には、突き抜けて高い点数を付ける勇気はなかっただろう。そこに95点という今回の自己最高得点を付けた松本人志はやはり、正しく筋が通っている。福徳の点数を観た後のショックの表情が今回のネタにかけてきた思いを感じられた。
以上、50歳の大台に乗ってもこんなことを真面目に書いている自分がつくづく情けなく、かつ、わりと好きだったりする。