ラグビーW杯、初戦で日本は優勝候補の南アフリカに34対32で逆転勝ち。歴史的勝利をあげた。ラグビー経験者(大学の体育で1年間ラグビーを選択していただけだが…(^_^;))としても大変嬉しい。
熱狂的な報道の中で、「日本の大金星を分析する」みたいな“後付け”の記事が多い。結果を見てからだと誰でも何でも言える。
そんな中、「週刊ダイヤモンド 1月5日号」の特集「2015総予測」で
『ラグビー日本代表はなぜ“強豪”になったのか W杯勝利へのマネジメント術 ――ラグビー日本代表ヘッドコーチ エディー・ジョーンズ氏に聞く』というエディ・ジョーンズのインタビュー記事を発見。半年前に今回の勝利を予言するようなヘッドコーチの珠玉のコメントを掲載していた。
<以下要点>
・私が就任した2012年には、選手は世界で一番良いチームになれるとは心からは信じていなかったはずです。というのも、日本の選手たちはこれまで大学やクラブでの「日本一」にしか興味がなく、それで満足する、ドメスティックな考え方でした。私はそうした選手たちのマインドセット(考え方の枠組み)を、世界で通用するように変えようとしたのです。
・取り組んだことの一つは朝5時に練習を始める「ヘッドスタート」です。世界の誰もが寝ている時間に仕事に取り組み、前に進むという意味があります。それが結果につながり、自信になっていきます。
・日本人は身体が小さいので、パスの回数を増やし、スペースを作ることが大事です。それが、私が提唱する「JAPAN WAY」というスタイルの根本です。もう一つ「モダン武士道」という準備方法も取り入れました。ハードワークと規律を重要視し、スポーツ科学も取り入れています。要は1日に5時間も6時間も練習するのではなく、もっとスマートにトレーニングをするのです。
・大事なのは「価値観の転換」です。私が目指すラグビーでは、自陣の一番底からでもアタックする勇気が必須です。ところが今、日本のほとんどのチームでは「自陣の後方4分の1ではキックする」などと、チェスのように戦術が決まっています。私はこれを変え、どこにボールがあってもスペースを作り、所有率を高める方法を目指しています。これは一時代を築いたスペインのサッカーと似ています。
・日本はこれまで、1試合で最大225回のパスを回しました。世界では、1位のニュージーランド代表オールブラックスのパス本数が平均175回で、2位の南アフリカ代表は90回と、スタイルの違いが歴然です。パスの回数は重要なわけではありませんが、プレースタイルの違いは顕著です。
・日本で成功しているスポーツが何かを調べました。まず、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で優勝した原辰徳監督に会いにいき、女子バレーボールの真鍋政義監督と女子サッカーの佐々木則夫監督にも、教えを請いにいきました。特にバレーとサッカーは、体格的なハンディを、頭を使い、運動量を上げることで補って、勝っていました。そして、この3人に共通していたのが、日本の「強み」を見つけていたことです。
・代表の外国人への登用は恥ずかしいことではありません。彼らのパワーが必要なのです。オーストラリア代表でも、重要なポジションがトンガ人やフィジー人だったりします。もちろん、各国とも本音は自国民で固めたいのかもしれません。ですが、世界の流れは、色々な国民をミックスする方向を強めています。ニューヨークやロンドンなどの大都市が人種のるつぼとなっているのと同じです。ただ、日本人が外国人選手に圧倒されないことには気をつけています。スタイルは日本的であってほしいから、意思決定者は日本人でありたいと思っています。
・準備は順調かと言われると、物事には必ず最終コーナーがあり、確実なことはありません。ですが、計画を立て、柔軟性を持って、細かく訓練することで対応していきたいと思っています。
・W杯の一番の見どころは、最初の南アフリカ代表との試合ですね。日本は今まで南アフリカと対戦したことがありません。彼らは世界で最もサイズが大きく、逆に日本は最も小さいチームです。勝つためには、戦い方を徹底しないといけません。
以上、本気で勝つための準備をしていたことが分かる。
こういうのを本当の組織改革というのだ。大いに見習いたい。