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枚方の関西医大に行ったあと駅前の蔦屋書店に。短歌のコーナーでふと手にしたのがこの本。数行のアオハルっぽい恋歌が目に飛び込んできて購入。歌集なんて、いつも偶然の出会いみたいにしてお買い上げ。歌人の名も知らなければ、何かの推薦でもなし。一つの歌だけで、惚れてしまうのですね。
目に留まったのは、
ふと君が僕の名前を呼ぶときに吸う息も風のひとつと思う
それはもうほとんどたましい たったふたつの雪見だいふく君と分ければ
電線に届かず切られる街路樹の生命の高さに制限はあり
傘立ての底に溜まった雨粒が粒から過去に変わる夜更けに
過去なんてあるようでないすべり台塗り替えられた団地の中で
「訳あり」と呼ばれてもいい傷付かず生きるのは難しいよな、煎餅
筆談で祖父は「へへへ」と笑い声を書き足している険しき顔で
ビニールの中の金魚におそらくは最初で最後のまちを見せてる
夜の道に浮かぶ遠景 ふるさとは例えば寝そべるイオンの灯り