世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

ベニシジミ

2007-07-21 10:31:51 | 生命

 

今年の春、一番最初に撮れた、ベニシジミのメスです。春まだ浅く、サクラもまだ咲いていなかった頃。冬の名残の枯野のあちこちに、緑が少しずつ芽吹き始めた頃でしたね。まっさらでぴんぴんの翅。きっとまだ目覚めたばかりだったんでしょう。

咲き始めた花を追いかけて、モンシロチョウが飛んでいました。その写真を撮ろうとしてのっぱらを散策していたのですけど、モンシロチョウはすばやくて、すぐに飛んでいってしまう。ため息をついていると、ひらりと赤いベニシジミが、わたしのところに飛んできてくれて、ほら、写真撮りなさいって、言うみたいに、ポーズをとってくれました。

やさしいなあ。暖かくて、かわいくて、何気なくきてくれる。そんなチョウチョみたいです。ベニシジミは、じっとしてくれるから、写真がとても撮りやすい。かわいくて、とてもすき。

2枚目は、一月ほど前、幼稚園の近くのイチョウの木の下で、出会ったものです。こちらはオス。すりきれていたんだ翅が、またきれいです。春先には濃い紅だった色が、いくぶんくすんで、やさしくなっている。いいな、きれいだな。

どんなことがあったのかな。雨風の日もあったろうな。蜘蛛やかまきりにあった日もあったろうな。子供の指をあやうくすりんけたなんてこともあったかな。恋もしたろうな。きっと卵も産んだろうな。かわいかったろうな。

すりきれた翅を、日差しに暖めながら、言っているような気がする。

苦しいこともあったけど、なんでもなかったよ。楽しかったよ。

 

なにもかもみな、すばらしかったよ。

 

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする