おれも仲間を守っていた、と鹿は言った。
アシメックはぼんやりと鹿を見ていた。鹿の目は月の明るい夜空のような深い青色をしていたが、その中に何かが見えるような気がした。こいつはだれだろう。
星の光が静かに降っていた。アシメックと鹿はしばしともに沈黙を抱いた。夢の中で、何かが起ころうとしていた。
だがおれは死んだ。おれはアルカラより遠いところにいく。おまえは、おれの体を食え。そしておれの角を、神にささげるがいい。そうすればおれは、おまえを祝ってやる。
そういうと鹿は、幻のように解けて消えていった。ふと背後から、またどこかで聞いたことのある声がした。
ケバルライ
その声はアシメックをそう呼んだ。
ケバルライ? それはなんだ、と振り返った途端、彼は目を覚ました。