「女って、どんな感じなの?」
ネオはある日、サリクに尋ねた。あの山での一件以来、ネオはサリクの家に入り浸っていたのだ。サリクはちょっと困った顔をしながら、答えた。
「そりゃあおまえ、いいもんさ」
「どうやってやるの?」
「そりゃな……」
一応、基本的なことは教えてやる。そうするとネオは、目を真ん丸にして、しばらくだまる。女とそんなことをするなんて、信じられなかったからだ。
「心配するな。最初のうちはそんなにがんばらなくてもいいんだ。キトナとかアナエとかにしろ。やつらは小さいやつにやさしいんだ。なんでもおしえてくれる」
「ええ? おれはイディヤがいい」
それを聞いてサリクは困ったように笑った。イディヤは一番人気のある女だからだ。
「気持ちはわかるがな、イディヤはやめろ。いつも男が四人くらい集まって争うんだよ。イディヤは困って、なかなかいい男といいことになれないんだ」
「へえ、そうなの?」
「もてるのも困りものなんだ。イディヤはかわいいしおとなしいから、かなりの男が狙ってるんだよ。寸前まで調整して、誰が呼び掛けていいか、決めてるんだぞ。小さい奴は遠慮しろ。ほかの男に弾き飛ばされる」
サリクはネオに、歌垣での作法を細かく教えてやった。絶対に邪魔してはならない男のことも教えた。