「狩人組の準備が出来たら、俺にも声をかけてくれ。一緒に行くよ」とアシメックは言った。するとレンドはうれしそうに顔をほころばせた。
「今年もキルアンは降りてくるだろう。やつをどうにかしないといけないな」
「キルアンか。毒が効かなかったそうだな」
「そうなんだ。一度毒矢が刺さったことがあるんだが、やつは死ななかった」
「まあなんとかなるだろう。今年も二十頭は狩らねばならない」
レンドと別れると、アシメックは摘んだミンダの花を持って、エマナを家に送ってやった。エマナはしきりに礼をいい、家の奥から小さい干しキノコを三つ持って来て、持っていけと言った。断ることもできないので、アシメックは喜んで受け取った。帰ってソミナにやろう。ソミナはキノコが好きだ。
それから何日か経つと、また風の匂いが変わった。ミンダの花が終わったのだ。アマ草が茂り始めたところを見計らって、役男のシュコックが狩人組を招集した。弓矢を持った体の大きい男が、十四人ほど役男の家に集まった。その中にはサリクもいた。腰には矢につける毒を入れた、骨の皿を下げている。
集まった男たちを前に、シュコックは鹿狩り用の矢を振りながら、言った。
「今年ももうすぐ鹿が来る。アマ草の茂り具合からすると、もう明日にも降りてきそうだ。弓矢の手入れをしておけ。毒はみんな持ってるか」
蛙の毒やキノコの毒を混ぜて、鹿狩り用の毒を作っておくのは、狩人それぞれの義務だった。みなそれぞれに、思い思いの入れ物に、自分用の毒を持っていた。シュコックはそれを確かめて、満足げにうなずいた。いい塩梅だ。皆やる気満々のいい目をしている。今年もいい狩りができるだろう。アシメックも誘わなければ。
シュコックは笑いながら、明日また集まってくれと言って、狩人組を解散させた。