◇周回遅れの誕生日
先々週我輩の妻が○○回目の誕生日を迎えた。
既に娘どもや孫どもに十二分に祝ってもらっているが、配偶者たる我輩から
は予て妻が所望していた「ふく料理」をプレゼントすることにした。何しろ昔築地
の「天竹」で食べたとらふぐの刺身が忘れられないというのだ(そのときは値段
を見ないで刺身大皿を「お変わり」をした。)。
しかしただふぐを食ってというのも芸のない話。寄席で噺を聞いてから乗り込
むってのも粋じゃないかえ。とばかりに先ずは「ふぐや」だ。
そこで浅草の著名なふぐ料理屋を探した。ふぐといえば「三角」とか「つち田」
などがあるが、中でも知人Y氏がご愛用の「三浦屋」は「浅草演芸ホール」にも
近いし、いわゆるコース料理にはこだわらない選択が可能ということで、ここに
決めた。
先ずは「浅草演芸ホール」。ここは我がボランティアグループが新年会とセット
で「初笑い会」を催すところ。混み加減は先刻ご承知ではあるが、今日は何と数
百人の客が並んで待っている。どうせ団体さんの「数待ち」だから、我々は
2,500円の木戸銭を払って、団体さんを横目に大きな顔で入場。
11時開場だが40分から始まる。それまでにビールやお弁当を食べるのが
通だ。前座の宮治という若手が熱演してよかった。江戸曲ごまの柳南玉さん
は御歳89歳くらいに見えて痛々しかった。最後のかさの枡回しは締めの枡を
しっかり受け取れなかったよ。
歳といえば(桂)米丸師匠も老けましたな。笑福亭鶴光はよかった勢いがい
い。春風亭小柳枝は「時そば」。みんな知ってる噺だから巧拙が良く分かる。
やるほうはつらいと思う。
昼の部のトリ古今亭寿輔は人情噺「ラーメン屋」をやりました。この噺は何度
聞いても最後はしんみりしますな。妻の席のお隣の老婦人は噺の老夫婦と境
遇が似ていたのか、目が真っ赤になっていましたよ。
ここは入れ替え制でないので、続けてみても良いのだが、何せ「ふぐ」が待
ているので、伝通院通りから仲見世に抜けて本堂に御参りを。宝蔵門をくぐ
って浅草寺本堂を観たとたん「あらら・・・」。本堂はただ今修復工事中。「観る
のはほんどうにしてね」なんちゃって。覆いにある本格的な龍の絵をご覧くださ
い。(工事は今年一杯掛かるらしい。)
国際通りと言問通りの交差点から少し入った小路に、「三浦屋」がある。5時
で既に先客が何組かいる。「カウンターでいいですか」いやそれはないよ。何し
ろ○○回目の週遅れ誕生祝いなんだから。
「それではお二階へどうぞ。」
トントントンと階段上がるとそこは赤いコタツ布団の四畳半・・・。ではなくテー
ブル席が立ち並び、客は我らのみ。
ところでこの店主、何が好みなのか店の壁面片側全部が硝子ケースになって
いて、ディンプル、ベル、ブック、ナポレオン、自由の女神に果てはマリリンモン
ローまで・・・・洋酒のボトルが何百本と並んでいる。
突き出しに「子持ち昆布」がたんと出てきた。うれしいねえ。
ふぐのたたきと、てっちりと、特上とらふぐの刺身・・・最後は雑炊で締め。
「TX」で一挙にゴーホームです。
腹は膨れたけど、財布は減りました。(三浦屋はカード支払いが利きません。
現金を持っていってください。)
クーポンで1杯はタダ このコレクション もう大分食べてしまったが・・・
(以上この項終わり)