読書・水彩画

明け暮れる読書と水彩画の日々

『暗転』堂場瞬一

2012年11月07日 | 読書

◇『暗転』 著者:堂場 瞬一  2012.6 朝日新聞出版 刊

   

  物語の軸は7年前(2005.4)にあったJR宝塚線転覆脱線事故を思わせる某私鉄の列車脱線転覆事故。
 被害者となった新聞記者の辰巳、被害者の婚約者滝本、私鉄会社広報担当御手洗、応援捜査の警官
 高石など関係者それぞれが交錯し、それぞれの悲しみと苦しみと怒りと組織の過酷さが語られる。
  そのうち事故の真相をめぐり隠ぺい疑惑が浮かび、私鉄の広報担当社員御手洗は社会正義の実現か
 会社のために心をまげるか深刻な葛藤を経て、ついに辞職を覚悟し会社上層部の隠蔽工作を明らかに
 する。この間それぞれの苦悩や怒りなどを縷々書いているが、要は内部告発の重要性を書きたかったの
 だと思うものの、全体としていまひとつ展開に盛り上がりを欠き、「渾身のノンストップサスペンス」(帯の
 コメント)にしては何ともあきたらない。
 やや期待外れ。

 (以上この項終わり)
  

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