◇ 桜の吉野路 いまは
折角奈良に来たのだから是非行きたいという、うちの嫁はんの希望で桜の時期ではないが
桜の紅葉もいいかも、と吉野山に出掛けた。
吉野は高野山・熊野三山と共に山岳信仰の霊地を結ぶ「紀伊山地の霊場と参詣道」として
2004年7月に世界遺産に登録された。
近鉄奈良駅から大和西大寺で近鉄橿原線に乗り換える。さらに樫原神宮前駅で吉野線に乗
り換え、とことこ電車に揺られることおよそ1時間。何しろ単線だから交換待ちの時間が長く、の
んびりした時間を楽しむしかない。
吉野の山は修験者が修行するところゆえ、峻劒なる峰々が連なる深山と思いきや、意外と
おだやかな普通の山だった。(実際は奥の駈道といって1900m級の険しい山道が連なる
修験道場である。和歌山県大峯奥駈道まで続く)
さて紅葉はといえば、桜はケーブルで登った吉野山駅から奥深き(5キロはある)金峯山神
社までの下千本、中千本、上千本、奥千本と全山で無慮30,000本という桜木が一斉に
花を開くと日本一の景観という桜の名所であるが、さて紅葉はというとさっぱり見られない。
すでに散っているのかも。
ケーブル始発駅 沿道の土産物店
吉野大峰ケーブルで吉野山頂駅に降り立つとさすがに少し寒い。
かなり急な坂道を登り、金峯山寺の総門である黒門、俗界と聖地の分界門・銅の鳥居を越え
ると修験道の総本山「金峯山寺・蔵王堂」が立つ。創建は「役の小角」とされる。奈良時代に創
建され、室町時代に再建された現在の堂宇は、高さ34mの重層入母屋造り。豪壮な本堂に
安置されたご本尊の蔵王権現三体が睨みを利かせている。
本堂の一角で修行僧が護摩の行を行っていた。実際に護摩を焚く行を目の当たりにするの
は初めてで、「オンバソワカ・・・ギャーティギャーティ・・・」と呪文を唱えひたすら太鼓とともに
護摩を焚く姿に感動した。
嫁はんはその迫力に「鳥肌がたった」と言っていた。
拝観料は1000円であったが「家内安全・諸願成就」の護摩符が付いていた。
銅の門 金峯山寺の紅葉 金峯山寺・蔵王堂
護摩符
蔵王堂から475段の石段を下ると「首から上の守護は霊験あらたか」という「脳天大神(のう
てんおおかみ)」という神様が祀ってあるというので痛い腰をかばいながら石段を下った。谷底
に神社があり、神様なのにそこにあった3本30円の線香をあげて、今後脳梗塞や脳軟化症、
認知症など脳関係の障害をガードしてもらいたいとお祈りした。
往復20分とあったが、結局30分かかった。これで効き目がなかったら詐欺に近い。
脳天大神へ向かう 脳天大神への石段 脳天大神
食事時になったので沿道にある「初音」という小じゃれたお店で「くずうどん」なるものを食した。
ここは吉野葛といって植物の葛からとったでんぷんが有名で、葛を使った土産物が多い。この
うどんは葛豆腐が付いて900円。腰の強いうどんというのはあるが、これは腰の柔らかいちょっ
と締まらないうどんであった。ただサービスですと言って「くずもち」を出してくれたので及第。
腹が収まったので近くの旅館「辰巳屋」で日帰り温泉。鉱泉であるが吉野の山並みを見下ろせ
る絶好のロケーションで、桜の時期にはさぞ賑わうであろう。
小一時間であったが旅の疲れも腰の痛みも少し和らいできた。
辰巳屋の温泉(露天風呂が素晴らしい) 眼下の吉野山 吉野の山並み
有名な吉野杉です
(以上この項終わり)