読書・水彩画

明け暮れる読書と水彩画の日々

秋色の古都奈良を歩く

2012年11月17日 | 国内旅行

新薬師寺と白豪寺へ
  春日大社一の鳥居からまっすぐに参道が奈良公園を縦断する。1キロほど歩くと二の鳥居
 があって、そこで右に折れると歴史の道で、木洩れ陽が揺れ霧が漂い、まさに春日大社の
 神域の荘厳さが満ちている。

    
   春日大社への道
  
  2.6キロほどで新薬師寺。薬師寺は西ノ京にあるが、ここ新薬師寺は聖武天皇の病気平癒
 を願って光明皇后が創建されたもの。本堂は天平19年(747)の建物で中には御本尊の薬師
 如来坐像のほか、12神将の立像がある。いずれも奈良時代の作で国宝。元食堂(じきどう)
 だった建物は簡素・簡明なつくりで落ち着いたたたずまいである。

    
    新薬師寺の土塀            新薬師寺本堂

  この先細い道を1キロほど進むと、大和路らしいつくりの家並みの先に長い長い石段があり、
 これが白豪寺(びゃくごうじ)。元々は天地天皇の第七皇子志貴皇子の離宮であり、その山荘
 を寺としたと伝えられている。 本堂は江戸時代の再興時のものであるが、ご本尊の阿弥陀
 如来座像、地蔵菩薩立像等々は重要文化財。家人は「閻魔王座像」で初めて閻魔さまを観た
 と興奮気味だった。あの世でまみえることがなければよいが…。 

      
   白豪寺への道          白豪寺の石段

  100段以上はある石段の脇は萩に覆われ、境内には天然記念物である五色椿がある。
 何よりもこの境内から、奈良の市街地はもとより遠く生駒山地から信貴山など奈良盆地全体
 を俯瞰できるところが素晴らしい。  

        
    奈良市街地を俯瞰                 志賀直哉旧宅

  この後志賀直哉の旧宅を覗いたり、東大寺や興福寺を拝観したりで、およそ10キロを歩く
 散策になった。

第64回正倉院展を観る
  東大寺境内にある正倉院の宝物の点検や虫干しの機会に宝物の一部を一般に公開する
 正倉院展は昭和21年に始まり今年は第64回目。奈良国立博物館で公開中。
   目玉は「瑠璃坏(るりつき)」、「密陀彩絵箱(みつださいえのはこ)」、「螺鈿紫檀琵琶(らでん
 したんのびわ)」、「木画紫檀双六局(もくがしたんのすごろくきょく)」など10点。いずれも
 1200年以上前の宝物である。このように完全な形で保存されているのは世界でも珍しく、
 まさに日本の誇るべき宝である。 
  17日間の公開期間の最終日とあってけっこう混んでいて、前列で身近に見られる列は20分
 待ちであった。瑠璃坏は小さいので前列の人は喰い入るように見入っていた。

     
     奈良国立博物館       奈良国立博物館内の茶室           
      
 
  奈良時代には国、郡、大寺院などには「正倉」という倉庫が建てられ穀物や財物、道具な
 どが納められていた。この倉庫群が「正倉院」であるが、多くの正倉が失われいまや東大寺の
 正倉院のみが残り固有名詞化しているというのが実情である。明治時代に管轄権が東大寺
 から宮内省に移り、現在は宮内庁が管理している。

奈良ホテル
  今回の宿は奈良ホテル。東京駅の設計者辰野金吾氏の設計になる和風ホテル。明治42年
 (1909)「関西の迎賓館」として創業、多くの賓客を迎えた。100年を超えて厳然として迎賓館
 としての風格を示すが、さすがにシティホテル慣れしている現代人には、文化財の雰囲気を味
 わう心構えを以て臨まないといささか戸惑いを覚えるに相違ない。
  天井が優に1.5メートルは高く、暖房も懐かしいラジエーターと併用されていて、作動時には
 チンチンと音を立ててにぎやかになる。皇后陛下美智子さまがいたく気に入られたというおじ
 いさんの時計(グランドファーザーズクロック)とアインシュタインが弾かれたというスタンドピア
 ノが印象的だった。

        
    奈良ホテル旧館          大乗院の庭園             荒池の紅葉         二層吹き抜け玄関ホール

             
    玄関ホール     客室廊下       防火体制は万全       

コメント
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