読書・水彩画

明け暮れる読書と水彩画の日々

キャサリン・コールターの『謀略』

2022年02月08日 | 読書

◇『謀略』(原題:POWER PLAY)

   著者:キャサリン・コールター(CATHERINE COULTER)
   訳者:林 啓恵 

  


    アメリカFBI特別捜査官ディロン・サビッチ、その妻レーシー・シャーロック(同じく
FBI特別捜査官)を主人公とするS・Sシリーズ第15弾。
     二つの事件が同時進行する組み立て。一つはアメリカ駐英大使ナタリー・ブラックの
襲撃事件。もうひとつはプレシッド・バックマンというカルト教団の異能(視線だけで
相手を意のままに操る)者が収容病院から脱走し、シャーロックを襲うなど殺人を再開
した事件。サビッチとシャーロックが、二つの事件に翻弄される。

 駐英大使ナタリーが交際中の男性の自動車事故に関し英国でメディアから「自殺させ
た」というスキャンダル報道されたことで米国に一時帰国していたところ公園で襲撃さ
れ、以降FBI特別捜査官デイビス・サリバンに警護を任せることになった。もちろんサビ
ッチとシャーロットも関与する。サビッチはデイビスの上司である。

 駐英大使ナタリーの事件とカルト集団のキーパーであり視線だけで人を操る異能を持
つプレシッド・バックマンが収容先の病院から脱走し、シャーロット夫妻に復讐の戦い
を挑むという第2の事件が交互に語られ、後者の事件の攻防が緊迫感があって面白い。 
 しかし凡そサスペンスもので、視線を交わすだけで相手を自由に操れるなどという人
物設定をするのは禁手のような気がしないでもないが・・・。実はサビッチも人が今考
えている頭の中を透視する隠れた能力を持っている。

 病院から脱走したプレシッドは一時視線による人格乗っ取り能力を失ったかに見えた
が次第にその異能を取り戻し、拳銃を入手、現金・車を手に入れ執拗にシャーロットら
を付け狙う。
  しかし結局プレシッドはシャーロットに射殺された。

 第一の事件の犯人はナタリーの婚約者ロッケンビー子爵の息子チャールズと思われて
いたが、真犯人は意外な人物であったことが判明する。
 特別プロットに目新しさがあるわけではない。シリーズの主役である二人のかかわる
二つの事件がどこかで交差するに違いないと読み進めたが結局無駄に終わった。
                           (以上この項終わり)
 

 

 

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