読書・水彩画

明け暮れる読書と水彩画の日々

エド・マクベインのホープ弁護士シリーズ『シンデレラ』

2022年10月20日 | 読書

◇『シンデレラ』(原題:Cinderella)

  著者:エド・マクベイン(Ed McBain)
  訳者:長野 きよみ   1993.3 早川書房 刊 (ハヤカワミステリ文庫)

   
 エド・マクベインの作品は昔「87分署シリーズ」シリーズを随分夢中になって
読んだが、これは「ホープ弁護士シリーズ」第8作目。
 発端の殺人事件はともかく話が幾重にも重なり、2・3ページごとに3人称で
始まって…。ストーリーも洒脱な会話や表現で楽しめるが場面が飛ぶので追うの
も忙しい。舞台は麻薬天国マイアミ。

    発端となる殺人事件。ホープ・マシューが調査を依頼していた探偵オットー・
サマルスンが射殺された。不倫現場を押さえる単純な仕事だったが、事務所の書
類を調べるともう1件仕事を抱えていたことが分かった。不倫調査の方は殺され
るいわれはなかったが、もう1件の方はラーキンという地元の船舶会社の経営者
が依頼人で、娼婦に金のローレックスを盗まれたので所在を追ってくれという依
頼だった。
 女の名は自称シンデレラ。アンジェラまたはジェニー。

 一方ジェニーの方はルイース・アマロスという麻薬の売人と酒場で知り合い、
家に連れて行って麻薬を吸わせてもらった。彼女はルイースの家に4キロのコカ
インがあることを知り、知り合いの理容師ホリスターと共謀しコカインを奪う。
ルイースはドミンゴとエルネストというキューバ人の二人組にジェニーを行方
を追わせる。

 ジェニーはロサンゼルスで女優になろうとしたが諦め売春婦になった。いろん
な名前を持っていて、ロスに見切りをつけて実入りが良いと言うマイアミにやっ
てきたのであるが、二人の妹は姉の居場所を知らなかったためにドミンゴらに
殺されてしまった。

 一方、ルイースの弟ジミーは自分が兄貴の時計を取り戻してやるとシンデレラ
探しを始める。
 そのころ4キロ26万ドルのコカインを手に入れたシンデレラことジェニーは
コカインの買い手を探していた。ドミンゴとエルネストはコカインの売り手がジ
ェニーかもしれないと疑いつつも、ルイースから金を引き出す算段をする。一方
ジミーもこの取引で稼ごうとする。
 ここでシンデレラとドミンゴらが繋がった。

ホープ・マシューは分かれた妻スーザンとよりを戻そうと思うが思春期の娘ジョ
アンナのことを思って心が揺らぐ。本筋とは関係ないが一息継ぐエピソード。

 ホープはコカインの取引現場に出向く。取引現場ではジェニーが札を数えてい
るうちに待ち合わせ時間が来てしまって、ドミンゴがはいってきて剃刀でのどを
切られた。ジェニーの相棒のヴィンセントはドミンゴを撃った。エルネストも撃
たれた。
 ヴィンセントはちょうど来合わせたホープに足払いを食らって捕まった。

 終盤は一気に事態が急展開して殺し屋などもつかまったり殺されたりしたが、
薬の売人、その元締めなどはたぶん証拠もないからそのままなのだろう。麻薬天
国マイアミのことである。悪人ほどよく眠る。

 シリーズ続く作品は「長靴をはいた猫」、「ジャックが建てた家」、「三匹の
ねずみ」、「Mary,Mary」とのこと。

                       (以上この項終わり)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   

  

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