まる二ヵ月ぶりに映画を観ました。
『少年H』、妹尾河童の自伝的小説として1997年に講談社より刊行された本の映画化。
太平洋戦争(第二次世界大戦)を時代背景に戦争を生き抜いた「名も無き家族」の愛と真実の物語
ということであったが、事実誤認や歴史的齟齬が見られ戦後的な価値観や思想に基づいて初めから
結論ありきで描かれた作品であると『間違いだらけの少年H』と酷評されたりして文庫化に際しては、
指摘された部分を中心に何箇所もの訂正や変更、削除などが行われたそうだ。
そんな難しい話は生まれる前のことで分からない。 見る前の前知識も何もなく予告を見ることも
全くしませんでした。
二度と戦争を起こしてはならないことは大切に伝え続けなければならないことだとは思うが
その趣旨を守りきれば一字一句厳密に再現しなければならないか?というと 否だと思う。
戦争の醜さ激しさ残酷さは実体験した人でなければ知りえないものだと思います。
そんな身の毛もよだつ殺戮シーンを、爆撃や戦闘シーンを二時間ほどの映画の中で再現することは
僕自身は望まないので、この映画においてはほどほどでその点が良かったと思う。
内容やストーリについては実際に映画を観た人がそれぞれに感じればよいことで、それについて
僕の意見や感想をココで述べるつもりはネタバレとも関係なくとも毛頭ない。
関心事はこのロケの場所でした。
エンドロールを見ていると日本の地名が上がる中で「韓国」が上ってきて驚いた。
建物が空襲の焼夷弾などで消滅し瓦礫と焼野原になっていく場所が、韓国・ハプチョン映像テーマ
パークで撮影されていたようでした。
政治的な摩擦、首脳会談の早期実現、靖国参拝問題や従軍慰安婦問題などで揺れる隣国で
撮影されていたというのは歴史背景を越えた協力だと思いました。
物語は阪神間の地名が良く出てくるが、神戸市の中心部(三宮あたり)より少し西側のエリアで
阪神淡路大震災でも被害の大きかった位置に当たり、戦争の被害を知らない僕にはあの震災の
大惨事の記憶が蘇ってきて重なりました。
昭和の戦前の風景は兵庫県加古川市の日本毛織の社宅だと聞いて、二度びっくり。
そして少年Hが進学して通った中学校のモデルが、お隣の市の歴史ある県立高校だったこと。
なおさらに親近感の湧く映画でした。
この父親役はやはり水谷豊でなければならなかったように思います。
そして奥さんが私生活でも妻である伊藤蘭さんで良かったと思います。
僕と同い年で僕より17日前に生まれた彼女は学生時代にアイドルでもありました。
少年Hも妹もなかなか素晴らしい演技だったと思います。
この日記を書いている最中、テレビ朝日系ではこの映画と同じ降旗康男監督の去年の作品
『あなたへ』を放映していました。
この映画も映画館で観ました。 とてもよかったと思います。