たぶん、ことばはいらない。
仙石官房長官、馬渕国交大臣に対する参議院での問責決議が可決され、実質的な審議ができない国会の状況であるにもかかわらず、12月3日障害者自立支援法改正案が、民主・自民・公明などの賛成により可決しました。社民党・共産党は反対しました。障害者自立支援法が憲法に違反するとして全国でたたかってきた訴訟団は、今年3月厚生労働省と「速やかに応益負担制度を廃止し、遅くとも平成25年8月までには、障害者自立支援法を廃止し新たな総合福祉法制を実施する」基本合意を交わしましたが、「基本合意を無視するものだ」と反発を強めています。
■これまで指摘されてきた障害者自立支援法の問題点
2003年に施行された「支援費制度」は、それまで施設や家庭で閉鎖的に生きてこざるを得なかった障がい者や家族の皆さんから大きな期待を受け、障がい者の皆さんが日のあたる場所に出ることができるようになりました。
しかし、サービスを受ける方が急激に増え、財源確保が困難となったこと、また、サービス提供に関して、これまで身体障害、知的障害、精神障害という障害種別ごとに縦割りで整備が進められてきたことから「格差」が生じ、事業体系がわかりにくい状況となっていたこと、精神障害者は支援費制度にすら入っていない状況の改善が必要であったこと、などから2006年障害者自立支援法が施行されました。この障害者自立支援法については、これまでにも問題点が指摘されてきた。
最も大きな問題点は、それまでの応能負担によるきわめて低額な負担であった障がい者福祉サービスが、介護保険制度と同様原則1割負担となったことでした。それは、障がいの程度が重い人ほどサービスを受け、したがって負担も大きく、支払いができない人はサービスを受けられずに、社会から再び孤立していくものであり、自立支援とは程遠いという批判を受けてきました。
全国で14か所で違憲訴訟が戦われてきましたが、昨年の政権交代により、障害者自立支援法の見直しを公約とした政権が発足し、4月21日訴訟団と国(厚生労働省)との間で基本合意が結ばれ和解しました。
■国(厚生労働省)との基本合意文書
基本合意の内容は、第1に障害者自立支援法廃止の確約と新法の制定を約束したことです。「国(厚生労働省)は、速やかに応益負担(定率負担)制度を廃止し、遅くとも平成25年8月までに、障害者自立支援法を廃止し新たな総合的な福祉法制を実施する。そこにおいては、障害福祉施策の充実は、憲法等に基づく障害者の基本的人権の行使を支援するものであることを基本とする」としました。
第2に、 障害者自立支援法制定の総括と反省がなされ、「今後の新たな障害者制度全般の改革のため、障害者を中心とした『障がい者制度改革推進本部』
を速やかに設置し、そこにおいて新たな総合的福祉制度を策定する」こととし、障害者の参画の下に十分な議論を行うとしました。
第3に、現行制度の一番の問題点である利用者負担の問題点について確認をし、新法制定に向けた論点を整理しました。
■ 障がい者などを含む審議がスタート
新政権は、1月以降障がい者や家族などを含む「障がい者制度改革推進会議」で議論を開始、①障害者基本法の抜本的改正、②「障害を理由とする差別の禁止法」(仮称)等の制定、③「障害者総合福祉法」(仮称)の平成25年8月までに制定することなどを第1次意見として取りまとめました。
また、推進会議のもとに設置された「障がい者制度改革推進会議総合福祉部会」では、「四つの当面の課題」が提言されました。①利用者負担の見直し、②法の対象となる障害範囲の見直し、③地域での自立した暮らしのための支援の充実、④新法作成の準備のための予算措置を行なうべき、という内容です。
■突然の「障害者自立支援法改正案」の提案
こうした真摯な議論が行われているさなか、かつて自民・公明が提出した障害者自立支援法改正案が国会に議員提案のかたちで上程され、一度は廃案となりましたが、今臨時国会に再度提案され、民主・自民・公明・みんなの党などの賛成多数で可決したのです。
11月17日衆議院厚生労働委員会で反対討論にたった社民党阿部智子政審会長は「これだけ当事者に歓迎されない法改正をなぜ強行するのか。障がい者制度改革推進会議との十分な協議をすべき」と指摘しました。また、12月3日参議院では福島みずほ党首が反対討論を行いました。
■基本合意に基づく法改正を強く求める
4月21日の基本合意の中には、立法過程において、障害者の意見を十分踏まえることなく、拙速に制度を施行することにより、尊厳を深く傷つけたことに対し、心から反省の意を表明し、この反省を踏まえ、今後の施策の立案・実施に当たることが確約されていました。
しかし、今回の改正は全く当事者を無視したものでした。少なくとも障がい者制度改革推進会議には何の情報提供もありませんでした。これでは、今後推進会議で議論されたことが政治的な判断でねじ曲げられてしまう可能性もあります。
社民党は、障がい者や家族の皆さん、また支援を続けるNPOの皆さんとともに、基本合意に基づく法改正や新法の制定に全力をあげていきます。
■これまで指摘されてきた障害者自立支援法の問題点
2003年に施行された「支援費制度」は、それまで施設や家庭で閉鎖的に生きてこざるを得なかった障がい者や家族の皆さんから大きな期待を受け、障がい者の皆さんが日のあたる場所に出ることができるようになりました。
しかし、サービスを受ける方が急激に増え、財源確保が困難となったこと、また、サービス提供に関して、これまで身体障害、知的障害、精神障害という障害種別ごとに縦割りで整備が進められてきたことから「格差」が生じ、事業体系がわかりにくい状況となっていたこと、精神障害者は支援費制度にすら入っていない状況の改善が必要であったこと、などから2006年障害者自立支援法が施行されました。この障害者自立支援法については、これまでにも問題点が指摘されてきた。
最も大きな問題点は、それまでの応能負担によるきわめて低額な負担であった障がい者福祉サービスが、介護保険制度と同様原則1割負担となったことでした。それは、障がいの程度が重い人ほどサービスを受け、したがって負担も大きく、支払いができない人はサービスを受けられずに、社会から再び孤立していくものであり、自立支援とは程遠いという批判を受けてきました。
全国で14か所で違憲訴訟が戦われてきましたが、昨年の政権交代により、障害者自立支援法の見直しを公約とした政権が発足し、4月21日訴訟団と国(厚生労働省)との間で基本合意が結ばれ和解しました。
■国(厚生労働省)との基本合意文書
基本合意の内容は、第1に障害者自立支援法廃止の確約と新法の制定を約束したことです。「国(厚生労働省)は、速やかに応益負担(定率負担)制度を廃止し、遅くとも平成25年8月までに、障害者自立支援法を廃止し新たな総合的な福祉法制を実施する。そこにおいては、障害福祉施策の充実は、憲法等に基づく障害者の基本的人権の行使を支援するものであることを基本とする」としました。
第2に、 障害者自立支援法制定の総括と反省がなされ、「今後の新たな障害者制度全般の改革のため、障害者を中心とした『障がい者制度改革推進本部』
を速やかに設置し、そこにおいて新たな総合的福祉制度を策定する」こととし、障害者の参画の下に十分な議論を行うとしました。
第3に、現行制度の一番の問題点である利用者負担の問題点について確認をし、新法制定に向けた論点を整理しました。
■ 障がい者などを含む審議がスタート
新政権は、1月以降障がい者や家族などを含む「障がい者制度改革推進会議」で議論を開始、①障害者基本法の抜本的改正、②「障害を理由とする差別の禁止法」(仮称)等の制定、③「障害者総合福祉法」(仮称)の平成25年8月までに制定することなどを第1次意見として取りまとめました。
また、推進会議のもとに設置された「障がい者制度改革推進会議総合福祉部会」では、「四つの当面の課題」が提言されました。①利用者負担の見直し、②法の対象となる障害範囲の見直し、③地域での自立した暮らしのための支援の充実、④新法作成の準備のための予算措置を行なうべき、という内容です。
■突然の「障害者自立支援法改正案」の提案
こうした真摯な議論が行われているさなか、かつて自民・公明が提出した障害者自立支援法改正案が国会に議員提案のかたちで上程され、一度は廃案となりましたが、今臨時国会に再度提案され、民主・自民・公明・みんなの党などの賛成多数で可決したのです。
11月17日衆議院厚生労働委員会で反対討論にたった社民党阿部智子政審会長は「これだけ当事者に歓迎されない法改正をなぜ強行するのか。障がい者制度改革推進会議との十分な協議をすべき」と指摘しました。また、12月3日参議院では福島みずほ党首が反対討論を行いました。
■基本合意に基づく法改正を強く求める
4月21日の基本合意の中には、立法過程において、障害者の意見を十分踏まえることなく、拙速に制度を施行することにより、尊厳を深く傷つけたことに対し、心から反省の意を表明し、この反省を踏まえ、今後の施策の立案・実施に当たることが確約されていました。
しかし、今回の改正は全く当事者を無視したものでした。少なくとも障がい者制度改革推進会議には何の情報提供もありませんでした。これでは、今後推進会議で議論されたことが政治的な判断でねじ曲げられてしまう可能性もあります。
社民党は、障がい者や家族の皆さん、また支援を続けるNPOの皆さんとともに、基本合意に基づく法改正や新法の制定に全力をあげていきます。