こんにちは「中川ひろじ」です。

みんなのお困りごとが私のしごと

11月議会一般質問 近代化産業遺産群の活用について

2014-12-05 23:58:05 | 長野県議会
 全国各地には、我が国の産業近代化の過程を物語るものとして、数多くの建築物、機械、文書が今日まで継承されています。経済産業省は、これらの歴史的価値をより顕在化させ、地域の活性化に役立てることを目的として、これらを「近代化産業遺産」として大臣認定し、これまでに1115件を認定するとともに、商業観光資源としての活用を提言しています。
長野県では、安曇野市、南木曽町、大桑村の水力発電関連遺産、諏訪、岡谷、上田の製糸関連遺産など54箇所が認定されています。
とりわけ、群馬県富岡製糸場が世界遺産として登録され脚光を浴びていますが、ご案内のとおり長野県の製糸業は、明治後期には全国一の生糸産地へと成長し、我が国を世界最大の生糸生産国へと押し上げる原動力となりました。その後、信州の製糸家は、初代片倉兼太郎が創設した片倉組に代表される大企業へと統合され、技術革新による増産が進むとともに全国各地に工場を展開しました。片倉組の二代目片倉兼太郎は、欧米への視察旅行で訪れた地域の文化・福祉施設に感銘を受け、このような施設を地元の諏訪に造ろうと考え、諏訪湖畔に温泉大浴場や文化交流・娯楽空間を備えた片倉館を完成させました。
 この製糸業にかかわる近代化産業遺産群は、信州大学繊維学部講堂など上田市に10箇所、岡谷市に旧岡谷市役所など15箇所、諏訪市の片倉館、須坂市に旧田尻製糸繭倉など8箇所があります。
 認定はされていませんが、他にも県内各地に製糸業に関連する施設などが残っているものと思われますが、松本市にも片倉兼太郎の実弟である今井五介がつくった製糸場があります。今井五介は、繭の品種改良を行い全国に広げたほか、後の松商学園となる松本商業学校の設立、後の大糸線となる信濃鉄道の敷設など、松本の近代史を語るときなくてはならない人です。しかし、今進められているイオンモールの建設計画により、製糸工場のごく一部は残りますが多くは取り壊しとなると伺っていて、今議会に関係する請願も出されているように、誠に残念至極であると感じている市民が多くいます。
 この施設を残すか、活用するかということは所有者と地元自治体の意向ということになるでしょうが、先ほど申し上げましたように近代における長野県の製糸業の位置は極めて大きく、大正8年の統計では長野県の総生産量の実に7割を製糸関連業が占めていたことからも明らかであります。
 その後の恐慌の中で生糸が暴落した影響を最も大きく受けたのも長野県であり、満蒙開拓に希望を見出さざるを得なかった背景にとなっています。戦後は、諏訪松本は新産業都市に指定され、生糸生産から精密産業へと発展をしてきました。
 そこで長野県として、長野県の近代を支えてきた製糸業を全体的にとらえ、関連する施設を保存するとともに、地域の活性化・商業的観光資源としての活用や、子ども等を対象とした教育・学習体験施設として、大人も子どもも信州の近代の歴史を学び、そして未来を語る場所として活用することを考えてはいかがかと思いますが知事のご所見を伺います。

【知事】かつて、日本一の「蚕糸王国」と呼ばれた本県の製糸業に関連する施設には、富岡製糸場の世界遺産登録を契機に光が当たり、その魅力を発信する絶好の機会だと考えています。
個々の施設についてどう保存していくのかということは、一義的には所有者や地域の皆さんの意向を踏まえ、歴史的価値や街並み、景観、地域活性化などの観点から、まずは、市町村が中心となってご検討いただくものと思っております。
ただ県内の様々な施設を全体としてどう発信し、活かしていくのかについては県としてもしっかり向きあわなければならないだろうと認識しております。
県内には製糸業関連が所在する地域が数多くあるが、あまり知られていない貴重な施設もあります。こうした施設を掘り起こし、つなぎ、物語性を持たせることで、本県観光の大きな魅力の一つとする事ができる。また、進取の気性で常に時代をリードしてきた長野県の産業の歴史を学ぶ教育・学習の観点での活用もできると思っております。
かつて私が横浜市の副市長をしておりましたときに、横浜港開港150周年というイベントがあり、横浜開港時の最高の輸出品目は生糸であり、製糸業のつながりで信州と横浜がつながっていたと言う観点から150周年にご協力をいただき、記念式典にも長野県からご参加をいただいたということもございます。
こういう観点で、長野県のこれまでのこうした資源しっかり活かしていくという観点で、県内それぞれ各市町村の連携を支援していくということがまず必要だと思います。そのうえで群馬県であるとかあるいは横浜であるとか、シルクの道につながる県外の自治体との連携が進むよう、県としても積極的な役割を担ってまいりたいと考えています。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

11月議会一般質問 東日本大震災からの避難者への支援について

2014-12-05 23:54:50 | 脱原発・危機管理
私は11月に継続的に支援もしている福島県いわき市を視察してきました。東日本大震災・福島第一原発事故から3年9ヶ月がたち、津波で家を失った皆さんの災害公営住宅が一部完成し入居が始まっていました。一方福島原発の事故による避難地域の大熊町、双葉町、富岡町、浪江町の皆さんは、県がつくる復興公営住宅に入居する予定で、現在土地を取得し建設の準備に入っているそうです。しかし、帰町宣言が来春出される楢葉町からの避難者は復興公営住宅にははいれません。除染はしたが空間放射線量の値が低くならないことへの不安、お店や福祉施設などのソフトインフラの未整備、遠くへ避難している若い人たちが帰ってくるのか、加えて補償が打ち切られることへの不安など、様々な課題があるようです。
 こうした現実がある中で福島などから長野県へ避難されている皆さんへの支援の現状についてお伺いします。帰りたくても帰れない中で、住宅支援は平成28年3月まで延長されているところですが、このまま避難生活を続けるのか、あるいは自立の道を選ぶのか判断が始まっています。
(1)福島県以外のいわゆるホットスポットから自主避難されている皆さんも同様の悩みの中で長野県への移住、自立を選択されている方もいます。以前にも提案しましたが、自主避難者のうち、本県への移住・自立を選択している者に対して県営住宅を移住支援のツールとして考えてはいかがでしょうか。建設部長にお伺いします。
【答弁】いわゆるホットスポットから自主避難されている方への県営住宅の活用についてのお尋ねでございます。福島第一原発事故を起因とするいわゆるホットスポットからの自主避難をされている方々が、移住自立を選択される場合、その希望先で住居の確保は大きな要件と認識しております。県営住宅の入居資格は、「県内に居住し、又は勤務場所を有すること」ですが、このうちの勤務場所、在勤要件につきましては、就職が内定している場合も認めるなど、弾力的な運用をしているところでございます。いわゆるホットスポットから自主避難をされている方が、移住自立を選択する場合においても、これを適用し、在勤要件の弾力的な運用により支援を行ってまいります。

(2)福島などからの避難者への支援についても引き続き暖かいサポートをお願いしたい思いますが知事のお考えお伺いします。
【答弁】東日本大震災からの本県への避難者数は、11月4日現在で、1,067名と減少傾向にあるものの、未だに高水準。県としては、支援要望が多い住宅支援について、避難者の応急仮設住宅の入居期間を平成28年3月まで延長するなどの支援を行っている。また、移住支援や健康相談について、テーマ別に、わかりやすく特集した「信州だより」により情報提供を行っているところ。今後とも、被災県と連携し、「長野県 東日本大震災避難者生活支援方針」により、県全体で避難者の「思い」を受け止め、被災者の皆様に対する必要な支援を積極的に、また、持続的に行ってまいりたい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

11月議会一般質問 子どもの貧困対策について

2014-12-05 23:50:06 | 長野県議会
 国においては本年1月17日に、「子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう、貧困の状況にある子どもが健やかに育成される環境を整備するとともに、教育の機会均等を図るため、子どもの貧困対策に関し、基本理念を定め、国等の責務を明らかにし、及び子どもの貧困対策の基本となる事項を定めることにより、子どもの貧困対策を総合的に推進すること」を目的とした「子どもの貧困対策推進法」が施行されました。
  そして国は8月29日には、子どもの貧困対策に関する大綱を策定し、この中で、都道府県の取り組みについても言及しています。
 この中で、子どもの貧困の実態を把握することの難しさも言われていますが、国民生活基礎調査から、等価可処分所得の中央値の2分の1以下の世帯を相対的貧困世帯とし、平成 24 年の貧困線は 122 万円で、「相対的貧困率」は 16.1%、17歳以下の「子どもの貧困率」は 16.3%。このうち離婚などを原因として母子家庭になったとたんに、パート収入だけになってしまうといった「大人(親)が一人」の世帯員では実に 54.6%が相対的貧困となっています。
 そこで県民文化部長にお聞きします。

(1)長野県としての「子どもの貧困対策」をどうしていくのか。
【答弁】貧困などの実態の把握を進めるとともに、具体的な世策を検討し、それらを含めて子どもの貧困対策についての計画を今年度中に策定することとしております。現在、庁内に、関係部局によるワーキングチームを立ち上げ、関係者から実情や対策に関する意見を聴取するなど、低所得世帯の子どもたちの状況の把握や、今後の世策の方向性についての検討を進めてまいります。

(2)子どもの貧困の実態をどのように調査、把握しようとしているのか。現在、子どもの総合支援について市町村と協議が行われているようですが、就学前の子どもの貧困の実態をつかむには保育園の協力が必要と思われますが検討したらいかがでしょうか。
【答弁】本県では世帯の所得階層が把握できる保育所の入所児童の割合が高いため、ご指摘のように、保育所の協力のもとで実態の把握に努めていくことは、有益は方法の一つであると考えております。

(3)今後、子どもの貧困対策については、ソーシャルワーカーによる寄り添い方のモデル事業を行い、そのモデル事業から研修し、各市町村の取り組みにつなげていってはどうか提案しますがいかがでしょうか。
【答弁】子どもの貧困対策のためには、生活に困窮する保護者の就労や自立を支援していく施策が欠かせませんが、本県はこれまで先進的な施策として信州パーソナル・サポート・モデル事業を実施し、様々な困難を抱える方の自立から就労に至るまで、寄り添い型の支援を進めてまいりました。また、教育の現場では、スクールソーシャルワーカーを教育事務所に配置し、教育と福祉の連携を図ることによって、困難な状況にある子どもたちの環境改善を図る取組も行ってきたところでございます。こうした取組の経験から、経済的な問題を抱える家庭や子どもたちに寄り添い、それぞれの状況に応じた的確な支援を行っていく手法は、非常に効果が高いと認識しております。ご提案の趣旨も踏まえ、こうした事業を含めた子どもの貧困対策の充実に向けて、関係部局と検討を進めてまいりたいと考えております。 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

11月議会一般質問 アルコール健康障害対策基本法について

2014-12-05 23:41:06 | 長野県議会
【中川博司】本年6月「不適切な飲酒の防止によって、健康障害と関連問題の防止をする」ことを基本理念とした「アルコール健康障害対策基本法」がつくられました。この法律では、発生予防、進行予防、再発予防などの10の基本的施策が示され、国、地方公共団体、事業者、国民、医師、健康増進事業実施者の責務が定められています。
 また、基本法のキーポイントは、「正しい知識の普及、依存症への偏見是正」「酒類製造・販売業者の自主的な取り組み」「早期発見・早期介入」「様々なレベルでの連携の促進」「相談・社会復帰など、当事者と家族への支援の充実」があげられています。
 アルコール依存症の診断項目で「①飲酒したいという強い欲望、または脅迫感がある」「②飲酒開始、飲酒終了、飲酒量のどれかがコントロールが困難である」「③飲酒を中止または減らした時、手指の震え、発汗、不眠、吐き気。いらいら、幻覚、痙攣などの生物学的離脱状態がある」「④当初飲んでいた量より多く飲まないと酔えない」「⑤飲酒のために他の楽しみや趣味を次第に無視するようになり、飲んでいる時間が多くなったり、酔いから醒めるのに時間がかかるようになる」「⑥飲酒による臓器障害、抑うつ気分状態、認知機能障害などが起きているのに飲酒する」以上の6項目のうち3項目以上該当する人はアルコール依存症であり断酒が必要だと言われています。
 アルコール依存症は、まったくアルコールを飲まない生活を継続することでしか回復しません。回復のために断酒会がありますが、現在の会員は全国で8000人余り、長野県内では51人と、会員の死亡や高齢化、若い会員が入らないことが原因で毎年少なくなっています。少ないからといってアルコール依存症が減っているわけではないと思われます。
 そこで以下健康福祉部長にお聞きをいたします。

(1)長野県内のアルコール依存症の患者の実態はどうなっているのか。
【答弁】大量の飲酒を長期にわたって続けることで、飲酒せずにいられなくなる状態が、アルコール依存症とされる。アルコール依存症は、肝臓病・脳卒中・がんなどや、うつ病や不眠症などの精神疾患が併発されるといった、本人の健康上の問題と併せ、家庭内暴力や虐待、家庭崩壊など、家族への深刻な影響や、常習飲酒運転、職場における欠勤・失職などの多くの社会問題が生じている。アルコール依存症の患者数は、厚生労働省の推計によると、全国で約80万人とされているが、各都道府県ごとのデータは示されていない。実数で把握できるデータとしては、自立支援医療の受給認定者のうちアルコール使用による精神及び行動の障がいにより、医療機関を利用している方の状況に関するものがある。これによると、平成26年3月末時点で、通院している方は496人、入院している方は220人になっており、いずれも最近は、ほぼ横ばいで推移している。しかしながら、他の健康保険制度に加入している方や、医療機関を受診していない方などもおられると考えられるため、こうした数値より多くの方が飲酒問題に悩んでいるものと考えられる。

(2)基本法に基づく、長野県の推進計画はいつごろまでにつくるのか、また推進計画をつくるための委員会をつくるのか。
【答弁】平成26年6月の基本法施行を受け、国においては、「アルコール健康障害対策基本計画の案の作成方針(案)」を定め、28年1月を目途に同計画の案を策定することとされた。同年10月には、当事者、関係者等により構成される「アルコール健康障害対策関係者会議」の第1回会議を開催され、策定に向けた具体的な検討が始まったところ。県の推進計画については、国の基本計画を基本として策定に努めることとされていることから、こうした国の動向や他の都道府県の状況を注視しながら、委員会の設置なども含め、検討してまいりたい。

(3)断酒会への支援を行っている自治体はあるのか。
【答弁】断酒会は、アルコール依存症の方が自発的に飲酒をやめるために、本人や家族などが定期的に集まって、断酒を誓い、再飲酒しないように励まし合ったり、体験談を話し合う自助グループであり、県内では、27団体が活動している。断酒会への自治体の支援については、市町村にあっては、8市町で事務局機能を担い、運営全般に協力しているほか、それ以外の市町村にあっても、定例的に開催される例会に市町村保健師が出席して助言を行うなど、個々の団体の実情に応じた支援が行われているものと承知している。県においては、精神保健福祉センターで、県断酒連合会の活動への助言や協力を行っており、また、保健福祉事務所で、各地域の断酒会に保健師が出席し、助言するなどの活動支援を行っている。    

(4)今後、啓発イベント、作業所・グループホームなどの中間施設に対する支援が必要と思われるがいかがか。
【答弁】啓発については、基本法の施行に併せ、11月10日から16日までがアルコール関連問題啓発週間と定められ、国民の関心を喚起し、自らに関わりのある社会的問題であるとの理解を促すための啓発事業を、国、都道府県、市町村や関係機関・団体が連携して実施することとされたところ。初年度の今年度においては、県民の皆様にアルコール関連問題への関心と理解を深めていただくため、国が作成したポスターの掲示やリーフレットの配布による啓発を行うとともに、精神保健福祉センターにおいて、支援者向けの相談対応リーフレットを作成し、関係機関に配布した。今後、関係機関との連携を含め、効果的な実施手法について検討したい。作業所・グループホームなどへの支援については、それらの支援において、アルコール依存症の方への対応に当たる職員のスキルアップを図るため、精神保健福祉センターにおいて、技術支援研修を開催している。今後とも、こうした機会を通じて、支援を担う職員などの人材育成に取り組んでまいりたい。

(5)現在、諏訪中央病院などで実施されている半自助、半治療と位置づけたグループ活動をモデルとした取り組みを広げていく必要があると思われるがいかがか。
【答弁】議員ご指摘の、半自助、半治療グループは、県内では、諏訪中央病院を含む11の医療機関等で13団体が活動している。活動の特徴として、医療機関が事務局機能を担い、自助のみでは運営が困難なグループの活動への支援を行うとともに、医療スタッフが例会に出席して助言を行うことなどが挙げられる。医療機関が主体的に関与することで、必要な治療を受けやすい環境が提供されるとともに、心理的な安心感が得られるといった効果があるものと考える。アルコール依存症からの回復には、同じ悩みを持つ人が互いに理解し合い、させ合うことで問題を解決しようとする自助グループの存在が効果的とされてる。半自助・半治療グループは、自助グループとしての活動を、医療機関の支援のもとで行うものであり、参加しやすい環境づくりや、適切な治療との連携といった点で、利点があるものと考える。こうした取組みは、当事者の自律的な回復に有意義な取組と考えられることから、県としては、グループの立ち上げに際し、保健福祉事務所が、必要に応じた支援を行うとともに、研修会などの機会を通じて、これらの活動の意義や効果を理解する支援者を養成することなどにより、依存症に悩む方への支援が広がるよう取り組んでまいりたい。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする