こんにちは「中川ひろじ」です。

みんなのお困りごとが私のしごと

立憲民主党への「合流はやむなし」でいいのか

2020-02-24 10:56:54 | 政策・訴え・声

立憲民主党への「合流はやむなし」でいいのか

1、改憲阻止の裾野が広がっている

(1)「合流やむなし」の背景

 2月22日、23日と社会民主党の定期大会が開催された。主要なテーマとなった第1号議案「立憲民主党の枝野代表からの呼びかけについて」が採択され、又市征治党首に変わり福島みずほ参議院議員が党首になった。提案は合流の是非を決めるものではないが、事の性質上合流の是非を問う発言が多かったのは致し方ない。統一と団結を求める声が多かったが、それも、「合流やむなし」も「合流反対」も自信と展望のなさの表れなのかもしれない。

 長野県連合の合流についての意見集約でも「合流やむなし」が大勢であった。党員のほとんどが60才以上で「自分は社民党でがんばるが、その先はどうなるのか」、自治体議員も「後継者をつくれるのか不安」、だから「理念・政策・運動・組織が引き継げるのなら立憲民主党への合流へ足を踏み込んでもいいのではないか」という雰囲気である。

 私の所属する社民党松本総支部は、県内でもがんばっている総支部の一つである。1990年代前半、社民党会館を自力で建設。当時は衆議院議員1人、県議会議員1人、市議会議員5人いた。社民党に移行してからも2003年までは衆議院議員を擁していたが、県議会議員は当選と落選を繰り返し、市議会議員は現在二人。党員は40人いるが、実質動ける党員は20人くらいである。総支部の財政も厳しく、党員の山に行きクヌギを切って薪をつくり販売することなども試みた(うまくいかなかったが)。運動としても毎月総支部常任幹事会を開催し、毎週月曜日に行っている松本駅前での定例の街頭宣伝も20年近く続けている。総支部副代表は市民と野党の共闘の事務局も担うなど、党員はみんな頑張ってきている総支部である。ただ、ここ数年若手の党員が入っていない。一番若い党員でも40代である。つまり、みんな頑張ってはいるが、10年先を考えた時このまま若手が入ってこなければどうなるかを想像すると、立憲民主党への合流に何か展望や確信があるわけではないが「やむを得ない」となっている。

(2)「大衆の中へ」

ただ私の問題意識は社民党長野県連合が全国幹事長会議の前に意見書として送ったが、「国政政党としての社民党維持が極めて困難な現状にある」としても、これまでの運動の総括抜きには合流しようがしまいが日本における社会民主主義政党の再生はないということである。

2014年全国連合の党再生の議論を受けて社民党長野県連合は、「衆参で多数をとった安倍政権の反動化の流れに対抗する勢力をどうつくりあげていくのか、社民党はただこの一点に向かって、われわれ自身の力も付けるとともに、同じ理念目標をもつ皆さんとの接着剤となり、あるいは縁の下の力となり、信頼をつくりあげていく必要があります。この改憲阻止の運動を通じて、つまり誰とどのように力合わせできるのか、その真剣な取り組みを通じて社民党再生の道を切り開いていくことができる」と提起した。

 トランプ政治やアベ政治に象徴される新保守主義の政治は、あらゆる分野で強いものだけが生き残る政治をすすめているため、それに反対し、抵抗する市民運動が生まれてきている。福島第一原発事故を契機とした脱原発運動の広がり、沖縄新基地建設に反対するたたかい、TPPに関連した種子法廃止に変わる法律・条例を求める学習会、反貧困のたたかいなど。これらの運動は、憲法が保障する「個人の尊厳と基本的人権を守る」という点で共通であり、改憲阻止の闘いの裾野を広げるものである。

 課題は、私たち社民党員一人ひとりに、意識的に、こうした市民の動きに結び付き、ともに学び、ともに行動する力が残っているのかということである。あらためて「大衆の中へ」を肝に銘じる時ではないかと思う。

 

2、食と農の課題から見えてくるもの

(1)長野県「種子条例」制定への運動から

一昨年から長野県内で「NAGANO農と食の会」や「子どもの食・農を守る伊那谷」など市民団体が、種子法の廃止の狙いや、遺伝子組換作物について、長野県に種子条例の制定を求めるなどの学習会に取り組んできた。伊那谷では500人、長野松代でも300人、ほか各地で100人規模の学習会が取り組まれ、延べでどのくらいの県民が参加したか分からないほど大勢の県民の皆さんが関心をもった。その多くが小さな子どもを持つ親や有機農業に取り組む皆さんが牽引してきた。

もちろん社民党としても問題意識をもち、2018年8月に行われた長野県知事選挙では「種子条例の制定」を現阿部知事と政策協定もしたし、社民党県議が所属する会派の県政要望の中にも主要な政策課題として位置づけられていた。しかし、学習会が次から次へと全県で開催され、そこに多くの県民が集まってくる姿に接し圧倒されるものを感じざるを得なかった。とにかく学習会に足を運び、「どんな議論が行われているのか、どんな不安を感じているのか」知らなくてはならないと思った。県議選に浪人していたこともあり、可能な限り、それが共産党系の学習会であっても出かけて行った。社民党員にも可能な限り参加を呼び掛けてきた。

 こうした県民の強い関心の中で「長野県主要農作物及び伝統野菜等の種子に関する条例 」が制定された。あわせて、この条例制定に寄せられたパブリックコメントの中に「遺伝子組み換え作物が国内に流入することに対して不安がある」「遺伝子組み換え、ゲノム編集の汚染を受けないためにも県内にそのような種子を入れない、開発しないという担保が必要」という意見があり、県は「遺伝子組み換え作物との交雑を防止するためのガイドラインをつくる」ことにもなった。食の安全・安心に向けて動き出した県民の思いは、これで止まらず種子条例が制定されて以降も、食と農の学習会は続いている。この2月から3月にかけても小布施町、伊那市、高森町、安曇野市、長野市でゲノム編集や種苗法、学校給食の有機化などの学習会や、映画上映が行われる予定であった(新型コロナウィルスの影響でことごとく延期となった)。

 そして、各地で行われた講演会に出席した自治体議員の皆さんが、有機農業を推進する議連を立ち上げようという声があがり、2月4日に「信州オーガニック議員連盟」が設立され50人余の市町村議員や私を含む県議会議員が参加した。当日、30年前から食と農のまちづくり条例をつくり有機農業を推進してきた愛媛県今治市の取り組みを聞いた。今治市では、学校給食に地元の低農薬・有機の農産物を使用することで有機農業の拡大や、食育の取り組みにつなげてきた。

おおいに触発された地方議員の皆さんは、それぞれの自治体で「学校給食に有機農産物を」提供できるよう動き始めている。長野県においても2月定例会で私から「有機学校給食の推進に向け、県が旗を振り、『学校給食有機の日』に取り組むこと」と「5月に開催されるSDGs全国フォーラム・イン長野において、分科会か特別企画でSDGs有機特別フォーラムを開催したらどうか」提案し、前向きに受け止められている。

 

(2)グローバル企業とのたたかい

 国はTPP関連で「種子法を廃止」し、「農業競争力強化支援法により都道府県が有する種子生産に関する民間事業者への提供を促進」、さらに、「種苗法改正で育成者権を強化する」ということですから、この流れは種子のビジネス化の促進ということだ。ここにグローバル企業が入り、遺伝子組み換え種子やゲノム編集された種子が入ってくる恐れがあるし、正にそこにグローバル企業の儲けを求める狙いがある。

 先に紹介した愛媛県今治市では、すでに平成18年に「食と農のまちづくり条例」の中で、有機農業の推進の項目で遺伝子組換え作物の栽培許可を厳格にし、違反した場合は6か月以下の懲役または50万円以下の罰金まで課している。同様の条例が各地でつくられているが、それは市民の中から「遺伝子組み換えの食品は食べたくない」という強い世論があったからである。

 資本の側も黙っているわけではない。「遺伝子組換えではない」表示ができる条件を「遺伝子組換えの混入率をこれまでの5%未満からEU並みの0.7%にしろ」という全国消費者連盟などの要求を逆手にとって、限りなく「混入率ゼロ」でなければ、「遺伝子組換えではない」という表示は使えなくなってしまった。もちろん、これに反対する署名活動なども取り組まれ、従来の5%未満であれば「適切に分別生産流通管理された」旨の表示が可能とはなった。

 しかしゲノム編集は様相が異なる。アメリカや中国にゲノム編集研究の先を越された感が強い安倍政権はゲノム編集研究に大きく舵をきった。安倍政権は、2018年6月閣議決定した「統合イノベーション戦略」の中で、ゲノム編集技術で操作した生物の法的位置付けについて、厚生労働省と環境省が食品衛生法と生態系保全に関するカルタヘナ法での扱いを一気にまとめ、2019年9月解禁された。しかし遺伝子組換えとは異なり、企業は届け出だけでよく、安全性審査も表示義務もない。理由は従来の「自然界で起こる突然変異や、化学物質やガンマ線を使った従来の育種技術の変異」と変わらない、外来遺伝子を組み込まないので「種の壁」は超えないという説明だ。しかし、遺伝子組換情報室の河田昌東氏(月刊社民2019.5「ゲノム編集の今」参照)は、①DNA分解酵素による塩基配列の誤認が起きる(オフターゲット)、②細胞一個あたり挿入するゲノム編集酵素の量は、10万~1000万倍使い、これにより標的遺伝子は改変されるが、類似した遺伝子も破壊される、③一個の遺伝子が持つ多様な役割に未解明な部分が多い、④マーカー遺伝子(抗生物質耐性のDNAによって目的の遺伝子操作が完了したことを確認する遺伝子のこと)の問題。

 遺伝子組み換えで消費者の大きな反撃をくらった政府は、ゲノム編集では「従来の変種と変わりない」「証明ができない」などと言い逃れをしているが、ニュージーランドやEUではゲノム編集について、訴訟が起こされ規制の対象へと変わっている。

 

3、気候変動を課題とした環境政策を運動の柱に

(1)本気度が試されている

資本と闘わない労働運動は社会民主主義の基盤とはなりえない。「新保守主義の政治では戦争は止められない、新保守主義の政治では格差は拡大するだけである、新保守主義の政治は気候変動を止められない」という、国内や世界の進歩的な皆さんと連帯し、環境や命そして人間の尊厳を犠牲にするグローバル企業とたたかう力こそが社会民主主義運動の基盤である。言い換えれば「賃労働と資本の関係」こそが我々の運動の基盤なのである。

ただ「批判をしているだけ」では、「暗い」と言われるご時世である。かつて社会主義は明確に「平等」という明るい未来を示していた。ならば今、社会民主主義が示せる明るい未来は何か?私のまわりで共通に使われている言葉は「子どもたちのどんな社会を残せるのか」である。言葉としては使われてないが、この中には「平和・自由・平等・共生」は含まれていると思う。

 前章で食と農の問題を書いたが、これも気候変動に対する政策の対置と言っていい。スウェーデンのグレタさんの言葉を借りるまでもなく、温暖化ガスや窒素化合物・リン化合物を減らしていかなければ、地球は後戻りできないところまで来ているという地球環境問題は、グローバル企業を批判しているだけでは解決しない。気候変動や地球環境問題を自分事としてとらえ、子どもたちの未来のために「自分は何ができるのか」を考え実行することである。

 種子ビジネスで世界を牛耳ろうとしているグローバル企業に対して、ローカルでそれに対抗する経済をつくることで「明るい未来」を表現しよう。「学校給食に有機農作物を」「トラムの走る街」「太陽光や小水力発電で自前の電気を」など。

 これらは決して生易しいことではない。自分自身の生き方を変える覚悟が必要だ。有機農作物をつくったり購入する、マイカーを棄てる、電力会社の電力は使わない、そんな生活に変えることを目指す本気度が問われる。

 今治市の市民農園は、農薬と化学肥料を使わないことが条件になっている。有機農作物をつくることの大変さを知ってもらうためだという。

 

(2)水道法の改正問題や地域公共交通で労働者と学習会を

 もうひとつ、労働者をいかにこのグローバル企業とたたかう運動にかかわってもらうかだ。昨年松本水道労組が主催して、水道法改正に関連するビデオ上映会をやったところ、大勢の市民の皆さんが参加してくれて、当の水労の仲間が驚いていた。

当初からTPP関連法案として、水道事業の市場をグローバル企業に売り渡すものではないかという疑念を持っていた水道法の一部を改正する法律が2018年12月成立し、2019年年10月1日施行された。

松本市は、浄水場の管理や料金徴収業務を民間委託している。県水道や上田市水道も、フランスのヴェオリア社に浄水場の管理を委託している。小諸市は新たに民間企業に指定管理で水道事業を委託した。かなり前から水道の民営化の動きは始まっている。

しかし、今回の水道法の改正問題は、これまでの民間委託とは異なる。宮城県は県の上工下水道3事業をコンセッション方式で民間企業に運営権を売渡す条例を12月議会で可決した。

 これから水道法の改正の問題点についての学習会を全県で行いたいと考えている。社民党の自治体議員、自治労、水労、食とみどり水を守る県民会議などで実行委員会をつくり、ビデオ上映と当該事業体の水道事業の状況についてまずは知ってもらう学習会だ。

 地域公共交通については、2007年アルピコグループが、私的整理が行われた際、「乗って残そう公共交通」をスローガンに、シンポジウムに取り組んだ経過がある。いま、あらためて規制緩和の問題や環境問題から公共交通の課題について学習会に取り組みたい。

 

4、安倍政権を倒すために市民と野党の共闘の強化と政策づくりに全力をあげよう

 

野党が合流すれば安倍政権を倒すことができるわけではない。最近の選挙における投票率の低下を見ても、政治への関心は急速に薄れている。今、国民が最も求めていることは野党の数合わせではなく、野党共闘で政権をとるためにどんな政策を示すのかだ。政策づくりを含めた市民と野党の共闘に有権者・市民を大きく巻き込み、安倍政権を倒すために全力をあげる姿を示すことが今最も必要なことだ。

 残念だが安倍政権は国民から一定の支持を得ていることを認めなければならない。「他に適当な人がいないから」という、マスコミの世論調査の回答を鵜呑みにしてはいけない。他に書きようがないからに過ぎない。

 「死ぬまで自分は社民党でがんばった」でいいのだが、それよりも「死ぬまで子どもたちの未来のためにがんばった」の方がカッコイイ。

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20200221 一般質問 有機農業関係知事答弁

2020-02-24 08:35:17 | 食・農業

【中川】知事にお伺いいたします。有機農業には様々な可能性があります。高齢者や妊産婦の食生活の改善。ホットスティ等有機農業体験ツアー。有機嗜好が強い外国人観光客への提供等が考えられます。とくに、学校給食に有機農産物を取入れることは、今治市の例のように地消地産と給食にかかわる費用の経済的な地域循環や食育を進めることにつながると考えられます。有機学校給食の推進に向け、県が旗を振り、「学校給食有機の日」に取り組んでは如何でしょうか。また、5月に開催されるSDGs全国フォーラム・イン長野において、分科会か特別企画でSDGs有機特別フォーラムを開催したらどうかと思いますが、有機農業の推進に向けて今後の政策展開について知事の御所見をお伺いします。

【阿部知事】有機農業の推進についてご質問をいただきました。有機農業は環境と調和した持続可能な農業の推進、あるいは、SDGs目標達成の観点からも重要な取組みであると考えております。有機農業を進めるにあたっては、新規就農者の確保、技術の向上、販路の拡大等様々な課題もありますけれども、是非、これは推進していかなければいけないと思います。

来年度は昨年の8月に設立した県の有機農業推進プラットフォームの活動を本格化させ、生産・流通・消費・行政等様々な分野の皆様と連携して施策を展開したいと考えております。学校給食への有機農産物の活用につきましては、現段階では一部の町村で取組みが始まっているという段階であります。生産量の確保等課題はございますが、私も大切な取組みであると考えておりますので、課題解決に向け、まずは市町村と連携してモデル的な取組みを広げて行きたいと考えております。また、SDGs全国フォーラム・イン長野につきましては全国から多数の来場者が見込まれることから、本県における有機農業の取組みを全国に発信する場を設けるよう検討してまいりたいと考えております。以上です。

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20200221 有機農業関係の質問への答弁 項目別(農政部長・健康福祉部長)

2020-02-24 08:14:17 | 食・農業

【中川】有機農業の推進についてお伺いします。9月定例議会で知事から「有機農業の推進に向け、積極的に取り組んでいく」との答弁をいただきました。

 いま世界では有機農産物は大きな市場になりつつあります。アメリカでは5兆5000億円、EUでは4兆1000億円、中国でも9000億円の取引があると報道されております。

 この2月17日、農林水産省は「SDGs生物多様性シンポジウム、未来をつくる食農ビジネス」を開催し、長野県立大学がサテライト会場となっていて、私も参加しましたが、学生を含めて100人の方が聴講をいたしました。ちょっと音声が悪くて聞き取れないところもありましたが、花粉媒介昆虫や土壌生物等、食料と農業における生物多様性は、食料安全保障だけでなく、持続可能な開発目標の達成において不可決であるが、生物多様性は遺伝子、タネ、生態系といずれのレベルでも減少を続けており、食料安全保障と持続可能な社会の実現が危ぶまれていることや有機農業は化学的に合成された肥料や農薬を使用しないことや有機物の施用による土づくりを行うことから、生物多様性を保全するとともに、農地等への炭素貯留を促進すること等が報告されておりました。生物多様性の観点からも有機農業の推進が必要だと思われます。

 また、2月4日に、県会議員や市町村議員ら50人以上が参加して、「信州オーガニック議員連盟」が結成されました。規約では世界的な課題であるSDGs、持続可能な開発目標の達成と市民の健康長寿及び子どもたちの健やかな成長を願い、豊かな長野県の自然環境のもとで育てられ、遺伝子操作技術や化学物質等を用いない安全な農産物や食品を安心して食べることができる環境の実現を目指して、ゆるやかなネットワークを構成し、政策提言と社会的な活動を推進することをもって、市民の生活向上と地域の持続的な発展に寄与することを目的とすること等が確認されました。

 マスコミ各社でも取りあげられ、日本農業新聞で、当日講演された愛媛県今治市の取組みについても報道されていました。今治市においては食と農のまちづくり条例が作られ、地産地消の推進、食育の推進、有機農業の推進を行ってきました。現在、給食の米はぜんぶ地元の特別栽培米を使っています。パン用小麦も米国産から地元産に切り替えを進め、小麦の作付けは現在23haとなり、給食用パンで今治産小麦の使用割合は80%に達しているということです。

豆腐も米国産から今治市産と特別栽培ダイズに切り換えました。地産地消と食の安全意識が地域に浸透し、地場産食材の給食を食べて育った世代は地元産を重視して購入するように変わって来ているということです。スーパーで今治市産の特別栽培、有機栽培の野菜コーナーができたり、地産地消をアピールするホテルや食堂が増えたりする等、生産と消費の経済的好循環を産んでいるとのお話でした。

そこで、農政部長に有機農業で関連してご質問をいたします。まず、新年度予算における有機農業推進の取組み方針をお伺いいたします。

【農政部長】新年度予算における有機農業の推進の取組み方針についてでございます。有機農業の推進につきましては、生産拡大、関係者のネットワークの強化、有機農業への理解の醸成の大きく三本の柱で取組みを進めているところであります。このため、新年度予算におきましては、生産拡大に向けては新規就農者の定着や技術向上のための講座の開催、ネットワークの強化に向けては、有機農業専任担当者による生産、流通、消費のマッチング活動、理解醸成に向けては全県的な研修会の開催やホームページでの情報発信を強化して参ります。さらに、様々な分野での多くの皆様と連携をし、有機農業を推進していくため、昨年設置いたしました県有機農業プラットフォームを核とした取組みを本格化させ、有機農業の定着推進を図って参ります。

 

【中川】農林水産省は本国会に種苗法の一部を改正する法律案を提出すると伺っております。種苗法の改正は苗やタネの育成者の権利を定め、登録品種の海外流出を防ぐことが目的とされています。一方で、「これまで行われて来た自家採種や自家増殖が制限されるのではないか」という農家の皆さんの不安もお聞きいたしました。農政部として種苗法の改正についての見解をお聞かせください。

【農政部長】種苗法の改正についてでございます。農林水産省は優良品種の海外流出を防止するため、品種登録の出願地、栽培地を国内等に限定できることや登録品種の自家増殖を許諾制とすること、また、在来種や品種登録されたことがない品種、いわゆる一般品種については従来通り農家の自家増殖を制限しない方針と報道されております。このうち、品種登録の出願地、栽培地を限定できるということにつきましては、本県が育成したオリジナル品種の海外流出を防止し、知的財産権の強化につながるものと考えております。また、登録品種の自家増殖を許諾制とすることにつきましては、種苗の入手が困難になる等、農業者の営農に支障が生じない内容となることが必要と考えておりまして法改正に向けた国の動向を注視し情報収集に努めて参ります。

 

【中川】種子条例を作る際に、県民の皆さんから寄せられた意見の中にあった「遺伝子組み換え農産物の不安」について、県は「遺伝子組み換え作物のガイドラインを作る」としてきました。現在の作業の進捗状況はどうなっているのか。お聞きします。また、県民の皆さんからは、遺伝子組み換えとともにゲノム編集についても不安の声がありました。国はゲノム編集は有機JASに含めないとしています。したがって、遺伝子組み換え作物についてのガイドラインは、ゲノム編集についても記載すべきと思うが如何でしょうか。

【農政部長】遺伝子組換え農産物のガイドラインについてでございます。ガイドラインの作成につきましては昨年の11月からこの2月にかけまして農業者の代表、農業関係団体、消費者団体等にガイドラインのたたき台についてその内容をご説明し、ご意見をいただきました。現在、これらのご意見をもとにガイドライン案の内容を検討しているところであります。ゲノム編集技術につきましては、従来の育種技術と同様の技術であり、活用を進めるべきとの意見がある一方、消費者の理解や不安解消が不十分との意見もあり、県内におけるガイドラインのたたき台の説明会におきましても、同様に両方の意見があったところであります。今回策定するガイドラインは、長野県の主要農作物及び伝統的種子に関する条例の4月施行にあわせまして、遺伝子組み換え作物と一般作物との交雑・混入を防止することが目的であり、現在ではゲノム編集について記載しない方向で検討しているところであります。なお、ゲノム編集技術について今後も議論の動向を重視しまして、状況の変化が生じた場合には、それに応じてガイドラインへの反映をしてまいります。

【中川】ゲノム編集された食品の安全審査とゲノム編集についての表示を国に求めるべきだと思いますが如何でしょうか。これは健康福祉部長にお伺いします。

【健康福祉部長】ゲノム編集技術応用食品の安全性の審査と表示についてでございます。まず、安全性の審査についてでございますが、厚生労働省ではゲノム編集技術は従来から用いられて来た育種技術と同様に手法で作られる食品であることから、食品衛生法に基づく安全性審査は不要としつつ、開発した事業者には当該食品の情報を国に届け出るよう求めているところでございます。また、表示につきましては、消費者庁が当該食品はゲノム編集技術によって得られた変異と従来の育種技術によって得られた変異と科学的に区別することが困難であること等から、食品表示法に基づく表示を義務づけることは妥当ではないというふうにしております。しかしながら、県民の中にはゲノム編集技術応用食品に対する不安の声があることから、国に対しまして意見交換等の場を介しまして、不安解消に務めるよう求めてまいりたいと考えております。

 

【中川】環境保全型農業直接支払い交付金の対象に自然農法が含まれていない理由はなぜでしょうか。環境に最も負荷を与えず持続可能な自然農法を県はどのように支援する考えをもっておりますか。農政部長にお伺いいたします。

【農政部長】環境保全型農業支払い交付金と自然農法についてであります。国の環境保全型農業直接支払い交付金は、環境保全に効果が高い営農活動を支援する制度で、具体的には地球温暖化防止のため、土壌中に堆肥や緑肥を鋤込み、大気中の二酸化炭素を吸収する取組みを行うことが交付の基本条件とされております。一方、自然農法は堆肥や緑肥を含め、肥料を一切施用しない農法であるため、国の交付金の対象とすることを困難としております。有機農業には様々な農法がありますが、県では有機農業推進の基本方針の中で、有機農業実践者の取組みが多様であることから、農業者の自主性を尊重することとしておりまして、農法に関わらず多様な有機農法の取組みを支援しているところであります。今後も様々な農法の有機農業の定着推進につきまして、有機農業を志す幅広い皆様を対象とした、技術・知識を習得するための講座の開催や研修先の紹介、アドバイザーによる技術的助言、農業者のネットワークづくり、販路拡大等を積極的に支援して参ります。

【中川】さて、種苗法の改正については国会審議はこれからです。国は種子法を廃止し、農業競争力強化支援法により都道府県が有する種子生産に関する民間事業者への提供を促進、さらに、種苗法改正で育成者権を強化するということですから、この話の流れは種子のビジネス化の促進ということになるのだと思います。ここに海外事業者が入ってくることも十分に考えられ、遺伝子組み換え種子が入ってくる恐れがあるわけです。国に対して種苗法の改正については慎重な審議を求めるべきだと思います。また、ゲノム編集について有機認証からは排除されているわけですけれども、表示も規制もしないということになれば、どうやって排除することができるのか、という疑問が残ります。やはり国に対してゲノム編集の安全性審査と表示を求めるべきだということを重ねて要請いたしまして一切の質問を終わります。

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20200221 一般質問項目

2020-02-24 08:05:01 | 長野県議会

【警察】

1 歩車分離式交差点の歩行者用押しボタンの改良について

歩車分離式交差点の歩行者用押しボタンの所在が視覚障がい者にもわかるように改良してはいかがか。(伊藤警察本部長)

 

【健康福祉】

2 若年性パーキンソン病患者への県の支援について

難病指定となっているパーキンソン病の患者に対して、県はどのような支援を行っているのか。また、患者で構成する団体の独自の取組などへどのように支援していくのか。(土屋健康福祉部長)

 

3 アスベスト対策について

【環境】

  • 台風第19号災害に係る対応として、11月定例会で「災害時における被災建築物のアスベスト調査に関する協定」に基づく調査や、アスベストへの対応に関する周知について質問がされた。現在、同災害の振り返りが行われているが、アスベストについて、対策が十分であったか、また、これまでの対応に課題はなかったか伺う。高田環境部長
  • アスベストの含有が疑われる軒天井や壁材、スレート板などが災害瓦礫として集積場に運び込まれていたが、県はその事実を把握しているか。また、災害時における軒天井や押出成形板、スレート板などへのアスベスト対策を更に拡充するべきではないか。(高田環境部長)
  • 公費解体が始まるが、長野市では解体事業者やボランティアの皆さんなどにアスベスト対策を周知していくこととしている。他の自治体に対して県からアスベスト対策を促したり、アスベストの専門家を派遣したりすることが必要であると考えるが、いかがか。(高田環境部長)
  • 県内でアスベストを含む建築物の改修や解体工事を行う際、県としてどのような対策をしているのか。(高田環境部長)
  • 問題が発生したときに備え、状況証拠の保管が必要である。県が保管する顛末書、指示書、復命書などの文書の保存期間は何年か。(高田環境部長)

 

【情報公開】

  • 県が保管する文書で訴訟や事件・事故の証拠として扱われることが予想されるものの扱いについて、公文書管理条例に規定すべきと考えるがいかがか。

(関総務部長)

 

【農政】

4 卸売市場法の改正について

卸売市場法の改正の狙いと、県が引き続き果たすべき課題についてどのよう考え、取り組んでいくのか。(山本農政部長)

 

5 有機農業の推進について

【農政】

  • 新年度予算における有機農業推進の取組方針を伺う。山本農政部長
  • 国が提出予定の「種苗法の一部を改正する法律案」では、種や苗の育成者の権利を定め、登録品種の海外流出を防ぐとする一方で、これまで行われてきた自家採種や自家増殖が制限されるのではないかという不安を感じる農家もいる。この種苗法の改正について、農政部の見解を伺う。山本農政部長
  • 「遺伝子組換え作物に関するガイドライン」の作成の進捗状況を伺う。また、有機JAS認定から外れているゲノム編集についても同ガイドラインに記載すべきと思うがいかがか。山本農政部長

【健康福祉】

  • ゲノム編集された食品の安全性審査及びゲノム編集の表示を国に求めるべきと思うがいかがか。土屋健康福祉部長)

【農政】

  • 環境保全型農業直接支払交付金の対象に自然農法が含まれない理由は何か。また、環境に最も負荷を与えない持続可能な自然農法を県はどのように支援する考えを持っているか。山本農政部長
  • 学校給食に有機農作物を取り入れることによって、地消地産も進めることになる。有機学校給食の推進に向け「学校給食有機の日」に取り組んではいかがか。また、5月に開催される「SDGs全国フォーラム2020in長野」において、分科会か特別企画でSDGs有機農業フォーラムを開催したらどうかと思うが、有機農業推進に向けての今後の政策展開について所見を伺う。

阿部知事

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20200221 2月定例議会一般質問 動画

2020-02-24 08:00:26 | 長野県議会

長野県議会 本会議中継(令和2年2月21日4/8 中川博司議員)

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