6,新型コロナウイルス感染症対策について
【中川】知事は、1月19日の記者会見で、2類から5類への移行について「しっかり見直していただくことは重要」と述べています。また、同じ記者会見で、現在も入院患者が多いことや医療、介護の現場が逼迫していることに触れ「ガラッと1日で対応を転換するというのは現実的に不可能。医療費の負担のあり方等も含め、段階的に見直していく方針を示していただきたい」と政府に要望しています。
第8波の中で、知事は「ワクチン接種者は重症化しない割合が、接種者に比べて低い」という説明を行っていますが、私は以下の8項目を課題として考えています。①2類から5類になった際、ワクチンの公的支援の継続、②新型コロナの変異への対応、③科学的な根拠に基づく2類から5類への移行の時期の説明、④見直し後の医療体制、⑤院内感染対策、⑥高リスク者への対策、⑦コロナ後遺症、⑧ワクチン後遺症等への対策などです。
2類から5類に移行した場合、現行の法律で「何ができなくなり」「何ができるのか」県民に説明をいただくとともに、「段階的な見直し」に何が必要なのか、これまでの長野県内の新型コロナ対策を行ってきた責任者として、お考えをお聞かせください。
【知事】例えば、感染症法に基づく措置として、自宅療養者や濃厚接触者に対する外出制限が出来なくなり、個人や事業者等の自主的な対応に委ねられることになります。また、入院勧告を行ってきておりますが、入院勧告が出来なくなりますので、入院調整のやり方も変わってまいります。また、医療費の公費負担が無くなって、入院費用や治療薬等に自己負担が生じてくる可能性があるということであります。
こうした見直しにより、いわゆる通常医療での対応という形に変わってくるわけですが、私としては、中川議員もご懸念のように、国民や医療現場が混乱しないようにしていくことが必要だと思います。例えば、入院等の病床確保や公費負担等については、激変を緩和するための経過措置が必要であると考えております。
今後も一定程度の感染者の発生は見込まれるわけでありますので、医療機関あるいは高齢者施設等に対しても支援をしていくということも必要だと思います。
来月上旬には国から具体的な方針が示される予定であります。県としては、その方針を踏まえて、長野県として何を続けていくのか、何を止めるのか、こうしたことをしっかりお示しさせていただいた上で、5類への移行が円滑に行われるよう、必要な対策を講じてまいります。
【中川】政府に対して、2類かから5類への移行についての県民の不安を伝えていただき、県民の不安を少なくするためにも科学的な知見に基づいた説明を国に求めるべきではないかと思いますが、知事のご所見を伺います。
【知事】次に、科学的な知見に基づいた説明を国に求めるべきと考えるがいかがか、ということで、まったくご指摘のとおりだと思います。国が一番全国の情報を持っており、専門的な知見も有しておりますので、この感染症はよくわからないので不安・心配という側面もかなり強いわけでありますし、正しい対応を、我々都道府県であったり、国民・県民の皆様が行っていく上でも、正確なエビデンスに基づく情報提供は非常に重要だと思っています。
こうした点は、これまでの全国知事会議でも私の方から発言しておりますし、知事会からの提言でもそういった主旨を踏まえた内容になっております。まだ5類への移行とはいえ、新型コロナウイルス感染症が完全に無くなってしまうわけではありませんので、引き続き国に対しては、こうした科学的知見に基づくエビデンスをしっかり示しながら、対応してもらうよう求めていきたいと考えております。
【中川】2月15日長野労働局発表の令和4年労働災害発生状況の概要を見ると、休業4日以上の死傷者数は2002年以降で最多の2294人です。これには、新型コロナり患者の数は含まれず、新型コロナり患による労働災害は別に2835人います。内訳について長野労働局労働基準部健康安全課に問い合わせたところ、医療保健業務で42%、社会福祉施設で48%ということでした。医療や社会福祉施設での新型コロナり患による労働災害を減らすことは、引き続き課題であると思われます。
このような現場を支援する感染管理認定看護師の県内医療機関における配置状況と、長野県看護大学での感染管理認定看護師の養成状況について健康福祉部長に伺います。
【健康福祉部長】感染管理認定看護師につきましては、現在県内に76名おりますが、その中で所属先が公表されているのが60名、また医療機関に勤務している方は57名、41医療機関となっております。
感染力の強いオミクロン株の流行によりまして、医療・福祉の現場における集団感染事例が多くなっておりますが、新型コロナウイルス感染症のクラスターが発生した医療機関や福祉施設に対しては、その要請に基づきまして、施設内の感染対策等を支援するために、県看護協会と連携して感染管理認定看護師等の派遣を行っております。令和2年12月の事業開始以降、これまでに延べ176施設への派遣を実施したところでございます。
また、長野県看護大学におきましては、平成23年度から28年度にかけて感染管理認定看護師教育課程を設け、99名の養成を行った経緯がございますが、新型コロナをはじめとした様々な感染症に対応できる看護師の増加を図るため、今年度より再び開講しておりまして、25名が受講しております。来年度も引き続き、専門知識と技術を持った看護師の養成に取り組んでまいります。
【中川】2月に発表された「長野県子ども子育て家庭の生活実態調査」については、今後様々な観点で分析が必要であると思いますが、その中で、新型コロナウイルス感染拡大による影響についても調査が行われています。「学校の授業が分からないと感じること」について、「増えた」と回答した割合は、一般家庭では19.6%であったのに対し、周辺家庭では27.4%、困窮家庭では35.6%となっています。このような実態がありますが、教育委員会はどのように対策を考えているのか教育長に伺います。
【教育長】本調査は、知事部局において、子育て家庭の生活実態を把握し、今後の子育て支援策の参考とするために、平成29年度以来、5年ぶりに実施した調査であり、新型コロナウイルス感染症の拡大により、議員ご指摘のような変化があったと承知しております。
学校においては、家庭の経済状況によらず、すべての児童生徒の学力を保障するよう努めることが大切であると認識しておりまして、県内では、日常の授業改善に加え、平日の放課後や長期休業中に、教員や地域ボランティア等による補習学習の支援を行い、すべての児童生徒の学力向上に資する取組を進めております。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症の拡大により、調査時点では、このようなきめ細かな取組が思うようにできない状況にあったと承知しております。
そのような中で、各校では、一人一人の学習の定着状況に応じた学習プリントやインターネット上の学習ドリル等を用意し、子供達が取り組んだ課題を丁寧に添削するなどの取組を行っておりました。
また、県教育委員会でも、1人1台端末を活用し、生徒がインターネットを介して4000を超える問題に取り組み、自動採点も可能な学習システムを、中学2年生を対象に提供したところでございます。
今後は、アフターコロナを見据えて、各校で実施していた補習授業の取組の充実や、インターネットを介した学習システムの拡大等により、子供達一人一人の学力の保障に引き続き努めてまいります。
【中川】今回の質問について、担当課の皆さんとやり取りする中で、私自身が感じたことですが、沖縄連携協定については、産業・観光と歴史・文化の関係、教員の働き方改革と不登校支援の拡充、交通政策はまちづくり、CO2の削減や渋滞対策など、そもそも総合政策であること、新型コロナはいわずもがな様々な分野への影響があるわけです。
新総合5ヵ年計画が目指す姿を、県民の皆様との対話と共創、県民参加で創り出していくためには、県庁内において部局横断で「対話と共創」が求められているのではいかと感じたことを申し上げ一切の質問といたします。