こんにちは「中川ひろじ」です。

みんなのお困りごとが私のしごと

20230308 2月定例会林務部審査

2023-03-08 21:47:13 | 長野県議会

○中川委員 私からは、松枯れ対策を中心に質問させていただきます。

  まず、直近の松枯れの現状について、少し説明をお願いします。

○中島森林づくり推進課長 直近の松枯れの状況につきましてお答えさせていただきます。

  まず、平成25年度において、被害量が過去最大の約7万9,000立方メートルという記録をしております。その後、減少傾向となっておりまして、令和2年度には約6万4,000、令和3年度は5万1,000立方というふうになっております。依然として全国では1番の被害量でございます。

○中川委員 地域的な状況もお願いします。

○中島森林づくり推進課長 地域的には、直近では松本エリア、令和3年度の被害量で2万2,000で最も多くなっておりまして、続いて多いのが上田エリア9,100、長野が6,300、多いところではこの3地域でございます。松本エリアが、やはり突出して多いという状況にございます。

○中川委員 松本、上田はよく話題にもなるのであれですが、次は長野なんですね。長野はどこら辺の山が松枯れになっていますか。

○中島森林づくり推進課長 やはり、長野市が一番エリアが広いので、長野市の被害量が3,000立方となっておりますけれども、続いて多いのが坂城町になっております。これが1,300ほどです。

○中川委員 ありがとうございました。

  それで、松枯れ対策は、ずっといろんな研究をしてきました。その中で、空中散布だとか、それから地上散布、そしてまた樹幹注入、様々な対策が行われてきてはいるんですが、なかなかその対策が追いつかないで、山全体が枯れて、手がつけられない状況になっていくというのを目の当たりにしてきているだけにですね、何とかならないのかというのは率直な気持ちです。この間の最近の松枯れ防除等の研究の成果などがあれば教えてください。

○中島森林づくり推進課長 松くい虫の防除対策ではございますけれども、過去にはキツツキの繁殖を促す研究とか、キツツキによりましてザイセンチュウを媒介するカミキリムシを捕食するというような研究も過去にはあったわけですけれども、効果的な防除にはつながっていないというのが実情でございます。

  最近は、やはり全国的に、全国レベルで見ても松くい虫被害というのは減ってきている状況がある中で、なかなか新しい研究というものが、知見が増えてきていないという状況にございます。

  長野県においては、ちょっとまだ共同研究機関との関係もあり、詳細はちょっと説明できない部分がございますけれども、新たにカミキリムシを直接駆除する方法の研究に林業総合センターと共同で取り組んでいるという状況にございます。

○中川委員 そうなんですよ。なかなかいい方法がないのと、東北の研究機関からもですね。今のところ、我々の近くでいえば石川県が一生懸命やってくれていて、その研究成果についても我々も共用しているところなんですが、こういう時代なので、ゲノム解析みたいなことが進んでいけばいいなと思っているのは、マツノザイセンチュウは外来種で入ってきて、松を枯らすもとになっているんですが、ニセマツノザイセンチュウに対して松は抵抗を示さないんですよね。だから、それが、ゲノム解析して、何が一体原因になって松が枯れるのかという最終的なところが分かってこないと、なかなか対策が打てないというのが現状かなと思います。新たにカミキリムシへの対策ということを研究されているということでありますので、早くそれが効果が出るようなものになってくればいいなと思いますが。

  松本の里山で上金井という場所があるんですが、山全部、もう松枯れで枯れてしまっているんですね。そこで、林業総合センターの育林部のほうで樹幹注入による試験が行われています。その研究の状況については、御存じでしたらお願いします。

○中島森林づくり推進課長 今、御質問ありました松本市上金井のアカマツ林において、林業総合センターが対象区を幾つか設けまして、樹幹注入との比較をしている試験が、研究がございます。その研究の状況でございますけれども、アカマツを100本ずつ対象にしていまして、樹幹注入をしたエリアでの枯損木が一番低いという結果が出ております。樹幹注入をしたから全く枯れないということではないという結果になっております。

○中川委員 概略そういうことなんですが、例えばどういうことかというと、樹幹注入をした松100本ここにありますと、それから地がきをしただけの100本の松がありますと、それから全く処理をしていない100本の松がありますと。これを比べた場合に、4年間で、樹幹注入した地域では100本のうち44本が枯れました。地がきをしたところは68本が枯れました。無処理のところは71本枯れました。こういう結果が出ています。

  そのうちに、枯れた松のうちにマツノザイセンチュウがどの程度いたかというところの研究もされていまして、例えば樹幹注入した44本の枯れた松のうちにマツノザイセンチュウがいたのは45.5%、20本なんです。だから、100本のうち20本にセンチュウがいたという結果なんです。もちろんこれ、樹幹注入したからそうなっているんですね。一方で、無処理のところでいえば、100本の松のうち71本が枯れて、そのうちセンチュウが入っていた本数は60本、それなりに樹幹注入の効果が認められるという試験の結果が出ています。

  ただ、これ樹幹注入ですから、山中これ樹幹注入するというわけにいかないんですよね。やっぱり、例えば松本城の松を残すために樹幹注入するとか、そういうことは当然やらなきゃいけない、やっていることなんですが、なかなか、例えばマツタケが出る松に限って樹幹注入をするというの、これは誰も教えたがらないのでできないということがあって、なかなか難しい、樹幹注入でこれを対策するというのは難しい。松本市長の臥雲さんも、何とか樹幹注入でというふうに最初は思ったんですが、これはやっぱりやり切れないなという状況になっているのが現実です。現状の松枯れ対策について、県としてどのように考えているか、少し御紹介ください。

○中島森林づくり推進課長 松枯れ対策について御質問いただきました。

  委員、今御質問いただいたとおり、なかなか、絶対これで収まるという有効な手段が今ないわけでございますけれども、その中でも、県も市町村もですが、限られた予算の中で被害拡大を極力防ぐような効果的な方法を取るようにしておるところでございますけれども、今まで被害が少なかった標高800メートル以上の地域でも被害が増えつつあるという部分もございまして、そういったところへも対策が必要になってきていると、地球温暖化の影響等もあるかと思うんですけれども。

  こういった状況を踏まえまして、令和3年度に県内の被害状況が一目で分かるような松くい虫被害レベルマップというものを作成しておりまして、こういったツールを使って市町村の職員にも活用方法等、研修を行ったりしておりまして、このマップ、毎年データを更新するんですが、それによりまして、効果を発揮できるところを主体に駆除するというような対策を進めておるところでございます。

○中川委員 今の現状でいうと、全ての山にお金をかけるというところにならない現実があって、先端地域を中心に防除などを行いながら、被害の拡大を防ぐという手だてを取っているんですね。

  私の住んでいる松本市岡田地区でも松枯れ対策協議会をつくって、そして事業体の皆さんに頼んで更新伐、あるいは天然更新にするなりして対策をやってきていますが、問題は、先端地域にはそういう事業化ができるので手を出すことができる。しかし、もう山中枯れてしまって、生きている松がないので、切ってもお金にならない山になってしまった。そうするとこれ、手出しができない、今の松枯れ対策の事業で。

  これ何とかしなければ、枯れた松がどんどんどんどん倒れて、大風吹くたびに倒れて、これはこの後質問しますけれども、鹿柵を壊したりだとか、あるいは民家に突っ込んでくるとか、様々被害が現にあるし、山腹崩壊の危険もあるわけですよね。ここへの対策というのが、保安林だったらまだ計画的にやれるんですけれども、保安林じゃない山については全く手出しができない。今の県に限りませんが、国も含めて、何の手だてもできないのが現状だというのが私の認識ですが、御見解をお願いします。

○中島森林づくり推進課長 激害地が増えている中でのそういったところの対策についてでございますけれども、枯れてしまった木が、確かに民家ですとか道路ですとか、そういったところに影響を及ぼす場合がございますので、そういったところは市町村等でも優先的に対応していただいているところでございますが、現在、枯損木の活用につきましては、枯損木の利活用事業という事業がございますので、そういったところで切って搬出して、最後は木質バイオマスのほうに持っていっていただくというような支援もしているところでございます。

  あとは、松くい虫の対策としまして、被害の先端地域に限らず、アカマツ林の施業指針を基本としまして、枯損木や衰弱木などの搬出を、先ほどの枯損木利活用事業を活用するなどして搬出を支援することとしているところでございます。

  また、間伐などの整備が必要な場合については、信州の森林づくり事業により支援をしているというところでございます。

○中川委員 課長分かっていて答弁していると思うので、私も言いにくいところはあるんですけれども、枯損木利活用事業も、事業体がこれはお金になるなと思わなければ手を出さない、もう枯れて、乾燥し切っちゃっているのは持っていったって、ぽっと燃えて終わりですよね。そういう山になってしまっているんですね、特に松本の東山は。そこの山をどう緑の山に再生していくかと考えたときには、その事業がないんですよ。

  この前も言いましたけれども、この前言ったのは、松枯れ対策協議会として、天然更新を目指して切った山は、森林づくり県民税を入れて再造林をしていくという方法もあるんじゃないんですかという提案をした。だけれども、今回、今日言っているのは、そういう手を入れられずに、もう全面山が松枯れでどうにもならなくなってしまっている、そういう山も木を片づけて、まず枯れた松を片づけて、緑の山にしていくのに森林づくり県民税を使う道を開くべきではないかというのが私の提案です。

  その前に、農政部でもちょっと質問させてもらったので、そして現場でも一緒に見てもらっているので、鳥獣被害防護柵、いわゆる鹿柵の被害ですね。枯れた松がその防護柵に倒れ込んで、そして鹿がまた外へ出ていくという状況になっていて、この鹿柵そのものは農政部の予算で補修をしています。鹿柵そのものの国の補助事業の中には、長寿命化の交付金の対象の中に長寿命化の予算は組まれていないので、ちょっとこれ中山間地域のを使ったりとか、市町村が買って、そして防護柵を補修をする。その市町村が買ったお金については、特別交付税で8割措置するというようなやり方で、防護柵についてはそんなやり方がされているんですが、そもそもその防護柵を倒してしまう枯れた松への対応というのは遅れているんですよね。

  結果的に、鹿柵が、民家へ枯れた松が飛び込んでいくのを防ぐ役割をしている。山の中で玉切りした松が落ちてこないように止めてあるんですけれども、その止めてある木が枯れちゃうと落ちてくるわけですよ。落ちてきて、それを鹿柵が止めてくれているって、何のための防護柵かよく分からないんですが、ちょっとね、これはあまりにも何とかしないとまずいなと。

  保安林指定しておけば、それはもちろん治山事業としてやるんですけれども、全てのそういう枯れた松枯れの山を保安林に指定して、それから事業やるといったって、そもそもの予算の規模とかあって、順番もあるし、直ちに手がつかないという状況があるんですよね。そういうことを考えた場合に、やはり先ほど申し上げたように、何らかの手だてが、松枯れの山を緑の山に再生していこうと、こういう方向、方針が必要なんじゃないか、新たな方針が必要なんじゃないか。それは、今日明日にというわけにいかないかもしれないけれども、しかし、これ何とか手をつけていかなきゃいけない課題だと思いますが、御認識をお伺いします。

○中島森林づくり推進課長 鹿の獣害防護柵等が松枯れの木により被害を受けているというお話でもありまして、大変なかなか松くいの対策が追いついていない部分があるのではということでございますけれども、確かにそういった部分について、直接被害を及ぼすであろう枯損木を、ピンポイントで対応するという事業設計はちょっとされておりませんので、直接の対応は非常になかなか困難なところでございますけれども、民家等に危険を及ぼす場合等あるかと思いますので、そういった部分については、市町村ですとか農政部と連携を取りまして、何らかの対応をしていくことを考えていく必要があると認識しております。

  また、手かずの立ち枯れているアカマツ林の再生ということでございますが、森林税でいっております再造林の部分でどこまで対応できるかという部分は、ちょっとまだ検討する部分はあるかと思いますけれども、基本的には再造林に関する補助事業というのは、従来の信州の森林づくり事業のほうで対応できる部分はありますので、緑を再生する部分についてはそういった事業を充ててやっていっていただくということが肝要かというふうに考えております。以上です。

○中川委員 これまでの事業では、山の主は手を出せないので、今回、森林づくり県民税を10分の10入れて山の再生していきましょうという、そういう方針じゃないですか。だから言っているんですよ。こういう新しい事業が出てこなかったら、しようがないねと言って諦めちゃうけれども、そうじゃなくて、森林づくり県民税を山の再生のために使うと、再造林のために使うというふうに出してきているから、だから、だったら松枯れで枯れた山を緑の山に再生するためにも使っていいんじゃないかということを提案しているんです。御所見を林務部長にお伺いします。

○吉沢林務部長 松枯れ対策の御質問をいただきました。

  私も、委員のように十分松枯れに対する知見はないんですけれども、松本地域に行った際に、御指摘のあった地区を見ますと、山全体の色ももう変わっていて、本当にこれ何とかならないのかなという気持ちにはなります。ただ、今のずうっと御質問でやり取りされてきたように、なかなか難しい問題があるなというふうに、今お聞きして、改めて感じました。

  今の施策は、先ほど担当課長のほうから申し上げましたけれども、恐らく被害レベルの地図を作って、被害の重いところとか、あるいはまだなっていないけれども、そこの周辺の部分から予防的措置となっちゃったところは倒してやって、それでもう枯れちゃったけれども、まだ燃料として使えるようなところは枯損木利用として使えると、そういうことでできることをやってきているんだと思いますけれども、今、委員の御指摘のあった現制度で手のつけられないところの山をどうしていくかというのは非常に難しいけれども、大事な課題だと思いますので、ただ、今時点でその量がどのくらいあって、森林づくり県民税の全体のボリュームでどこができるのかというのも、ちょっと今時点では私十分承知していませんので、非常に重要な御指摘の課題というふうに受け止めさせていただいて、そういった部分の研究も必要に応じてやっていかなければいけないなというふうに考えておりますので、よろしくお願いいたします。

○中川委員 ちょっとしつこく言い過ぎたかもしれませんけれども、でも、本当に枯れた松、昔は私も小学校のときに、東山を写生大会で絵を描いて、緑の山をちゃんと描いた、そういう覚えがあるんです。今は描けないんですよね。そういう意味で、本当にあの松枯れの山を緑の山にする、その方向もぜひ新年度の中で検討いただきたいということを要請いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

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