【福島みずほの”教えてプリーズ!!”】第8回「ミャンマー国軍と私たちのお金」(報告者:木口由香さん〈メコン・ウォッチ事務局長〉)【2021年6月末までの限定公開】
youtube社民党チャンネル 福島みずほの教えてプリーズ
第8回「ミャンマー国軍と私たちのお金」
報告者 木口 由香さん(メコンウォッチ事務局長)
ミャンマーの国軍について
・国軍が理想とする統治の形は、自分たちが特権的な地位にある憲法の範囲で民主化勢力を統制する『規律ある民主主義』(中西嘉宏氏 朝日新聞インタビューより)
・国軍にとっての国防は、国内の「破壊分子」「抵抗勢力」と戦うこと
・仏教原理主義の浸透(イスラム教徒等を排斥)、自治や独立を求める少数民族を敵視、民主化を求める市民も抵抗勢力
・性暴力を兵器として使用している強い疑いがある、2002年発行「強姦の許可証」などの報告
純粋さを好むミャンマー国軍
・「本来の教えとかけ離れた仏教」を振興する「ミャンマー人」が、国軍の元に一つに統一された国を目指し、それ以外の異物は排除(異なる宗教の信仰、性的少数者などは存在が許されない)
・現在の国軍にとっては「政党制」のあるものと、国軍自身が考えていることを、理解する必要がある。
・私たちに問われているのは、日本はミャンマー国軍を認めるのか?という問題ではないか。中国に寄ってしまうということではない。
ミャンマー国軍と国民民主連盟(NLD)の力の不均衡
・文民統制が確立していなかった、というよりも、「民政化」後も孤高軍とNLD政権の二重の権力構造だった。「民政化」の前につくられた2008年憲法>安全保障分野の3閣僚の氏名は孤高軍トップ、治安関係の機関は国軍と一体、軍事は国会の監視を受けない。・・・NLD政権がこの憲法を変えようとして軍事クーデターが起きた。
第三者の監視の外の国防予算
・ミャンマーの法では、国防予算は同国の会計検査院に相当する機関の監査対象害(関連法に明示)
・国軍の収入=国防予算+国内に張り巡らしたビジネス網からの収入
ミャンマー国軍のビジネスと外資
・ミャンマー・エコノミック・ホールディングス・リミテッド(MEHL)とミャンマー経済公社(MEC)の二つの会社を所有・経営
・MEHL、MECと両社の子会社は文民が所有するどの企業よりも多額の収入を生み出している。
・14の外国企業が国軍関連企業とジョイントベンチャーを組む。
・少なくとも44の外国企業がその形で国軍関連企業と商業関係を持つ。
・日本の対ミャンマー「経済支援」で、全てではないが、これに巻き込まれているものがある。
日本の対ミャンマーODA
・2018年度まで(交換公文ベース外務省HP)
・優勝資金協力1兆1368億円(約束のみ、全額支払われたわけではない)
・無償資金協力3229.62億円
・技術協力984.16億円 合計1兆5000億円
(報道で、2019年度の日本の対ミャンマーODAは、プラス円借款1688億円、無償資金協力138億円、技術協力66億円)
・有償資金協力(円借款)の原資は税だけではない。市場で調達されたものもある。
OOF:ODA以外の政府資金
・OOF:Other Official Flows
・OOFは、政府開発援助(ODA)の基準を満たさない政府セクターの取引(OECDの定義)
・そもそもODAとは、政府または政府機関によって供与されるもの、開発途上国の経済開発や福祉の向上に寄与することを主たる目的としている、資金協力に打ちては、その借款条件に金利が低く、融資期間が長いもの。
ODAで実施された事業
実施期間:国際協力機構(JICA)外務省管轄
・ティラワ経済特別区(SEZ)の周辺インフラの整備、SEZへの出資・融資、バルーチャン第二水力発電所の改修、ヤンゴン‐マンダレ鉄道の整備、送電システム、通信システムの整備、東西経済回廊の整備(メコン川流域の経済連携)
対ミャンマーOOF(その他政府資金:日本企業の海外進出サポート)
・国際協力銀行(JBIC)財務相所管、旧都ヤンゴンでの都市開発や、ダウェー経済特別区開発会社への出資、キリンのM&A資金支援など、2013年度以降、10数社への融資
・海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)国土交通省所管、YComplex開発事業を含む5件の事業に合計177億円(最大額)の投資と圭184億円の債務保証
JBICの式の調達先(財政投融資会計、外国為替資金特別会計、市場での調達、円借款回収金)
国軍ビジネスと関係する公的資金を受けた事業(1)問題が明らかになっている事業
ODA「バゴー橋建設事業」サプライチェーンに国軍系企業
・310.51億円の円借款、日系企業(横川橋梁)が、ミャンマー経済公社(MEC)子会社、No.2Steel Mill Ando Fabrication Shop(Myaungdagar)と橋梁用の鉄骨の製造、事業によりMECに莫大な利益を得るとの指摘が現地から
ヤンゴン市内都市開発:通称Y Complex
・最大都市ヤンゴンの一等地、シュエダゴンパゴタ近くの軍事博物館の跡地利用、日系企業が大規模複合不動産を建設、運営(事務所、店舗、高級ホテル、サービスアパートなど)、2021年開業予定で建設中だった(クーデターで中断)、総事業費377億円(日本の官民が8割負担)
YComplexの賃料は国防省に支払われた
・ネット上で公開されている環境アセスメント添付の資料、現地企業YTT代表は兵站局副司令官と契約
つまり、国防省(=国軍)から土地を借りている、支払先は、JBICは「一般会計に収まっていると認識」と説明、4/20財務金融委員会(立憲桜井議員の質問に対して)JOINの社長「書面での確認は行っていない」、現地では、国防予算、一般会計ともにこの資料の記載なしと報道されたことを、証拠をもって否定できない状況。年間2億円と言われている。ODAもOOFも軍事には支払ってはならないことになっている。
国軍ビジネスと関係する公的資金を受けた事業(2)今後、問題になる事業(37:49)
ティラワ経済特別区(SEZ)開発事業
・国際協力機構(JICA)が海外投融資案件として10%
・ミャンマー政府(ティラワSEZ管理委員会が10%出資
・ODA(円借款)で周辺インフラを整備
・製造業用地域、商業用地域等を総合的に開発する事業
・場所:ヤンゴン中心地から南東約23km(タンリン郡、チャウタン郡にまたがるティラワ地区2400ha)(千代田区面積の2倍)
・賃料が国軍に入る。
・日本の自動車産業も入っている。
今後その他の事業もリスクに直面
・政府機関の土地や施設を賃貸する事業収入は、国軍に管理される恐れ
・ODAの主契約者には国軍系企業はない。しかし、サプライチェーンに国軍系企業が入っている可能性は沢山はないが低くないので、調べるべきだ。
・進出する民間企業が影響:4/21米国がミャンマー真珠公社(MPE)を制裁対象に。今後、他の公社も対象になる可能性があある。米国の制裁対象に入ると海外送金ができなくなる可能性があるのでビジネス環境としても難しくなっていく。
ミャンマーの人たちの希望
・日系企業に働く人たちも、今は、日本からの援助、国軍につながる投資をやめてほしいと思っている。
・ビジネス界有志の方たちが行ったアンケート、ミャンマー日本企業緊急アンケート(ミャンマー人編)
https://note.com/myanmarsurvey
NGO要請書 5項目の要請(1)
1,人道目的以外の公的資金による支援を実施しない
2,国際協力機構(JICA)が実施している政府開発援助(ODA)事業で、人道目的のものを除く全ての支援を一旦停止、国軍b時ネスとの関連を調査
3,国際協力機構(JBIC)や海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)が現在融資・出資している事業への支援を一旦停止、国軍ビジネスとの関連を調査
4,調査で明らかとなった事実を公表。国軍を裨益する事業に関しては、直ちに中止、または支援を取りやめる措置をとる。
5,事業を実施する日本の民間企業に対しては、国軍との関係を断つよう指導。国軍との関係を断つことを拒否する企業に対して、開発協力大綱及び国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に照らし、直ちに公的支援を取りやめるべき。
(・・・返事はない。)
省庁・企業に向けたアクション
・3月4日、4月1日に外務省に要請>「情勢が流動的なので検討中」との回答が続く
・「ミャンマー国軍の資金源を断て」連続アクション
・のほんオ政府機関・企業への要請・アピール(4月13~19日)
#ミャンマー国軍の資金源を断て
国際環境NGO FoE Japan、アーユス仏教国際協力ネットワーク、武器取引反対ネットワーク(NAJAT)、メコン・ウォッチ
ODA・OOFに関して個人的な意見
・今は新規事業をすべて止めるべきではないか(緊急支援ができる状況にすらない)
・既存事業で国軍に関連するものは直ちに中止すべき。
・有償資金協力は既存事業も停止すべき(このままではミャンマーの国民への不当な債務を増やす)。
・日本政府は情報の開示をしてほしい。その情報を元に、国会で関連企業支援や撤退のサポートを議論すべき。なぜやらないのか疑問。
・国軍の権力を維持したままの民政化への支援が適切だった検証を。民政化で30億円の負債を解消しているが妥当だったのか。軍政の負担を日本国民が負担した。
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