リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

ヴァイス作曲ソナタ第39番ハ長調(4)

2023年08月01日 23時11分43秒 | 音楽系
第3曲目のブレです。リュート曲にしては広い音域でテーマが展開される曲です。たとえば4小節目の2分音符ところが5小節目ではそのままオクターブ下でエコーになっているところなんかはなかなかリュートでは見られない形です。しかもそれほど技術的に無理をしていないところがさすがです。

アップテンポで演奏する本ブレはとても華やかな技巧がちりばめられています。オクターブ進行あり、速いアルペジオあり、(ギターでいう)カンパネラ奏法(書法?)もありです。

このソナタの何曲かは後半の後半部で同主調の短調の和音が使われていてちょっとした陰りを演出しています。バッハもよく使うこの和音進行ですが、本ブレにも出てきます。

多彩なリズムと和音進行を持っているこの曲は多分一気に突っ走るような演奏ではなく、場所によってはたっぷりとルバートをかけて演奏した方がいいように思えます。もっともやり方がまずいとぶちこわしになりますが・・・