リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

インタビュー

2005年06月20日 04時23分25秒 | 日記
送られてきたアメリカリュート協会の季刊誌を見ていたら、ホピーのインタビューがありました。インタビュアーはフィル・ラカヴィナで、彼とは2003年イタリアのトレヴィーゾのマスター・クラスで一緒でした。
インタビューの日付を読むと、去年の5月とあります。そういや、その頃ホピーの家でフィルと会ったことがあります。レッスンをうける合間にインタビューまでやってたんですね。

インタビューは家族のことから始まり大きな影響を受けたプジョールやドンボアのこと演奏や教育に対する考え方など多岐にわたっています。なんでも彼の6代前の大おじいさんは、最初のアメリカ生まれの作曲家で、アメリカの独立運動にも関わったそうです。

リュート教師としては、若い頃は、ちょっときついところがあったとありました。なるほど、そのころ一度レッスンに行ったことがあるんですよね。(79年)確かに、ぶっきらぼうなところがあったし、今とはずいぶん違っていましたねぇ。(このあたりはブログの随想編に書いたことがあります)なんでも子供が生まれて育てていくうちに、もっと根気よく学生と接しなければいけないと分かってきたそうです。

教え始めたころは、音楽を教えていたが今は人を教えているとのこと。奥が深いですねぇ。私も英語教師をやっていた頃は、英語を教えるより人間教育が大切だ、なんてよく偉い人から言われましたが、それと同じです。高みに達した人は洋の東西、分野を問わず同じ所に達するもんなんですね。日教組の人たちが聞いたら喜びそうな話しです。(笑)

ここ2年くらいはダウランドをずっと演奏していましたが、今後は(もうぼちぼち始まっている)カピローラやフランチェスコ・ダ・ミラノのイタリアの曲を手がけて行きたいそうです。来年4月に日本公演が決まっているようなので、その時はそれらの曲が聴けますね。

渡欧 (2)

2005年06月19日 04時55分56秒 | 随想
 当時はソ連上空を飛行機で通過できなかったので、普通はアラスカのアンカレッジ空港で一旦給油して、北極経由でヨーロッパに向うことが多かった。その時は大韓航空の格安券を買ったので一旦ソウルに行き、またアンカレッジに向かうという逆戻りルートになる。もう少しはずめば、東京からアンカレッジに向かう便を使えたが、貯金も何もないころのこと、いたしかたなかった。ただ格安券と言っても、当時の私の手取りの何倍も払わなくてはならず、実際は決して格安ではない。6,70万した正規運賃よりはかなり安いと言う意味で格安ということだ。その航空券を買うために、私は教職員互助会から借金をしなくてはならなかった。

また工事

2005年06月18日 00時29分21秒 | 日記
何かまた近所で工事が始まっています。何時間も連続してやるわけではないけど、やはりうるさいですね。とてもフレンチの耽美的な曲を練習する雰囲気ではありません。
外を見ると、アスファルトをローラーで固めているところですので、もうフイニッシングですね。しばらく我慢しましょう。
最近バーゼル市内のあちこちで道をほぜくり返しています。いつも学校に行くルートでもずっと工事しているところがあります。日本の役所みたいに予算消化のために土木工事かな?いよいよスイスも土建政治のはじまりか、どうかは分かりませんが。
道だけでなく、建物の修理や新築も何か最近よく目立ちます。高層建築用の立ちの高いクレーンをあちこちで見かけます。駅前の一角も古い建物を壊してそこに新しいものを立てるためにどーんとクレーンが設置されています。高さは30メートルくらいはあるでしょうか。上の操作室へは下からはしごで登っていくんでしょうけど、怖そうですね。怖いというより、私なんか登ったら途中で体力が尽きるかも。(笑)
バーゼルは(スイスの街はみんなそうですけど)20世紀の戦乱の影響を受けていないので、古い建物が沢山残っています。多分日本によくある「古い町並み」エリアよりずっと多いように思えます。古い建物も修理が必要なので、いくつかクレーンを設置して修理しています。新築もあり、道路工事もありでバーゼルの土建屋さんも大忙しの今日この頃です。

渡欧 (1)

2005年06月17日 04時33分26秒 | 随想
 教師になって2年目、1976年の夏に私は初めてヨーロッパに渡った。まだ海外旅行がめずらしかった頃で、職場の方々にはいろいろ配慮して頂いた。出発の日の昼には、職員一同集まり一緒に昼食をとり、歓送会までして頂いた。まだ地域の社会教育力があり、生徒の問題行動もほとんどなかった時代だからこそできた話しで、今だったら一新米教師の渡欧のための昼食会など、いくら昼休みの休憩の時間のこととはいえまず不可能だろう。何もかも余裕のあった時代だ。
 その日の夕方、リュートを含めた沢山の荷物とともに私は新幹線に飛び乗った。その日は東京に泊まり、翌日ソウル・アンカレッジ経由の大韓航空便にのることになっていた。東京では友人のYさんに夕食をおつきあい頂いた。彼はアマチュア・リュート奏者の草分けで、当時すでにオリジナル資料の蒐集では定評があった方だ。彼のご厚意で翌日も都内の宿から羽田まで車で送って頂いた。

飛行機と楽器

2005年06月16日 04時00分31秒 | 日記
少し前のインターネットニュースでエアバスの最新型A-380がパリの航空ショーでお目見えしたそうです。初飛行自体はもう少し前だったと思いますが、それにしてもすごいです。800人もの人を乗せて飛ぶんですから。食事を出すときなんか、それこそ客室乗務員の人たちはたぶん戦争状態。こっちは口を開いて待っているだけですけど、本当に舞台裏の人は大変でしょうね。
楽器を演奏する人が飛行機に乗るとき大変なのは、それをどうやって持ち込むかです。フルートとかヴァイオリンあたりは、キャビンに問題なく持ち込めるからいいでしょうし、コントラバスやチューバあたりだと最初からキャビンに持ち込もうとする人はいないでしょうね。
でもギター、リュート、ガンバあたりの人は皆苦労しているようです。
あの華奢なリュートを荷物としてあずけるなんて考えただけでも恐ろしいことですし、さりとてチケットを2枚買うようなもったいないこともできないし、悩ましいところです。ギターの人で、楽器を荷物として預けて、到着したらバラバラに壊れていたという話を聞いたことがあります。ベルトコンベアにいくつか段差があるし、扱いも相当手荒ですから、さもありなんという感じです。
私の場合、今のところ弦長75cm(長い方は100cm)のドイツテオルボまでは機内持ち込みに成功しています。航空会社はシンガポール航空です。安いのでよく使うんですけど、最初の頃はえんえんとごねまくってやっと、という感じでしたけど、最近は「またあの客か」って感じかも知れませんが、特に何も言われずに中に入れてくれます。要するに頭上のラゲッジスペースに入れば問題ないとは思うんですが、いろいろ聞いた話では、気前よく中に入れてくれるのは、このシンガポール航空と日本航空だけみたいです。今度日本に帰るときも、もちろんシンガポール航空。二人で3台の楽器を持ち込むつもりですが、まぁ何とかなるでしょう。(笑)

ラストレッスン

2005年06月15日 19時34分36秒 | 日記
6月も後半に入りつつあるとなんとなくもう夏休みって雰囲気がしてきます。ホピーのレッスンは今日が最後です。一昨年の10月からほぼ毎週レッスンをしてくれました。最初はそんな頻度でレッスンをしてくれるとは思っていなかったので、びっくりしたものでした。有名な先生でも客員で外国から来ている先生は、せいぜい月1,2回くらいらしいですから、私の場合はすごく恵まれていたと思います。
さて、記念すべき?ラストレッスンの曲はやっぱりフレンチです。ここ最近レッスンはフレンチですが、やっぱりフレンチをしっかりやらないとヴァイスやバッハが見えてこないもんです。
レッスンを受けた曲は、ドゥビューのシャコンヌです。ウィーンにある写本の一番最後の曲ですが、スタイル的にはフレンチというよりドイツ色の濃いジャーマン・フレンチって感じです。でもホピーのレッスンをうけているうちに、見る見るフレンチ・デカダンの薫り漂う曲に変身していったのには自分でも驚きました。彼はこの曲ははじめて見たそうですが、やはり洞察力はすごいですねぇ。
来週の始めでホピーの今年のクラスは終了しますが、締めのクラッセンで「ミニ・リサイタル」をさせてもらうことになりました。実は同じ日に、声楽発表コンサートでダウランドの伴奏をしなければならないんでちょっと大変ですが、まぁ、ダウランドは適当に・・・(ナイショ)いえ、もちろん気合い入れて弾きますけどね。「ミニ・リサイタル」ではゴーティエ、ガロー、ムートン、ドゥビュー、ヴァイス、バッハの作品を弾こうかなと思っています。

コンサート

2005年06月14日 19時08分26秒 | 日記
今日はスコラと、バーゼル音楽院(この二つは併設されています)の学生コンサートがなぜか目白押しです。
3時から日本人ギタリストのHさんのコンサートを聴きました。プログラムはバッハ、ソル、細川、武満、ウォルトン、ドナトーニの作品でした。彼女は現代作品にすごくいいセンスを持っているギタリストですが、今日のバッハもよかったです。バッハはBWV996のホ短調組曲でしたが、今村さんの所で何回かレッスンを受けたそうで、充分その成果が出ていたと思います。なぜか日本人ギタリストのバッハは不勉強な演奏が多くて、古楽器奏者の耳には聴くに堪えないものが多いんですが、彼女はその点しっかりした素養とセンスを感じさせました。他の日本人ギタリストの方ももっとがんばってほしいですね。
バッハを弾き終わったあともまだ少し顔がこわばっていましたが、(笑)ソルあたりからだんだんリラックスしてきました。ウォルトンの作品はソプラノとギターのためのAnon. in Loveという曲でしたが、曲の日本語訳を付けるために2週間くらい前に彼女が私のところに来たことがありました。歌詞の中にきわどいというかズバリのことばが出てくるので訳語に困っていました。いくつか訳語の候補をあげましたが、あまりズバリの日本語でもねぇーって感じで決定版は出ませんでした。最終的にそのことばの訳として、彼女は「僕の魂」ということばを使いました。(え、元の英語は何だったって?それはちょっとここでは書けません。(笑))うーん、ちょっと高級すぎる感じかなぁ。私的にはせめてカタカナを使って「僕のタマシイ」くらいはしたかったな。(笑)
それはさておき、全体としてとても音楽センスあふれるいいコンサートでした。武満、細川作品もすごくこなれていたし、ドナトーニのいわゆる70年代のアヴァンギャルド風作品もすごく魅力的に響いていました。日本での活躍が楽しみなギタリストですね。

またバッハ・カンタータ

2005年06月13日 02時27分11秒 | 日記
今日はプレディガー教会でバッハカンタータシリーズを聞くことができる最後の日。聴き納めに行ってきました。
今日のコンサートは先月ほど一杯ではなかったですが、それでもほぼ満員、人気があるんですね。聴衆はおじいちゃん、おばあちゃんから若いカップルまでいろんな世代が混じりいい感じでした。スコラの学生もちらほら。

今日のプログラムはカンタータ第21番。今日のソリスト陣は若い人中心でしたけど、ソロのあったソプラノとテナーは上手かったですよ。あ、バスとソプラノのアリアもありました。バスも良かったです。

この曲で思い出すのは、BCJの演奏。その録音ではテナーはテュルク(先月のソリスト)が歌っていますが、始めの方に来るテナーのアリアで、あるフレーズだけ音をはずしているんですね。全体的にアポジャトゥーラ(装飾音の一種)がちょっとあやしげなんですけど、その部分に来るともうダメって感じです。テュルクは、こっちでライブで聴く限りではすごく上手いので、その録音に限って調子が悪かったのかも知れません。今日のテナーの人はすごく上手に歌っていました。

終わりの方の曲で、チェロの技巧的なオブリガートが入るテナーのアリアがあるんですけど、通奏低音のオルガンとチェロが最後まで合わなかったです。二人とも技術がないわけじゃないのに、まるでわざと合わさなかったみたい。あれはいったい何だったんだろう。ひょっとして仲が悪い?割を食ったのはテナーさんで、ちょっと気の毒でした。でも全体としてはすごくいい演奏でした。そうそうオーボエのソリストも上手かったし。

毎月第2日曜日のこのカンタータシリーズ、来月はもう日本にいるので聴くことができません。(涙)バーゼルの人はうらやましいですね。日本でいうと、近くの○○寺で第2日曜日にカンタータやってるって乗りで、手軽にいい演奏が聴けるんですから。

ビーチサッカー

2005年06月12日 00時14分08秒 | 日記
駅裏の広場に突如ビーチサッカー場が出現しました。学校へ行くときにトラックがアスファルトの上に、えらい細かい砂をダンプしているのを見て、何かと思っていました。帰るときに見たら、フェンスで囲いを作り観客席までありました。
別にナントカ大会といったものものしいイベントはなく、やりたい人たちがが思い思いに入って楽しんでいる感じだなって思っていましたら、やっぱり屈強のお兄さんたちによる試合がありました。サッカーは全然分かりませんが、それでも見ていると結構面白いですよ。音楽を流して、実況のアナウンサーもいたりして。こっちの家は結構防音性能が高いからそれほどでもないかもしれないけど、それでも通りのすぐ向かいの家の人たちはうるさいでしょうね。
それにしてもビーチバレーというのは聞いたことがあるけど、ビーチサッカーは初めてですねぇ。(ひょっとして知らないのは私だけ?)
でもバレーならともかく、サッカーだから、砂場を走り回るわけだからめちゃくちゃ疲れるだろうなぁ。それと雨ふったらどうするんだろう。最近ずっと降ってないけど。おじさんはいらぬ心配をしてしまいます。(笑)

関税

2005年06月11日 21時28分38秒 | 日記
昨日ドイツのK社に頼んであった弦が届きました。同じ日にオーダーしたイタリアのA社のものはまだ届いていません。
K社はさすがドイツの会社だけあって、ほんとに出前迅速です。メイルを出して5日目くらいにはウチに届きます。その点、A社はイタリアにあるせいか(笑)、1週間から1ヶ月と波があります。A社からのメイルの返事は迅速なんですけどね。これって、たぶんA社のせいじゃなくて、イタリアの郵便局のせいかもしれません。実際「途中紛失」で物が届かなかったことが1回ありましたし。そのときは、A社がかぶってくれて、同じ物をもう一度出してくれました。
今回は運が悪く、関税をかけられてしまいました。(T_T)弦は今まで何回も注文しているのですが、今までA社からの送品に1回だけかけられました。いくつか抽出してかけているような感じですが、当たると痛いです。なんせ20%近い関税ですからね。関税って、国内産業に影響を与えるものや、贅沢品にかける税金じゃなかったっけ?確か、小学生のころそんな風に習ったような・・・
別に弦が贅沢品であるわけでもないし、スイスに弦メーカーがあるわけでもないし、何とかならんかな。ウェブで調べてみたら、日本は弦には関税がかからないようです。WTOの本部はなんとスイスのジュネーブだそうです。うーん、税金の仕組みはよーわからんです。