福岡伸一氏の『プリオン説は本当か?』(講談社新書)を読んだ。あまりの面白さに時間を忘れた。
この本は、狂牛病(BSE)の病原体を追求する学者たちの壮絶なドキュメントである。あるいは、未知の病原体を追うミステリーと言ってもいいかもしれない。
福岡氏は、プリオンタンパク質を病原体として認めていない。あくまでも、病原体は別にあって、プリオンタンパク質はその産物だと見ている。
つまり、プリオンタンパク質は、BSEの病原体でないという立場である。
でも、プリオンタンパク質は病原体だと主張したプルシナーはノーベル賞をもらった。ノーベル賞にもポカはある。前頭葉を切断して精神病者をおとなしくさせる「ロボトミー」もノーベル賞をもらった。でも、もはやロボトミーの副作用は誰の目にもはっきりしている。
日本の片峰グループが、マウスでBSEの感染性を追った。その結果、感染性を伝える臓器は次々と移っていくことが分かった。
まずは脾臓である。次に扁桃に感染性があることが分かった。でも、そこにはプリオンタンパク質の蓄積はなかった。
要するに、脳や脊髄を除去した牛は、ほかの部分に感染性を持っているのであり、だから全頭処分が感染防止には最適なのである。プリオンが多い部分だけを取り去っても、感染性にはなんの影響もない。アメリカ牛の輸入に脳脊髄の除去を条件にした日本の基準は科学的でない。
BSEは潜伏期間が長いから、生後22ヶ月以内なら輸入を認めるという処置も科学的でない。政治的な判断である。
オーストラリアとニュージーランドにはBSEがない。それは病原体に汚染されていない国だからである。
イギリスがもっともひど汚染地域である。次がアメリカ。アメリカの牛を輸入していると、そのうちわが国もBSE汚染地域になるだろう。
この本は、狂牛病(BSE)の病原体を追求する学者たちの壮絶なドキュメントである。あるいは、未知の病原体を追うミステリーと言ってもいいかもしれない。
福岡氏は、プリオンタンパク質を病原体として認めていない。あくまでも、病原体は別にあって、プリオンタンパク質はその産物だと見ている。
つまり、プリオンタンパク質は、BSEの病原体でないという立場である。
でも、プリオンタンパク質は病原体だと主張したプルシナーはノーベル賞をもらった。ノーベル賞にもポカはある。前頭葉を切断して精神病者をおとなしくさせる「ロボトミー」もノーベル賞をもらった。でも、もはやロボトミーの副作用は誰の目にもはっきりしている。
日本の片峰グループが、マウスでBSEの感染性を追った。その結果、感染性を伝える臓器は次々と移っていくことが分かった。
まずは脾臓である。次に扁桃に感染性があることが分かった。でも、そこにはプリオンタンパク質の蓄積はなかった。
要するに、脳や脊髄を除去した牛は、ほかの部分に感染性を持っているのであり、だから全頭処分が感染防止には最適なのである。プリオンが多い部分だけを取り去っても、感染性にはなんの影響もない。アメリカ牛の輸入に脳脊髄の除去を条件にした日本の基準は科学的でない。
BSEは潜伏期間が長いから、生後22ヶ月以内なら輸入を認めるという処置も科学的でない。政治的な判断である。
オーストラリアとニュージーランドにはBSEがない。それは病原体に汚染されていない国だからである。
イギリスがもっともひど汚染地域である。次がアメリカ。アメリカの牛を輸入していると、そのうちわが国もBSE汚染地域になるだろう。