院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

ウォール街の反格差デモ

2011-10-19 06:54:17 | Weblog
 NHKの朝の連ドラ「おしん」が放映されてから30年ほどたつだろうか?「おしん」は凄い人気で、私も一部は見た。同じ病院の先輩(故人・ご存命なら90歳以上)は、人目も憚らず、医局で泣きながら「おしん」を見ていた。そこには明治時代の極貧の小作人の生活が描かれていた。

 同じくテレビ番組で「開運・何でも鑑定団」という番組が私は好きだとはいつぞや書いた。この番組では、油絵画家の修行時代の生活を再現することがある。画家の○○は明治○○年にパリに留学をした、なぞと紹介される。

 そこで私は驚く。画家の○○がパリに留学したころには、日本の寒村では「おしん」のような生活をしていたのではなかったか?

 片や「大根飯」で片やパリ留学である。明治時代には、こんなに貧富の差があったのだ。

 いまウォール街では反格差デモが行われていて、その運動は各国に飛び火しているという。東京でも反格差デモが行われたという。

 でも、待ってほしい。明治時代の格差はこんなものではなかった。食べ物からして根本的に違っていた。今、庶民はロールスロイスには乗れなくても、それなりの車に乗っているではないか。食べ物の格差も、明治時代とは雲泥の差だ。

 だから、いまごろ反格差デモと言われてもピンとこない。なんだか身に詰まされたデモではなく、遊び半分のようにも見える。

 ウォール街のデモ参加者には、さしたるペナルティはない。アメリカはそういう国である。失業してブラブラしているよりは、デモにでも参加したほうがヤル気があると見なされるような国柄である。ウォール街のデモ参加者には失うものは、ほとんどない。

 それに引き換え、日本でデモに参加したとなると、そのような人物を採用するほど日本の企業は甘くない。まして、逮捕でもされたら、その人は一生就職できないだろう。デモに参加するリスクが、アメリカと日本では日本の方が格段に大きいのである。

 フェイスブックだかなんだか知らないけれども、日本のデモ参加者はノー天気過ぎる。ウォール街のデモに共鳴して、遊び気分でデモをやるのは日本では得策ではない。ペナルティがありうることを覚悟すべきである。