最近、シンナー嗜癖(依存症)の少年を見なくなった。20年ほど前は、不良少年は多くがシンナーを吸っていた。
これが本物の嗜癖はでなくファッションだと気付くのに、私は精神科医になってから10年かかった。そんなことは教科書に書いてなかったし、誰も教えてくれなかった。
シンナーはさほど気持ちが良いものではない。恰好をつけてシンナーを吸っているだけだったのである。 不良少年仲間は、集団でシンナーを吸って、仲間意識を暖めていた。主に中学生か高校生である。集団でシンナーを吸引するのは、まだ安全である。一人で吸うようになると危ない。
何が危ないかというと、頭からポリ袋を被ってシンナーを吸引し、窒息死する少年が結構いたからである。人前でファッションとしてシンナーを吸うより、一人で嗜癖として吸うのは、予後が悪い。でも、予後が悪い人数は圧倒的に少ない。
不良少年たちはシンナーはガキがやるものだと知っていた。だから20歳になるとピタリと止める。20歳を超えてまでシンナーを吸引している者は、ダサいと不良少年たちにバカにされた。
だから、シンナー少年が親に連れられて精神科へ来ても、次のように言えるようになった。
「20歳までには吸えといっても吸わなくなりますよ」
本当にシンナー嗜癖になってしまって、30歳を過ぎてもシンナーを止められない人が、これまで3人いた。これは、もうファッションではない。
うち一人は脳をやられて、歩行が不自由になった。このように、実際に神経系まで侵される例は極めて稀である。一般の不良少年のファッションとしてのシンナーは、普通そのうちにやめるから、シンナーを吸うと脳をやられるぞというのはウソではないが、多くはシンナー少年への脅しだったに過ぎない。
シンナーのルーツは刑務所にある。お酒やタバコがない刑務所で、受刑者がペンキのシンナーを吸ったのが始まりである。不良少年は、それとは知らず、マネをしていたのである。酒もタバコも手に入るシャバで、わざわざ、おいしくないシンナーを吸っていたのは、それが彼らのファッションだったからに他ならない。
これが本物の嗜癖はでなくファッションだと気付くのに、私は精神科医になってから10年かかった。そんなことは教科書に書いてなかったし、誰も教えてくれなかった。
シンナーはさほど気持ちが良いものではない。恰好をつけてシンナーを吸っているだけだったのである。 不良少年仲間は、集団でシンナーを吸って、仲間意識を暖めていた。主に中学生か高校生である。集団でシンナーを吸引するのは、まだ安全である。一人で吸うようになると危ない。
何が危ないかというと、頭からポリ袋を被ってシンナーを吸引し、窒息死する少年が結構いたからである。人前でファッションとしてシンナーを吸うより、一人で嗜癖として吸うのは、予後が悪い。でも、予後が悪い人数は圧倒的に少ない。
不良少年たちはシンナーはガキがやるものだと知っていた。だから20歳になるとピタリと止める。20歳を超えてまでシンナーを吸引している者は、ダサいと不良少年たちにバカにされた。
だから、シンナー少年が親に連れられて精神科へ来ても、次のように言えるようになった。
「20歳までには吸えといっても吸わなくなりますよ」
本当にシンナー嗜癖になってしまって、30歳を過ぎてもシンナーを止められない人が、これまで3人いた。これは、もうファッションではない。
うち一人は脳をやられて、歩行が不自由になった。このように、実際に神経系まで侵される例は極めて稀である。一般の不良少年のファッションとしてのシンナーは、普通そのうちにやめるから、シンナーを吸うと脳をやられるぞというのはウソではないが、多くはシンナー少年への脅しだったに過ぎない。
シンナーのルーツは刑務所にある。お酒やタバコがない刑務所で、受刑者がペンキのシンナーを吸ったのが始まりである。不良少年は、それとは知らず、マネをしていたのである。酒もタバコも手に入るシャバで、わざわざ、おいしくないシンナーを吸っていたのは、それが彼らのファッションだったからに他ならない。