院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

人為と天然

2012-07-07 17:44:17 | 心理
 たとえば道を歩いていて、土砂崩れがあり、回り道をせざるを得なくなった場合、人はしぶしぶ回り道をするが、怒りはしない。

 一方、土砂崩れではなく、人為的に誰かがバリケードを張って通れなくしているとしたら、人は猛烈に腹を立てるだろう。

 相手が自然現象なら腹を立てない、人為だと腹を立てる。まったく同じ労力を要求されるだけなのに、天然に対してと人為に対してでは、人間の情緒に与える影響はまった違う。

 これは、なぜだろうか?

 子どもに死なれた親の場合、子どもが雷に打たれて死んだのと、交通事故で死んだのとでは、恨みの強さが違う。

 法律もそのように出来ている。殺意があったか、なかったかが、量刑の違いの大切なポイントとなる。

 まったく同じ現象であっても、恨みは天然にはあまり向けられず、人為に向けられる。この違いは、当然のこととして、あまり考察の対象とはならないけれども、実は大難問なのである。

 「恨み」「怒り」に対する研究が、もっと行なわれてもよい。

術後の放屁

2012-07-07 00:00:50 | 医療
 高校生のころ、虫垂炎の手術を受けた。麻酔は腰椎麻酔というもので、下半身だけ麻痺させるものである。

 手術の翌日、看護婦さんから「ガスは出ますか?」と訊かれた。あんまり何度も訊かれるので、私は「いったい、どのくらい出ればよいのですか?」と看護婦さんに問うた。

 看護婦さんは、恥ずかしげに「いつもと同じくらい」と答えた。

 看護婦さんが放屁を問うのにはワケがある。つまり、麻酔で腸が麻痺したままだとガスは出ないのだ。ガスが出ないと、腸閉塞になって危険なことがある。

 高校生の私には、看護婦さんが「おなら」のことばかり訊ねるのを奇異に感じたが、実は以上のような次第があるとは、医者になってから知った。