院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

モダン・ジャズがオールド・ジャズだって?

2012-09-05 05:38:13 | 音楽
 おおざっぱに言うと、ジャズは1910年代にニューオーリンズジャズに始まり、次いでダンス音楽であるスイングジャズに発展した。ダンス音楽を、単体で聴く純粋音楽に高めたのがグレン・ミラーである。

 1940年代からからは難解と言われたバップと呼ばれる即興ジャズが始まり、1960年代に天才チャーリー・パーカーによって完成されたのがモダン・ジャズである。

 モダン・ジャズは、西欧クラシックとは違う音階や和声法を用いて、クラシックとはまったく異なる音楽世界を築いた。

 少年だった私は、モダン・ジャズをこよなく愛した。ピアノならウイントン・ケリーやレッド・ガーランド。彼らの即興の演奏の美しさは今でも色あせていない。

 サキソホンならソニー・ロリンズ、ジョン・コルトレーン。トランペットならマイルス・デビスである。彼らの音楽は鳥肌が立つほどに美しい。

 1960年代のモダン・ジャズが美しい音楽であることの証拠は、現在、飲食店のBGMに盛んに使用されていることだ。酒場に行ったらBGMに注意して欲しい。たいていモダン・ジャズが流れている。中華料理店でもそうだ。

 60年代のモダン・ジャズは、BGMに使用してもうるさくないのである。

 先日、アメリカの放送を聴く機会があった。60年代のモダン・ジャズがかかっているなと思って、じっくり聴いていたら、米人のアナウンサーがなんとオールド・ジャズと紹介していた。

 確かにオールドかもしれない。現在、六本木あたりのジャズクラブに行くと、生演奏しているのはみな若者で、彼らは60年代のモダン・ジャズをコピーして演奏している。

 60年代も後半から70年代になると、ジャズ・ロックとかフュージョンなどが出てきた。だが、それらはすたれてしまって、やはり60年代のモダン・ジャズが生き残っている。モダン・ジャズは古典(クラシック)になったのだ。

 だから、それらをアナウンサーがオールド・ジャズと呼んでも、奇異に感じる必要はないのかもしれない。