(マンハッタン生命保険ビル。ウィキペディアより引用。)
ひとくちに生命保険の外交員というが、新規顧客を取るにはもの凄い技術と知識が要るのだそうだ。
大正生まれの亡父から聞いたことだが、生命保険会社は新しく採用した外交員(ほとんどが女性)の手腕にぜんぜん期待していないという。つまり、新規採用の外交員はまず親類縁者に保険を売る。多くの新規採用者はそれ以上の顧客を開拓できないから、やがて辞める。会社としては、保険契約だけは残るからそれで十分なのだそうである。これは「縁故販売」だけを狙った狡猾な採用法である。
さいきん流行りの「ブラック企業」 (2013-08-21) は、大量採用して大量退職するから、就活に際してはそのような会社に気をつけろと言われる。大量に採用してシゴいて、生き残った者だけを出世させるシステムである。(これは見ようによっては、適性試験の一種だとも言える。)
しかし、大量採用大量退職の会社の中には、上の生命保険会社のように、縁故販売だけやってくれれば辞めてくれてもよい、という会社が混じっているのではないか?
(むかし、生命保険の外交員には客と枕を共にして契約を取った者もいたという。故山本夏彦翁は生命保険会社の豪壮な本社ビルを指して、「婦女に紅涙を絞らせて建てた!」と切り捨てた。)
※今日、気にとまった短歌
今日あった楽しいことを語り合う布団の中で脚絡(から)ませて (柏市)倉本恵理