柱時計の振り子の様に左右に振れるというムーブメントだが、全然動かないということで、おもちゃでは無いが、面白そうなので修理を引き受けることにした。
電池は006P(9V)を使用している。
確かに、手で左右に揺らしてみても段々と振幅が弱まり止まってしまう。
分解(底蓋が接着)してみると、コイルの1本だ断線しており、これだろうと接続したが、やはり動作しない。
試しに電圧を30V以上に上げてやると動作する様だ。
中の仕組みは電磁石とそれにトランジスタらしいものが接続されている。
当初、データーシートが見つからなかったのでホールICかも知れないと思ったが吉本先生が探し出してNPNの高hfeトランジスタの様だ。
ネットで検索するとリードスイッチでON/OFFする方法が載っており実験してみたが、思う様に動作しない。
原点に返って回路図を書いて見る。
2巻線が有り、検出用コイルと電磁石用らしい。
エミッタ側で電磁石駆動しているのは初めて見た。
コイルの向きだが、リード線の出ている側を振り子側(上側)にしたら電圧が9Vでも動作する様になった。
その後、トランジスタを変えてみたが、動作可能電圧をあまり低く出来ない。
そこで、現状と同様、高hfeトランジスタ(2SC3112)が有ったので、これに交換したら7V程度まで動作した。
巻線は非常に細く、これに直接部品を接続するのは無理(現物は巻線ボビンのツバにトランジスタリード差し込みの穴があるが熱に弱い)なので変換基板をツバ部分に接着して中継することにした。
また、一時的にリード線を伸ばして外部回路を色々簡単に変更出来る様にした。
ケース内部にリング状の凸が約1mmほどあるので、出来るだけ振り子に近づける為に除去した。
振り子も支柱に対しねじ式で回すことで、上下に微調整が出来るので、安定に動作し続ける位置に調整する。
波形を観測してみるが、ベース、エミッタ共に、電磁石断続信号の間に約600Hzの信号が出ている。これがなんの動作に関係しているのか不明なところではある。(依頼時にも、この波形は観測されていた)
結果的には、断線が大元の原因だったが、その他、動作しなかったのは振り子内にある永久磁石の磁力低下が考えられるかもしれない。
【7/21ドラマに】
NHKのドラマ10「美女と男子」のバックに、ピントは合っていなかったが、このムーブメントと同一品らしいのが動いていた。映像によると、かなりの勢い(±60°位)で左右に揺れていたので、今回の修理では、まだ本調子では無さそうだった。
また、今回から登場した秋田出身(私も)という「田中幸子」ちゃんが私の姉の旧姓と同じというのも偶然だった。
秋田弁がうまいなと思いながら検索すると、実は沖縄県出身の俳優さんだった。さすが役者である。