大田区議会議員 奈須りえ  フェアな民主主義を大田区から!

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未だに東京都の内部団体、都との信頼という秘密主義がまねく大田(23)区民の悲劇

2018年08月09日 | 都区制度・大阪都構想

他自治体の議員や首長さん、職員にお会いすると、23区は良いですねえ、と言われます。財政が豊か、だという意味です。
「東京23区」は、日本で一番のお金持ち自治体と位置付けられているんですね。

ところが実際には、保育園に入れなかったり、特別養護老人ホームに入れなかったりしていて、待機児、待機者の数は、日本で一番多いのです。

お金持ち自治体の「財源」が、区民のために使われていないということです。

しかも、「東京23区」は、という言い方も少し変ですよね。23区の中には、港区や千代田区のようなお金持ち自治体もあれば、そうでない自治体もあります。23区と一口に言っても財政状況は大きく違うのにひとくくりされることも少なくありません。

こうした状況で一番の不利益を被っているのが、23区の住民自身です


 

23区がお金持ちと言われる基礎自治体の主な財源は、
・固定資産税・・・土地が高いですからね。
・法人住民税・・・大企業の本社がたくさんありますね。
・特別区民税・・・人口が多いですからね。

ところが、上の二つ、法人住民税と固定資産税が、東京都の財源になっているのはご存知ですか?

いったん、東京都が徴税したら、それを23区に分配しているのです。
しかも、全額ではなく、55%を。

残りの45%は東京都が使っています。

こんな風に、55%は23区各区に分配されています。

平成29年度

東京23区が不交付団体なのは、都区合算。東京都が持っていく45%分も、23区の財源として算定しているからなんです。実際には、東京都が使っているのに、、、、。

しかも、東京都は、この45%を上下水道、消防、児童相談所、などに使っていると言っていますが、いったい23区分としていくら使っているかは「秘密」明らかにされていません。


児童相談所が足りなくて問題になっていますが、児童相談所費用は、23区から東京都がすいあげる8000億円で東京都がおこなうべき事業です。

東京都は、23区から吸い上げる都市計画税含めれば1兆円の財源を23区民のためにつかっているんでしょうか。


23区にすれば、明細の無い請求には支払えない!ということなのですが、意外とこの問題は明らかになっていません。

なぜなんだろう、と思っていたら、東京都と23区の関係を表している象徴的なことがわかりました。
それが、特別交付金です。

東京都は、23区の固定資産税、法人住民税の55%を分配することになっていますが、55%のうちの5%を特別交付金と言って、災害などのために使う財源として確保しています。
ところが、この財源が必ずしも災害に使われていないようなのです。

実際に、23区が東京都に要求し、それにたいして、東京都が各区に交付するのですが、内訳を情報公開請求したところ、信頼を損ねるから、と非公開になりました。

どうもこれは、23区の不文律のようで、23区(大田区)は、東京都の信頼のために、区民に秘密を作っているという不思議な現象が起きているのです。

地方分権で、国と地方自治体は対等平等な関係になったはずなのですが、東京都と23区には、厳然たる上下関係があるように思えて仕方ありません。いまだに23区は東京都とは対等な関係になく、内部団体としての位置づけであると言わざるを得ません。財政構造がそうさせているのです。

しかも、この特別交付金は、不交付になっている自治体にも交付されています。

平成29年度でいえば、下図のように、港区は不交付団体のはずですが、特別交付金は結構もらっている。

 

 

問題は、55%のうちの5%ですから、全体の3%の近い財源が、本来の災害対策でない、優先度の低い課題のために使われる可能性を持っているのが、この特別交付金だということなのです。

 

23区民は保育園も特別養護老人ホームも足りません。これは、23区の税金の使い方の優先順位に問題が無いとは言えません。(奈須りえは大田区の税金の使い方の優先順位に問題があると指摘し続けています)しかし、それだけでなく、東京都が23区に必要な財源を交付せず45%多く取りすぎていないか、という問題意識と共に、この特別交付金のような、東京都のある意味胸先三寸で決まってしまうような財源を作ることが、本来優先順位の高い課題(福祉=社会保障)財源を削ることになっているとみています。

23区に交付すべき財源は普通交付金で算定されるようになるため、23区は、特別交付金として請求する費目が、他区も請求したことのない、新しい課題になりがちなようです。

福祉という誰もが必要な根源的課題の財源は「災害対策など」という名目で請求できないこの総額で500億円にのぼる「特別交付金」は、 23区民の生活課題を解決できる仕組みとして適正でしょうか。

災害対策として十分にその役割を果たすなら、災害の無い年、あってもその被害が小さな年は、翌年に繰り越す(場合によっては上限を決めて)という考え方もあると思いますが、毎年東京都は、全額23区に交付する、つまり使い切るそうです。

確かに、東京23区には莫大な財源があります。その財源は、過密な東京、地縁も血縁も薄い東京で働く働く、多くの住民があってはじめて生み出されるものです。

ところが、それが、住民福祉のために使われているかと言えば、そこには大きな疑問が残ります。

過密な東京、莫大な財源を生み出しながら、地縁も血縁も薄い都市ゆえに抱える子育て、介護、医療、住宅、教育、など多くの課題を個人の問題として押し付けられています。

東京都に財源の集中をゆるす都区財政調整制度、その中の一つの特別交付金、ここの課題を解決することが、東京都民の住民福祉の向上には欠かせないと思います。

信頼という言葉で、東京都の意向をうかがい、問題を表面化させない、23区の姿勢も問われていると思います。

 


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