あらためて、羽田空港増便に伴う飛行ルート変更の問題について、都知事選も近いので、東京都の果たしてきた役割にもふれながら、お話ししました。
羽田空港沖合移転事業は、住民と地方議会と大田区という基礎自治体の声に、美濃部都知事の時代の東京都が動かされる形で、国との仲立ちをして大きく動きました。
今回の羽田空港飛行ルート変更では、国の示す、安全や環境対策の実効力に疑問を持つ自治体もありながら、明確に声をあげることができなかった首長さんたちに、憤りを覚えます。
しかし、関係区と川崎市は、明確な反対を言えなかったのは、東京都に、財政的にも、東京圏という国家戦略特区の意思決定の在り方でも、大きく依存せざるを得なくなっていたという側面もあったのではないかと推測しています。
コロナで、自治権限を大きくしようと言う動きがありますが、国家戦略特区で、内閣総理大臣とグローバル資本利益の代弁者ともいえる有識者などが強大な権限を持っているため、実は、中央主権がますます顕著になっています。
そうした中、都道府県知事の権限を大きくすることは、それでも、住民の声に寄り添おうとしている区市町村(基礎自治体自治体)の声を国に代わって都道府県が抑え込むことにもなりかねません。
地方自治が、今より侵害されるのではないかと危惧しています。
20200514 UPLAN
奈須りえ「誰のための低空飛行か~羽田離発着旅客機の都心低空飛行問題と東京都政」