1 前編
真夏の「お祭り」としてすっかり定着しているのが、音楽の野外フェスティバル。
ジャズからポップスまで色んな音楽ジャンルが、各地の様々な夏のスキー場や湖
畔、城址の緑地帯に特設ステージを設けて、音楽を自然の風の中で開放する。
米国で、ヒッピー文化が社会現象になった60年代中心に音楽で存在をアピール
する一大イベントとして野外フェスが開催され、69年夏にはアメリカ東部(ニューヨ
ーク州)のウッドストック(会場は農場の広大な緑地帯)にヒッピーといわれる若者
数十万人を集めて、そこでジミー・ヘンドリックス(G)、サンタナ(G)、ジャニス・ジョ
ップリン(V)、ザ・バンド、ジェファーソン・エアプレインなどの興味深い、名だたるミュ
ージシャンがオールナイトで野外コンサートをおこなったのが、印象深いものだった。
古くは、50年代からアメリカ東海岸のロードアイランド州で、ジャズ、フュージョン
のニューポートジャズフェス、西海岸ではモンタレージャズフェスが開催されて、マイ
ルス・デイビス(Tp)、チック・コリア(Pf)、セロニアス・モンク(Pf)、ルイ・アームストロン
グ(Tp)など実力派ジャズミュージシャン、そしてフォークロックのボブ・ディランも登場
している。
注:(G)ギター (V)ボーカル (Tp)トランペット (Pf)ピアノ(ピアノフォルテ)
日本では、吉田拓郎が75年8月に静岡県つま恋の多目的広場で野外コンサート
をひらき、79年7月には愛知県篠島を借り切ってオールナイトで島での野外コン
サートを開催している(その後、吉田拓郎は06年に31年振りにつま恋で野外コン
サートをおこなった。)。
2 チューリップ編
本格的な高原での大規模な野外コンサートといえば、78年7月のチューリップ
の岐阜県鈴蘭高原での野外コンサート(ライヴ・アクト・チューリップ)だ。
貸切り電車、バスを使って全国から観客が集まり、野外での音響、照明効果の
ステージングにあたらしいシステムをひらいた。
80年7月には、同じ鈴蘭高原で2回目の野外コンサートをチューリップは開催
した。この時は、コンサート開始前から高原が豪雨に見舞われ、伝説の「雨の鈴
蘭」として語り継がれている。
後年、財津和夫さんは、この時のことを「豪雨で音にならない。ドラムはびしょ
濡れ、声は豪雨でかき消され、マイクは触れるとピッと電気が走る。しかし、びし
ょ濡れの観客がコンサートの開始を求める。
音にならないコンサートが、しかし、今まででひょとしたら一番盛り上がったコ
ンサートだったかもしれないんです。観客のみなさんが、僕たちをものすごく盛り
上げてくれるんです。
この時思いました。今まで、コンサートとは、楽器も演奏もきちっと弾いて、い
い声で、いい歌を聞かせる。聞いてくれ。
そう思っていたけれど、コンサートの本質はとはそういうものじゃないんじゃな
いか。音なんかどうでも、ミュージシャンと観客が、ただ向かい合って、伝わって
くるものがあれば、それがコンサートなんじゃないか。そう、教えられたコンサー
トだった。」
ライブに絶対的な自信とスキルをもつチューリップはその後、82年8月に多摩
のよみうりランドを1日借り切っての野外コンサート、イベントを開催し、84年
8月に箱根芦ノ湖畔の丘陵の芝生広場で1日限りのパゴダ(仏搭)を建てて、野
外コンサートを開催し、その後の音楽界の大規模な野外コンサート、フェスティバ
ルへ、ステージング、音響、照明効果の向上とあわせてサウンド・ロードをひらい
ていった。
今年も全国各地で真夏の野外フェスティバルが開催される。聞くというより、参
加するコンサートの夏の風の中に、今のサウンド・エネルギーに触れてください。
その風の中に、50年代、60年代のアメリカからも吹いてきた風を感じたら、
みなさんはしあわせだ。
3 夏の夜のおまけ
財津和夫さんは、今年61歳で、今、暑い夏に、あたらしいソロアルバムの製作
に取り掛かっている。今回のアルバムでは、いつもの自作曲のほか、他人の作詞、
作曲の歌も手がける。ホームパーティーのような、というのがアルバムのコンセプ
トのようで、どのように財津サウンドにアレンジしてしまうのか。
時代と音楽をきりひらいてきた財津和夫さんの、音楽を人生に賭けたフロンティア
な生き方は、すこしも、今も変わらない。
真夏の「お祭り」としてすっかり定着しているのが、音楽の野外フェスティバル。
ジャズからポップスまで色んな音楽ジャンルが、各地の様々な夏のスキー場や湖
畔、城址の緑地帯に特設ステージを設けて、音楽を自然の風の中で開放する。
米国で、ヒッピー文化が社会現象になった60年代中心に音楽で存在をアピール
する一大イベントとして野外フェスが開催され、69年夏にはアメリカ東部(ニューヨ
ーク州)のウッドストック(会場は農場の広大な緑地帯)にヒッピーといわれる若者
数十万人を集めて、そこでジミー・ヘンドリックス(G)、サンタナ(G)、ジャニス・ジョ
ップリン(V)、ザ・バンド、ジェファーソン・エアプレインなどの興味深い、名だたるミュ
ージシャンがオールナイトで野外コンサートをおこなったのが、印象深いものだった。
古くは、50年代からアメリカ東海岸のロードアイランド州で、ジャズ、フュージョン
のニューポートジャズフェス、西海岸ではモンタレージャズフェスが開催されて、マイ
ルス・デイビス(Tp)、チック・コリア(Pf)、セロニアス・モンク(Pf)、ルイ・アームストロン
グ(Tp)など実力派ジャズミュージシャン、そしてフォークロックのボブ・ディランも登場
している。
注:(G)ギター (V)ボーカル (Tp)トランペット (Pf)ピアノ(ピアノフォルテ)
日本では、吉田拓郎が75年8月に静岡県つま恋の多目的広場で野外コンサート
をひらき、79年7月には愛知県篠島を借り切ってオールナイトで島での野外コン
サートを開催している(その後、吉田拓郎は06年に31年振りにつま恋で野外コン
サートをおこなった。)。
2 チューリップ編
本格的な高原での大規模な野外コンサートといえば、78年7月のチューリップ
の岐阜県鈴蘭高原での野外コンサート(ライヴ・アクト・チューリップ)だ。
貸切り電車、バスを使って全国から観客が集まり、野外での音響、照明効果の
ステージングにあたらしいシステムをひらいた。
80年7月には、同じ鈴蘭高原で2回目の野外コンサートをチューリップは開催
した。この時は、コンサート開始前から高原が豪雨に見舞われ、伝説の「雨の鈴
蘭」として語り継がれている。
後年、財津和夫さんは、この時のことを「豪雨で音にならない。ドラムはびしょ
濡れ、声は豪雨でかき消され、マイクは触れるとピッと電気が走る。しかし、びし
ょ濡れの観客がコンサートの開始を求める。
音にならないコンサートが、しかし、今まででひょとしたら一番盛り上がったコ
ンサートだったかもしれないんです。観客のみなさんが、僕たちをものすごく盛り
上げてくれるんです。
この時思いました。今まで、コンサートとは、楽器も演奏もきちっと弾いて、い
い声で、いい歌を聞かせる。聞いてくれ。
そう思っていたけれど、コンサートの本質はとはそういうものじゃないんじゃな
いか。音なんかどうでも、ミュージシャンと観客が、ただ向かい合って、伝わって
くるものがあれば、それがコンサートなんじゃないか。そう、教えられたコンサー
トだった。」
ライブに絶対的な自信とスキルをもつチューリップはその後、82年8月に多摩
のよみうりランドを1日借り切っての野外コンサート、イベントを開催し、84年
8月に箱根芦ノ湖畔の丘陵の芝生広場で1日限りのパゴダ(仏搭)を建てて、野
外コンサートを開催し、その後の音楽界の大規模な野外コンサート、フェスティバ
ルへ、ステージング、音響、照明効果の向上とあわせてサウンド・ロードをひらい
ていった。
今年も全国各地で真夏の野外フェスティバルが開催される。聞くというより、参
加するコンサートの夏の風の中に、今のサウンド・エネルギーに触れてください。
その風の中に、50年代、60年代のアメリカからも吹いてきた風を感じたら、
みなさんはしあわせだ。
3 夏の夜のおまけ
財津和夫さんは、今年61歳で、今、暑い夏に、あたらしいソロアルバムの製作
に取り掛かっている。今回のアルバムでは、いつもの自作曲のほか、他人の作詞、
作曲の歌も手がける。ホームパーティーのような、というのがアルバムのコンセプ
トのようで、どのように財津サウンドにアレンジしてしまうのか。
時代と音楽をきりひらいてきた財津和夫さんの、音楽を人生に賭けたフロンティア
な生き方は、すこしも、今も変わらない。