いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

反テロ国際協力の限界。 limitation of international co-operation against the anti terrorism

2015-02-02 19:29:50 | 日記
 (1)イスラム国(IS)に人質として拘束されていたフリージャーナリスト後藤健二さんが昨日殺害される映像が流された。これまでと違って二転、三転したIS要求も、ヨルダンとISの思惑のくい違いが最後まで交差することなくヨルダンも態度を硬化(報道)させて、日本人人質の扱いがひとり取り残されて宙に浮いた形となって最悪の結末を迎えた。

 日本政府は多分、トルコ、ヨルダンなど周辺関係国と連絡を密にして日本人人質の解放に向けて協力要請をしてきたと思われるが、「結果」として反テロ国際協力(international co-operation against the anti terrorism)は実を結ばなかった。

 (2)残虐非道の国際テロに対しては国際的反テロ協力体制の構築が必要だと言われながら、なかなか掛け声通りには向かわずにそうはならずに今回もISの思うがままの結末を迎えてしまった。

 結局はそれぞれの国が自国内への国際テロメンバーの入国阻止管理と国内テロ活動を監視し抑止して、国外の自国民の安全確保と危険地域への立ち入りを制限、抑止する反テロ活動を実行して国際テロ組織を追い詰めていくしかない。

 (3)米国は反テロ有志国連合を唱えてシリア、イラクのIS支配地域への空爆攻撃を仕掛けているが、今回の日本人人質事件のように単独の国を標的としたテロ活動に対しては有効な手段とはならずに結果としてISに言うがままの残虐非道の行動を止めることはできなかった。

 日本としては残虐非道のテロ活動に恐れて負けるわけにはいかない。ISなど国際テロ組織に立ち向かう中東諸国に対する人道支援を続けてIS包囲網を確固たるものにしてテロを撲滅するために尽力するべきだ。

 (4)米国はホメイニ・イランとの確執から始まって、イラク、アフガン、シリアとの軍事的な中東干渉政策を進めて今日の内政「混乱」状態を招いているのだから、テロの温床となった中東地域での反テロの先頭に立って志を同じにする国際社会の協力体制とそれを実効性のあるものに機能させていく責任と責務がある。

 自国民が被害にあっていないからと仮に様子見することがあっては米国が主導する反テロ有志国連合の意味と意義はなく、国際テロ組織に結束力の足元を見られることにもなる。

 (5)結局、今回のISによる日本人人質事件ではいくら良好な関係にある国同士であっても、最後は自国の事情、国益(national profits)に協力関係は制約されることを身に持って感じることができた。

 日本としてもそうした協力関係国に反テロ人道的支援をするとともに、日本として国際テロ組織に対峙する、備える危機管理(crisis management)体制が必要なことも痛感させられた。
 ISはこれまでの国際テロ組織とは異質なアブノーマルな集団であることもわかった。ISとこれまで人質解放で実績のあったトルコとの今回の反テロ協力関係もどうだったのか表向きは見えてこなくて、結果として成果とはならなかった。

 (6)日本は中東紛争に対しては米国側につく国ではあるが、直接軍事的行動で協力する関係にはなく、米国と対峙する中東諸国とも石油輸入事業で独自の友好関係にある国も多い。

 そういう国際的立場を活用して周辺国との協力関係に頼るだけでない独自のルート、立場から直接国際テロ組織と交渉できるルート、ツールを模索して、日本独自でも解決に向けて取り組める体制づくりが必要だ。

 (7)国際テロ対策の協力関係は表立って公開されることのないシークレットであるだけに、米国が主導する反テロ有志国の国際協力体制がどこまで機能したのかは不明で、結局はそれぞれが自国の事情、国益を優先する国際協力関係の限界(limitation)を思い知らされたのだ。
 

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする