いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

戦場ジャーナリズム。 journalism in a battlefield

2015-02-10 19:35:54 | 日記
 (1)イスラム国(IS)による日本人人質殺害事件が起きたあと、シリアに渡航(voyage)しようとして日本人フリーカメラマンが外務省から旅券(passport)の返納命令を受けシリアへの渡航が不可能となった。

 政府はISが今後も日本人を標的に殺害すると威かくしており、シリアの一部はISの勢力支配地域でありこれまでも渡航延期、退避勧告を出しており、今回は事件を受けて規定(旅券法)にもとづき旅券返納命令でシリアへの渡航を禁止した。

 (2)今回ISに人質のうえ殺害された日本人フリージャーナリストの後藤健二さんは、これまで戦場取材で戦闘地域に入って難民、子ども、市民の惨状を伝えてきた職業人だ。
 今回のシリア渡航に際しても、事前の映像メッセージで「これは私自身の問題であり、日本は私のために何もしないでほしい。何が起きてもシリアの人を憎まないでほしい」(趣旨発言)と覚悟の決意を残していた。

 その後の経過は、しかし日本、ヨルダンをはじめ国際社会を巻き込んでの1週間にも及ぶ情報戦、神経戦の末にISによって殺害されるという結末を迎えている。

 (3)最初はISによる2億ドルの身代金要求に始まり、ヨルダンに収監された国際テロ死刑囚との人質交換へと目的が変わって、これにヨルダンはISに拘束された自国のパイロットとの交換を求めて複雑に二転、三転して、後藤さん自身がISのスポークスマンに仕立てられてISの意向を伝えさせられるなど決して「私自身の問題」にとどまらなかった。

 (4)戦場の事情、現状、惨状は誰かが取材しなければ事実は国際社会には伝わらずに、非人道的非道、暴挙がエスカレートしていつでも誰もが止めることなど不可能なこの世とは思えない伏魔殿となることは容易に想像がつく。

 戦場ジャーナリスト、カメラマンの職務、職責の意義は危険との隣り合わせであっても貴重で大きい国際的、社会的影響性を持つものだ。
 かってはハンガリーの戦場報道カメラマンのロバート・キャパさんの戦士が銃弾にたおれる瞬間の写真やベトナム戦争での爆撃に焼け払われて裸のまま道路を逃げまどう幼い少女の映像写真は戦争の残虐性、おろかさを如実に世界に発信したものだ。

 (5)戦場、危険地域へのジャーナリストの渡航を事前に政府、政治が検閲し阻止するとなると、報道の使命、自由、移動(渡航)の自由を意図的に規制、束縛する(するこができる)ものであり、また戦争の実態、実情がわからずにこれまでもジャーナリストが危険を冒(おか)してまで伝えてきた映像メッセージの非人道的な非道な行為が伏魔殿の中で残虐エスカレートすることを見過ごすことにもつながるものだ。

 (6)ジャーナリズム(journalism in a battlefield)も戦場、危険地域での取材方法、規律、安全について自主的に自らが安全対策、協定、協力体制(軍に帯同)、取材パラダイム(paradigm)を構築して、政府のあらぬ干渉、規制を及ぼさない取材対策が必要だ。

 キャパにしろ後藤さんにしろ他の多くの戦場ジャーナリストは多分にその行動は自ら命を懸けても戦争の悲惨、残虐、おろかさ、実情、実態を伝える責任感、使命感に裏打ちされている。使命、責務に懸けて戦場で亡くなるジャーナリストも少なくない。

 (6)単に政府の干渉、規制だけでない、政府と取材側の話し合い、協議、解決が必要だ。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする