いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

防衛省改革。 innovation of the ministry of defense

2015-02-27 19:40:24 | 日記
 (1)集団的自衛権の行使範囲を「国益」保護の名目のために事実上制限なく広げようという目論みが与党協議の中だけで進められている中で、今度は防衛省内の機構、機能改革(innovation of the ministry of defense)だ。

 日本の安全保障を維持する自衛隊は文民統制(civilian control)で選挙で選ばれた政治家が首相指名で就任する防衛相が防衛省責任者として自衛隊の安全保障業務を統括する。
 
 (2)防衛省内機構も防衛官僚(背広組)が自衛官(制服組)を監督して文民統制を機能させてきた。かって作家三島由紀夫が自らの防衛理念、哲学にもとづいて、憲法が否定する自衛隊の役割矛盾に反発してクーデターの決起を促したように、自衛隊が自らの意思で勝手に軍事行動を起こさないための歯止め(監督権限)としての文民統制に国民の理解、安心があった。

 (3)何かと憲法理念を拡大解釈して同盟国米国追随の軍事協力を進める安倍政権は自衛隊の海外派遣、活動範囲を拡げて、防衛省内機構、機能改革として防衛相を補佐する体制を政策面で補佐する防衛官僚(背広組)と「軍事面」で補佐する自衛官(制服組)の同列二本立ての対等(equality)関係と位置付ける防衛省設置法の改正(報道)をはかる方針を固めた。

 (4)政治家の防衛相による文民統制は変わらないが、実務を統括する防衛省内は防衛官僚、自衛官が対等に権限分担(政策と軍事)して、自衛隊の本来の役割、使命としての軍事的側面について自衛官が権限を持つことで実質上文民統制が行き渡らない軍事偏向機構体制になった。

 防衛官僚の自衛官監督体制は残るとはいうものの、軍事面での自衛官の権限、判断、進言がこれまでの防衛官僚監督と「対等」関係になり、影響力が格段に大きくなるということだ。

 (5)安倍首相の国を守る国民の安全と生命を守るという見せかけのいい理由での軍事面の強化方針に沿った防衛省改革で、集団的自衛権の行使を政府、与党の意向にもとづいてスムーズに行えるための際限のない「変更」だ。

 集団的自衛権の行使については与党内にも「歯止め(brake)」論の必要性が言われて、せめてその防衛省の機構、機能の「文民統制」のあることが安心であったが、それも防衛官僚、自衛官の権限分担でしかも軍事面は自衛官が防衛相を補佐するとなると、実質上自衛隊の統制は自衛官の手に委ねられたという「軍隊」機構、機能が前面に出たこれまでの文民統制とは異質のものだ。

 (6)防衛相は政治家が就任するものではあるが現在の中谷防衛相は元自衛隊出身者であり(報道)、今は政治家として国民の審判を受けたといえこういうケースが常態となれば実質上自衛隊は同所属者による軍事専門主導の軍隊となって文民統制の「歯止め」が利かない組織となる危惧はある。

 軍事的都合により自衛隊が「ひとり歩き」する危険が限りなく高まるということだ。安倍政権は来年には憲法改正を目指して準備を進め将来的には自衛隊を国防軍にあらためる意向であり、このための周辺整備を進めて既成事実化するものだ。

 (7)安倍首相が憲法改正でどこまで切り込むのか、国民がどこまで許容(国民投票)するのかの大問題はあるが、現行下では平和憲法の理念、趣旨に反し平和国家日本のあるべき方向性に逆行する改革だ。

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