いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

統計の信用性。 credibility of statistics

2019-02-08 19:59:41 | 日記
 (1)厚労省の毎月勤労統計で今問題となっているのが、大規模事業所全調査のところ少なくとも04年から一部抽出事業所に勝手に変えて統計調査をしていたことにより実質賃金データに誤差が出ていることだ。

 これは景気判断でのGDPの伸び率や国民の雇用保険、労災保険などの給付額に影響して、景気拡大、過少給付問題を引き起こしているから大きな問題となっている。

 (2)これを受けて「統計」(statistics)は国の政治、経済の根幹をなすもので重要なものだとの認識が広がっている。そのとおりで人口調査も含めて国、国民、経済、社会構成、構造が不正、いいかげんなものであれば、財政、金融、労働、社会保障、医療など国民生活にかかわり何が適切で有効、効果、必要であるのか、国の未来展望、国家像を見誤り混乱を招くことになる統計の正確性の必要性だ。

 しかし一方で「統計」が国の根幹をなすものだとしても、すべてが正確無比のデータに基づいて実体運営されているのかといえばもちろんそんなことはない。

 (3)今問題となっている勤労統計不正により実質賃金の伸び率が6か月マイナス(政府)だったのか9か月マイナス(野党試算)なのかの問題が国民給付額にかかわる意味のないこととは思わないが、前述したように将来の実体国家像把握として解明されなければならない問題ではある。

 かといって国の政治ではすべてが合理的に行われているかといえば、消費税はすべての国民消費者から徴収するが年収一定収入以下の事業所には消費税収入分を納税しなくてもいい(免除)ことになっており、支払った(徴収された)国民消費者からすればその分は返還してほしい不公平、不合理性が残る。
 そこで政府は消費税10%引き上げに際して還元財源としてこれまでの消費税納税免除事業所に徴収を課すことも検討している。

 (4)事業収入調査でも、飲食業界では購入した商品と使用した(提供した)商品が合致することを確認することがむずかしい事情もあり、消費したことにして差額を自己利益にする手法も聞く話で、大規模収入事業所対象に仕入れと消費額の照合で脱税が発覚するということはあるがすべての事業所を対象に調査などできずに不公平性、不合理性はある。

 実体統計は求められるところではあるが、すべてがそうできるというわけでもない。

 (5)今問題となっている毎月勤労統計も大規模事業所だけが全調査対象なのかわかからずに(多分企業全体の数パーセントで把握しやすい)、日本企業の大半を占める中小企業の同統計はどうなっているのか実質賃金のデータといいながら正確無比、公平というわけにもいかないものだ。

 不正は不正として解明されなければならないが、統計が国の根幹という理念、理論について完全主義でないことも理解しておかなければならない。

 

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