(1)25日にミャンマーで行政関係者ら殺害に関与したなどで政治犯として逮捕され軍事法廷で死刑判決を受けていたアウンサンスーチーさんの側近、民主活動家4人の死刑が執行されたと報じられた。
軍事法廷は非公開とされ国軍による管理下の中で民主派アウンサンスーチーさん(逮捕拘禁中)側への圧力とみられる。
(2)国軍政権が支配するミャンマーでは国軍に抵抗して逮捕された民主反体制派への死刑判決が続き、国軍政権の承認のもとに「刑務所の手続きにもとづき刑が執行された」と報じている。権威主義専制国家の中国もそうだが海外民主勢力国家が自国の国内法、統治に関与すれば内政干渉ということになり、国際法に照らして理不尽で一方的な判決であってもどうしようもないことだ。
(3)日本でも26日に08年秋葉原交差点で7人死亡、10人が負傷した無差別殺傷事件で死刑が確定していた死刑囚の死刑が執行されたとの報道だ。日本の刑訴法では死刑判決確定から6か月以内に死刑を執行しなければならない(法相決裁)と定められているが、今回の死刑囚は15年最高裁判決で死刑が確定して7年が経過しており、死刑確定者は現在も107人、半数以上の61人が再審を請求(報道)している。
(4)そもそも人が人を裁く不条理(unreasonableness)の裁判で冒頭のような非公開軍事法廷の決定もあり、日本でも死刑確定者の新証拠提出により再審裁判で無罪判決を受けることもある。国際的に死刑廃止(the abolition of capital punishment)が主流となって死刑制度存続は日本など少数国に限られる。
(5)日本の刑法は報復主義をとらずに、犯罪者の社会復帰、更生を主眼にするものだが、日本国民の8割が死刑存続を支持(報道)している。日本は宗教国ではなく信教の自由が憲法で保障されており特定の宗教心を持たない無宗教国民は多く、心のよりどころを社会正義、規範(paradigm)維持に求める社会思想(social thought)があり、死刑廃止の世界の潮流の中でも国、政府は死刑制度を維持している少数国だ。
(6)欧米諸国の特定宗教に依存が強く死刑廃止を支持する中で、日本でも人が人を裁く不条理の中で裁判判断での間違い、誤審はあり、死刑確定者が再審裁判で無罪になることも複数あることを考えれば、死刑廃止で犯罪者が後世を一生償いで被害者、社会に貢献する社会思想があってもいい。それが刑法の報復主義をとらない主旨でもある。