(1)２日ほど世間の浮世から離れていたら、KDDI（au）で通信障害が起きて３９１５万回線（報道）に影響が出た。まるで電力消費量超過による広域大規模停電を防ぐために計画停電をしたような通信障害（データ流通量制限による通信障害）で、これまた日本が解消できない初動対応の甘さが復旧に６２時間を要するといういつもながらの日本危機管理不備、不足を露呈してみせた。
(2)時期も悪かった。全国で４０度以上の猛暑が複数か所であり熱中症、コロナ、救急車通報など１１９、１１０番通報にも影響が出て、政府もデジタル庁設置でデジタル社会の推進をしている時だけに相も変わらないデジタル通信システム、事業者の危機管理能力の欠如、プラットフォームの脆弱（ぜいじゃく）さをみせられた。
(3)みずほ銀行の度重なるATMシステム障害にソフトバンク、NTTドコモ、KDDI通信事業者による大規模通信障害と相次ぎ、トラブルを想定した危機管理能力、とりわけ初動対応の適正化、整備強化が必要で、原発管理にも通じる。
(4)一方で国民はこういったモロい近代化システム、インフラの中で社会生活が支えられていることを思い知らされて、システムが細分化されて複雑になればなるほど全体像が見えなくなってどれとどれがつながって、どういう機能をしているのか理解できずに、把握できずに、今回KDDIが故障個所に手を入れることで「連鎖的に障害が広がっていく」ことが想定できない「見通しの甘さ」を自ら指摘している。
(5)いずれも簡単な話ではないが、人間がつくりだしたものに、人間が振り回されて、手が回らない現代社会のパラドックス性（paradoxical）の悲劇だ。世間は浮世であることを認識させられた。
リスク（risk）をとるのか、タスク（task）をとるのかの選択で、危険も承知の上での先端的近代化社会であるが、国民生活、社会は実験場（laboratory）ではない。
(6)先端的技術システムの理論性、本質性、広汎性がなおざりにされて、知的財産権に守られて共有性、共通性、相関性がなく「一つの不具合から連鎖的に障害が広がっていくことを想定できない」（KDDI）先端的技術システム社会のモロさだ。
(7)基礎学研究、理論構築の重要性がいわれているが、デジタル社会でも基礎的研究分野での共有性、共通性、相関性は社会思想、構造論としては重要で必要だ。
