いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

運命共同体と理不尽な反抗。fate commune and unreasonable resistance

2022-07-26 20:12:42 | 日記
 (1)露とEUを結ぶ天然ガス網パイプラインは独、仏、トルコまで幅広く伸びて露とEU、ヨーロッパは共存、協力する運命共同体(fate commune)であったとみられる。ヨーロッパは同じ自由主義陣営にありながら伝統的に米国覇権主義には一定の距離を置いて独自の政治、経済、文化の理想主義を貫いてきた。

 (2)EUを主導してきた独のメルケル前首相は露、中国との経済協力関係を重視して日本にはさほど関心を示さずに来日も少なく、しかし隣国の中国には足しげく外交訪問をくり返していた。
 こうした関係、国際秩序が乱れたのはトランプ米大統領の登場による米国第一、保護主義の台頭が要因だ。

 (3)トランプ前大統領はヨーロッパ主導の気候変動会議からの離脱を決め、露との戦略核兵器削減条約からも撤退して再び核兵器開発に戦略を変更して対立関係をつくりだして、国際秩序、パラダイム(paradigm)の崩壊を招いた。
 米中の経済貿易戦争は相互関税の強化、知的財産権の保護で決定的な対立をみせ、世界経済への悪影響及ぼすことになる。

 (4)トランプ前大統領は米国のNATOへの出資金の多さから不公平なNATOとも距離を置く姿勢を示して、トランプ時代では二国間、EUとの限定的な覇権争い、対立関係であったが、トランプ後のバイデン米大統領は壊れた国際秩序再構築を目指してEU、NATOの自由主義圏の関係強化を打ち出してEU、NATO寄りの関係改善姿勢を鮮明にした。

 (5)ヨーロッパはEU圏として政治、経済、平和のヒト、モノ、カネの自由往来の共同体を構成して、NATOも旧東欧圏国の加盟が広がり露にとっては天然ガスパイプラインで運命共同体のはずだったヨーロッパが一大自由主義巨大圏に変貌をとげることになる。

 (6)これにバイデン大統領がEU、NATOとの関係改善を目指して接近したことが露の脅威と映り、NATO加盟を目指す隣国ウクライナへの軍事侵攻につながり、EU、米、日などの露経済制裁強化に対抗してヨーロッパ運命共同体であった天然ガスパイプライン運用の停止対抗措置につながっていく。

 (7)バイデン米大統領としてはEU、NATO関係改善にあたって、EUと露の天然ガスパイプラインによる運命共同体の関係を見誤り、EU、NATO関係同様に露との関係改善にも着手すべきことであった。

 (8)露のウクライナ軍事侵攻は許されることではないが、EU、露の天然ガスパイプラインで結ばれた運命共同体が損なわれての理不尽な反抗(unreasonable resistance)であった。

 

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